↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の輝き  作者: ぴん
3章
20/53

二人の真実

デリーが悪の力を持つムルスに完勝した。やっぱり、俺の最大のライバルはあいつだ!


控え室の扉を、俺は嬉しさのあまり勢いよく開けた。



「デリー!おめでとー。やったなー!」


「マウア…。いや、あ、ありがとう。」



もっと喜んでると思ったんだけどな。



「なんだ?お前もかよ。勝ったんだから素直に喜べって。」



少々拍子抜けした俺の横から、闇士(マリーナ)が一応といった感じで、おめでとうと言った。



「デリー、でもどうして?」


「マリーナ…うん。僕も皆の力になりたいって思ったから。入院中、ずっと考えていたんだ。」


「そっか…。」



「そう言えばデリー、あいつ魔人だったんだろ?だけど悪気が出て来なかったなぁ。デリーが何かしたのか?」


「ううん、彼はまだ生きてるし、傷は浅いからね。いずれは魔人になると思うけど…。」


「やっぱりそうなのか…。」



「ねぇ、デリーは丘で剣を貰ったって言ってたけど、まさかお母さん?…じゃないよね…」



どうやら、俺とマリーナの様子見は終わったようだ。今確信を得たからな。



「違うよ。入院中に、ある人が訪ねて来たんだ。」


「誰なのー?」



「ごめんマリーナ、僕にもわからないんだ。顔を布で隠してたし、聞かない事がこの力を手にする条件でもあったから、それ以上は…。」


「随分と怪しい話ね。でも、手にしちゃったんだからしょうがないかぁ。アタシが言える立場じゃないしねー。」


「それとこれとはまた違うと思うけど…。」




「ねぇデリー、どんな力なの?アタシやマウちゃんとは違うみたいだけど…。その刻印が怪しいと見た。」



闇士(マリーナ)は、デリーの手首を指した。デリーが袖をさらに捲ると、見覚えのある刻印が刻まれていた。


堕天士長(ミラ)さんも天の刻印が手首にあったな。でも、太陽じゃない…あれは月か?



「うん、正解。これは闇の刻印っていうらしい。マリーナは、体内に天の力を住まわせてるんでしょ?この刻印を触ってみて。」


「うわぁ、これってもしかして…。」



「うん。この刻印には、悪の力が込められてる。正確には、闇かな。僕は闇士(やみし)じゃないからね。マリーナやマウアは特別なんだよ。」


「だからこの剣ってこと?」



闇士(マリーナ)は、ベンチに座っているデリーの横にあった剣を手にした。



「うん。」


「この剣、すごい闇の力が込められてる。」



二人の話がドンドン進んでいく中、俺は理解できなかった。



「なぁ、俺にもわかるように説明してくれよ。」


「しょうがないなぁ。いい?マウちゃん。この闇の刻印と繋がってるから、この剣を使っても平気ってこと。」


「ほう、なるほど。」



「うん、その前に天の洗礼を受けたんだけどね。」


「天の洗礼…?」



「マウちゃん、あれよ。私たちがミラさんやリホりんにやってもらったあ~れ。」


「おー!あの温かいやつか!!でもなんでその必要があるんだ?」



「それはね、天の力で闇の力を抑える為だよ。過剰な天の力は、体に逆効果みたいだから。」



「そっかぁ、わかった!デリーは過剰な天の力を浴びて、その刻印でバランスを取ってるのね?」



「さすがマリーナ。闇士(やみし)の体内で起こってる事を、僕は体外で起こしてるんだよ。」


「そっか…。マウちゃん?」


「う~ん、って事は、デリーはその剣のみってことか?」



「通常はね。でも僕はちょっと違うかな。だって、禁じられてるはずの闇士がここに二人もいるんだから。」



「あ!俺?」

「エヘヘ。アタシたち、だね。」



「ところでデリー、その剣に見覚えがあるんだけど…。」


「言われてみればアタシも。」



デリーは少し間を置いて話し始めた。



「これはね、あの日ナイクさんが使った剣だよ。シフおじさんの剣でもあるのかな…。二人が使うような、闇士が悪気を込めた武器じゃない。裏士の作った暗黒剣だよ。」



言葉だけでなく、デリーの表情からもその危険性が伝わる。


暗黒剣か…。



「デリーお前…、本当に平気なのかよ?」


「…。」



デリーは黙ったまま、うつむいてしまった。



「マウちゃん、それを使って平気なんだから、リスクがない訳ないじゃん。」


「そうだよな…。」



すると、デリーが覚悟を決めた表情で静かに話し出した。



「暗黒剣士は、寿命が短くなるらしい…。」


「デリー…。」



「だよね…。だからアタシたちに秘密にしてたのね。」



寿命って…。


「まじかよ!デリー。それがわかっててどうして…。」



暗黒剣士(デリー)は話せて吹っ切れたのか、にこやかな表情に変わった。



「マウアに比べたら、大した問題じゃないよ。」



封印の儀で俺は死ぬ…か。



「そうかもしれないけど。それは俺の運命っていうかそういうのだから、これとは…。デリー、ちゃんと納得しての決断だよな?」


「もちろん、納得しての判断だけど、僕には関係なかったよ。逆に嬉しかったんだ。」



力を得た時を思い出すように、暗黒剣士(デリー)は言った。



「デリー…。」


「アタシはノーコメント。」


「なんだそりゃ。」



「マウちゃん、もういーじゃん!みんなで世界を平和に出来るんだからさー。」



相変わらず軽いな…。



「マリーナ、お前のそういうとこ、ホント羨ましいよ。」


「そうかな?マウちゃんだって似たようなものじゃん。」


「バカだなぁ。俺は繊細だっつーの。悩みだってあるし…」


「プッ。」



おい、なぜ笑う!



「それはリホりんのことでしょ?」


「なっ、なんだっていいだろー!」


「マウちゃんって、ホント面白いよね。」


「マリーナに言われたくないわ。」


「そんなこと言ってると、またリホりんに笑われるよ?」



「はぁ?マリーナ、お前のせいだっつーの。全く、天才剣士のイメージを返してくれよ。」


「あれー?そんなのあったっけ?」


「あるのー!」


「マウちゃんシー!」



なんだよ?



「デリー寝ちゃったみたい。」


「あ…ホントだ。疲れたんだな。」



「ずーっとこの約1ヶ月。一人で背負ってたのよ。」


「水くさいよな。言えばいいのに。」


「簡単じゃないよ。だから、デリーはマウちゃんと違って繊細なの。」


「だから俺も…「シー。」


あ…



「もうわかったってばぁ。」


「ごめん…。」



俺は、ベンチで横になって寝ている暗黒剣士(デリー)に、仮眠用の布を掛けた。



「そうだ、アタシお母さんに連絡してくる。マウちゃんはお留守番よろしくねー!」


「はいよー。」



闇士(マリーナ)は控え室を出て行った。


「ふぅ…。」


ガチャ!


ん?



「デリーの顔にイタズラ書きしちゃダメよー。」


「しねぇーって。」



「ほら、キレイなサインとか。」


「書かねーよ。それに俺はサイン上手いし!いいから早く行ってこいよ。」


「じゃあねー。」



戻って来た闇士(マリーナ)は、再び裏士(リーナ)さんへ電話をしに行った。


デリー…。気持ちは嬉しいけど、やっぱり複雑な気分だよ。こんな役は、一人でも少ない方がいいのに…。



「マウちゃん!!」



また突然ドアが開いた。


「シー!」



全く、静かにしろって言ったのはマリーナだろ!



「デリーが起きちゃう…」


「あ…あれ?」



「ほうら、起きちゃった。マリーナのせいだからな。」


「ごっめーん。アハハ…。」



「僕…寝ちゃってたんだね…」


「デリー、起こしてごめんね!」


「大丈夫だよ。」




「それでマリーナ、慌ててどうしたんだよ?」


「そうだった!マウちゃん、お母さんに言ったらデリーの事知ってたよー!デリーが自分で言うのを待ってたんだって。」


「そっか。」



「マウア、マリーナ、ごめんね。なかなか言えなくて…。」


「そんなの気にするなよ。俺だって悩んだし。一緒だよ。」


「そうだよー。気にしない気にしない。って、アタシは悩んでないか…エヘヘ。」



「二人とも…ありがとう。」



「もうさー、なっちゃったもんはしょうがないよな!一緒に戦おうぜ、デリー。」


「うん!」



差し出した俺の右手を、暗黒剣士(デリー)は迷いなく握った。



「グスン…。」


マリーナ?



「何で泣いてんだよ。」


「わかんない…何でかなぁ…。アハハ…グスン。二人を見てたらいきなり涙が出て来ちゃった。」



笑いながら泣く闇士(マリーナ)の姿を見た暗黒剣士(デリー)が、起き上がってハンカチをマリーナに渡した。



「マリーナ、実はね。僕はマリーナの体内にいる人を知ってるんだ。リーナさんに聞いたから…。その影響かもしれないよ。」


え?誰の魂なんだ?



「え?誰なの…?」


「みんながよく知ってる人だよ。」



「ハッ!」



闇士(マリーナ)が目を見開いた。



「もしかして、お父さん?」


「うん、そうだよ。」



暗黒剣士(デリー)の言葉を聞いた闇士(マリーナ)は、顔にハンカチをあてたままその場にしゃがみこんでしまった。



「お父さんが、アタシを守ってくれてたんだ…。」


シフおじさんは、今もずーっと一緒にマリーナの体内で戦っていたんだな…。今泣いているのはシフおじさんじゃなくて、マリーナの嬉し泣きかもしれない…。

そう言えば、俺の体内には誰がいるんだ?マリーナがシフおじさんを感じるなら、あの記憶は俺の体内にいる奴の…記憶?



「なぁデリー、俺って闇士だろ?リーナさんは俺の事は言ってなかったか?」


「うん、リーナさんにもわからないって。」


「そっか…」



同じだな…。



「この世界のことをまだよくわからないけど、僕の力もそうだし、リーナさんみたいな裏士(うらし)はまだいるかもしれないね。」




「それも、リーナさんに聞くしかないか…。マリーナ立てるか?帰ろうぜ。」


「うん…。」



「もう泣くなよー。」


「嬉し泣きだからいいのー!」


「そうだな。」



まだ、シフおじさんを感じてるんだな…。おそらく、俺の闘いにも影響している…。でもリーナさんも知らないないし、俺はどうすりゃいいんだ?デリーの言うように、もう一人の裏士を探すか…。デリーに力を与えた奴も気になるしな。にしても、バイラインに続いてムルスも悪の力か…なんだか騒がしくなりそうだな…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。