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闇の輝き  作者: ぴん
4章
21/53

容疑者リーナ

暗黒剣士(デリー)の試合から数日が経った。1回戦シードの俺の2回戦はまだ組まれていない。天士(リホ)とも会わないままだ。それでも、これからどうなるんだろう…と考える間もなく、この日の朝から事件は起きた。




「おはようございます。」


「おっはよ~リーナさ…ん?」



一階に降りてきた俺と暗黒剣士(デリー)の目に飛び込んできたのは、護衛団長と数人の護衛団の姿だった。



「あぁ、デリー、マウアおはよう。」


「リーナさん、これは一体何の騒ぎ?どうしたの?」



「君たち、静かにしなさい!」



あれがガダル護衛団長か。いかにも偉そうだ。



「あ、はい…。」



逆らう訳にはいかないからな。でも、こんな朝から護衛団長みずから何だっていうんだ?



「君たちはコロシアム剣士か。調度いい。実はここ数日の通り魔事件だが、我々は魔人の仕業であると断定した。そこで、元裏士のリーナに疑いがかかり、今ここにいる。」


「通り魔事件?魔人??何言ってるんだよ団長さん。リーナさんがそんなことするかよ。」


「僕もそう思います。」



「しかしだな。この街に裏士(うらし)は一人しかいない。他に魔人を生み出す術がないのだ。私とて、英雄である元団長の妻を疑いたくはない。ただの消去法だ。」


「だからって、リーナさんの仕業とは限らないだろ!もっとよく調べろよ!」



「それもわかっている。我々は今日、業務で確認の為に来ただけだ。それ以上は何もしない。」


「業務だと?消去法といい、いい加減にしろよ!」



「マウア!いい加減にするのはあんただよ!」


「リーナさん…。」



キレた俺に、裏士(リーナ)さんは怒鳴り付けた。その後、いつも通り話し出した。



「マウア、いいんだよ。現に私しかいない。でも、私にも確かな証拠は示せないのさ。

だから、今は従うしかない。」



いくらリーナさんの言葉でも、納得出来るかよ。それに護衛団のやり方にも、いい加減頭にきてんだ!



「リーナさん、俺たちがリーナさんの容疑を必ず晴らす。な!デリー。」


「うん、任せてよ。」



俺たちの会話を聞いていたガダル護衛団長は、黙って背を向け歩きだし、ドアの前で止まった。



「期限は一週間だ。我々も調査を続けるが、あくまで本命は彼女(リーナ)だ。拘束は免れん。いいな?」


「あぁ、一週間あれば十分だ。」



「では、今日の所は失礼する。行くぞ。」


「はっ!」



護衛団は去っていった。


お前らなんか、最初から宛にしてねーよ。だけど、朝から大変な事になっちゃったな…。



「いいかい、あんたたち。この街に裏士は私しかいないと言ったけど、それは嘘だよ。私以外の裏士は存在する。」



やっぱりな。俺やデリーはその裏士の仕業かもしれないからな。



「城にはね、7年前から裏士が束ねる特殊護衛団という組織がある。特殊護衛団は、暗黒剣士の集団さ。表向きは護衛団。王族専門になってるけどね。」


「え?って事は…」


「そう。城の内部犯行の疑いがある。」



そうだとしても、目的が全くわからない…。王族が魔人騒動を起こして、自分たちで解決してるのかよ。



「そう言えば今晩、城で晩餐会があるじゃない。マウア、人気剣士のあんたなら入れるんじゃないかい?」



「この前も招待状きたけど、俺そういうのよくわかんないし…苦手だから行ったことないんだよね。リーナさんは元裏士だし、招待状は来ないの?」



「あんたにしては珍しく鋭いわねー。でも少しハズレ。あの(シフ)の妻としてなら呼ばれるわよ。たまーに顔出してたけど、最近は行ってないわね…。」



「じゃ~ん!どぉ?」



店に下りてきた闇士(マリーナ)の姿は、寝巻きではなくドレスだった。



「どぉ?って言われてもなぁ。朝っぱらからドレス来てる一般人は珍しいと思うぞ?」


「選んでただけなのー!」


「それよりマリーナ。お前が呼ばれる理由ってあるのか?」



「マウちゃん失礼ね。お母さんが嫁なら、アタシは娘でしょ?お母さんは行かないけど、アタシは毎回参加してるの。王様のながーいお話は聞かないけど、美味しいものたっくさんあるからねー。しかも、今日は大晩餐会だから他国からも大勢来るし、期待しちゃっていーよー!」


「遊びに行くんじゃねーっつーの。」



「わかってるよ。その裏士の手がかりを探すんでしょ?」



マリーナってさ、ふざけてるようで意外に抜け目ないんだよな。



「アハハ。マウア、マリーナには敵わないね!」


「ホントだよ。」



「じゃあ私も久し振りに行こうかしら。知ってる顔もいくつかあるしね。」


「お母さんも行くの?やったぁ!じゃあ、みんなで美味しいもの食べに行こー!」



「だーかーらー、そうじゃないだろマリーナ?俺たちには時間がないんだからな。」


「マウちゃん、大丈夫だよ。いざとなったら、みーんなブッ飛ばしちゃえばいいんだから!」



ホントにやりそうで怖い…。



「マリーナ、僕は招待状ないけど入れるのかなぁ?」


「へーきへーき。デリーの分は、いつも行ってるアタシが頼めば大丈夫。」


「頼りになるね。」



「じゃあ今夜、みんなで遊びに行ってみようかねー。」



結局、四人で今夜の晩餐会へいく事になった。


だけど、城に行って大丈夫かな…。リーナさんは容疑者だし、マリーナはブッ飛ばせばいいって言うし。でも他に手掛かりはない。

今のところ、おそらく犯人は特殊護衛団を率いる裏士だ。だから魔物騒動の時も出てこなかったんだな…。こりゃ、マジでマリーナの言うように準備しておかないとマズイかもしれない。

一応、おしゃれの準備もしておくか…。

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