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ジョブ「魔王」による魔王ライフ!~クラス転移で異世界に行ったらカーストが逆になったので異世界を満喫します!~  作者: 二十口山椒


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ジョブ「魔王」

「あはは! ほんとにウケるよねー!」

「それな!」


この二年B組にはトップカーストが君臨している。


それはもうこの教室がそいつらだけなのかと思うくらいにそいつらの声が大きい。


何より、そいつらはトップカーストとかではなく王族のようにふるまっている。


「なぁ、昨日お金使い過ぎたからよー、お金くれね?」

「え、で、でも……」

「あ? 何か文句あんのか?」

「い、いえ……」


気が弱そうな男子生徒にお金をせびって、当たり前のように返さない。


このクラスではそれが当然のように行われている。


もし反逆が起きようものなら、暴力で解決している。


トップカーストの一人が偉い人か何かで暴力が見て見ぬふりをされているという、漫画みたいなことが起きている。


だからターゲットにされないように息をひそめながら生きている。


トップカーストの連中以外は陰キャばかりだし、そうじゃなくてもトップカーストにすり寄っている奴らしかいないからトップカーストの連中もさぞ気持ちがいいだろう。


「おーい、陰キャの代表くーん」


その名称は俺に使われており、トップカーストのリーダーである原田が俺の首に腕を回してそう言ってきた。


別に俺が一番陰キャだというわけではない。


「今週の徴収分が足りないからさ、代表が支払わないとなー」


俺が代表と言われているのは簡単だ。


「こ、断る……!」

「おいおいおい、冗談はきついぜー」


勇気を込めてそう言えば、首に回した力を強められる。かなりきつく締められていく。


「もう一回言ってくれるか?」


答えさせる気などないくらいに強められる。


俺が代表と呼ばれているのはいつも俺が見せしめになっているからだ。俺が痛い目にあって、他の陰キャのやつらが支払うようになる。そういう風にしている。


「さっさと言えよ」


首を絞めながら俺の腹を殴ってくる。


痛い。だけど今回の俺は違う。


こんなやつらにいいようにされるくらいなら死んでもいいと思うくらいの勢いでにらみつけてやる。


「は? なんだよその目。むかつくんだよ!」


もう一度腹を殴られると構えたが、その瞬間に床が光り輝いた。


「なに!?」

「なんだ!?」


そのおかげで俺を痛めつけていた原田は腕を放したことで俺は何とか生き延びた。


だが、それよりも異世界召喚のようなこの状況がどうなるのか、その不安しかなく光に包まれた。


光が収まればそこは俺が見たことのない場所だった。


豪華絢爛という言葉しかない、お城の中だった。


とりあえずトップカーストの連中を含めてクラスの全員がいるからクラス転移というやつなのだろうと思いつつ、俺たちの周りには人がたくさんいた。


「おぉ、勇者様たちだ!」

「よくぞお越しになられた!」

「これで世界は救われる!」


俺たちを見てそう口々に言っている。


「よくぞ来た、勇者たちよ」


そしてここは玉座の間らしく、一段高いところにある玉座に座っている女性がそう言ってきた。


服装だけではなく、顔立ちや姿勢から高貴な雰囲気を思わせる女性はプラチナブロンドの髪を後ろでお団子にしている。


かなり露出が高い服を着て、大きな胸なんて動けば服からボロンとしそうな感じだが、王冠を被っていなくても一番高貴な存在であることはすぐに分かった。


「勇者って、俺のことを言っているのか?」


さっきまで俺の首を絞めていた原田が玉座に座る女性をいやらしい目で見ながらそう言った。


「貴様がそうであるとは言っていない。勇者とはお前たち全員のことだ」

「それならこいつもか?」


原田は俺を指さしてきた。


「そうだと言っている」

「……ぷぷっ! こんな陰キャが勇者なわけないだろ!」


原田は大笑いして、トップカーストの連中もつられて笑う。


だから見えていないのだろう。玉座に座る女性の目つきが鋭いものになったことを。


「黙れ」


女性のその言葉で、俺たちは言葉にできないものを感じ取った。


元の世界では感じたことがない……いや、轟音をその身に受けたときに似ているか。それが女性の言葉一つで俺たちに襲い掛かってきたことでトップカーストの連中は黙った。


「フン。品がないものが紛れ込んだが、まあよい。状況を説明するぞ? 私はテリオ王国の女王、ノヴァ。貴様らを呼んだ召喚者だ」


 俺たちを囲んでいた人たちが玉座の間から出て行きながら、女王ノヴァが口を開いた。


「貴様らを呼んだのはこの国にあるダンジョンを攻略してもらうためだ」


 女王の話はこうだ。


 世界各地で信仰している神から試練としてダンジョン攻略を言い渡されたそうだ。


 全部で百層からなるダンジョン攻略は未だに一階層で滞っているほどに厄介なダンジョンだとか。


 ダンジョンを攻略できれば、末永く繁栄がもたらされる。


 もし期間内にダンジョン攻略ができなければ、その国は滅びる。


 そしてその救済措置として、異世界より勇者を召喚する術を渡されたらしく、それで俺たちを呼んだとのことだ。


「は? ふざけんなよ。どうして俺がそんなことをしないといけないんだよ」

「そうだよね。この国がどうなろうと知ったことじゃない」

「タダ働きさせられるかもしれないしな」


 原田を始め、トップカーストの連中がその話を聞いてそう口々に言い始めた。


「むろん、タダとは言わん。一定の成果を出したものにはこの国にあるものを何でもやろう」


 国の存続がかかっているのだから何でもと言うか。


 でも俺たちにそんな力があるのか?


「言ったな。それならお前でもいいんだろうな?」


 原田は女王を指さしてそう言う。


 ……さっきから原田が口を開くたびにかなり機嫌を悪くしているのが分かる。おそらく俺しか分からない程度の反応だけど。


「成果を出すことができればな。そうでなければ話にならん」

「でも俺たちは急にここに呼ばれてやる気なんか出ないしなー。な? そうだよな」

「それな!」

「呼ばれて仕事をさせられるってないわー」

「今んとこ返してほしい気持ちが強いよねー」


 トップカーストの連中はこれでもかと勇者としての立場を利用しようとしている。


 女王は冷たい視線で原田たちトップカーストを見ている。それはまるでゴミを見るような目だ。


「貴様らが使えるのならな。貴様らが使えるかどうか、クエストを出そう」


 女王がそう言うと目の前に文字が出てきた。


『女王ノヴァからのクエスト

 貴様らが使えるかどうかを確かめるクエストだ。

 メテオバード三体の討伐 0/3

 報酬:快適な暮らし

 制限時間 02:59:58』


 おぉ、なんか出てきた。これが出てくるということはステータスもあるということか。


 制限時間は、一番右が一秒ごとに減っているから三時間か。


「このクエストをクリアできれば、使えるということを認めてやろう。できなければ願いを聞く価値もない」

「ははっ! 言ったな! それなら俺は爵位でももらおうかなー!」

「あたしドレスー!」

「ドレスじゃなくて宝石でしょ!」


 自分たちがどれだけ強いかも分かっていないのによく盛り上がれる。


「あ、お前たちはすぐに用済みになるな! せいぜい頑張れよー」

「ぷはっ! それを言っちゃだめだよー」


 トップカーストの連中は俺たち陰キャ側にそう言い放って笑う。


 俺以外は全員がそういう面持ちでいるのが本当に腹が立つ。


「異世界人はステータスを知らないと聞く。知らないのか?」

「ステータス? 陰キャが好きなゲームか?」

「本当だったようだな。この世界ではすべての生物にステータスが表示されている。念じれば自身のステータスを見ることができるぞ」

「おー! それなら俺様はとんでもないステータスだな!」

「見てないのに言いすぎっしょー!」

「いや俺の方がすごいな!」


 周りに騎士たちがいるのによくいつもの言動ができるなと思いながら、俺はステータスと念じればさっきのクエストみたいに文字が表示される。


『大万(おおま)璃央(りおう)

 ジョブ:魔王

 Lv1

 体力:532

 攻撃:729

 防御:603

 速度:501

 器用:902

 魔力:11530

 魔攻:15409

 魔防:12353

 SP:100』


 ……ん? なんだこのステータスは。しかもジョブが魔王って。


 え、これってバレたらまずい奴なのか……?


 ……もしかして、俺が幻覚を見ているとか? それとも俺たち全員がこれくらいのステータスがあるとか?


「お、俺の攻撃は15あるぞ!」

「そんなにあるのか!? でも俺の防御は13あるー!」

「うちは魔力が19あるー。ジョブも魔法使いだし魔法使える感じー?」

「やばー!」


 トップカーストの連中の話を聞けば、最高でも20しかなかった。


 ……俺のステータスが本当なら、これはとてつもなくすごいのではないか? でも俺にそんな実感はないんだよなー。


 筋肉バキバキになっているとか、すごい力が沸き上がっているとかそんなことはない。だから俺のステータスがどんなものか分からない。


「おーい、代表くーん」


 俺にそう話しかけるのは原田しかいない。


 いつものように俺の首に腕を回してきて体がこわばってしまう、はずだった。


 でもどうしてか今はそんなことが起きない。感覚がバグっているのか?


「軽々しく話しかけるな」


 そしていつもはこわばってしまうから言えない言葉が俺の口から出た。


「あ? チョーシにのってんのか? あ?」

「それはお前の方だろ。女王様が不機嫌になっていることに気が付いていないのか? それにずっとお前の口が臭いと思っていたんだ。だから口を閉じろ」

「あ!? ふざけんじゃねぇぞ!」


 原田が俺の腹に殴りかかろうとした。


「やめろ」


 その言葉で誰しもが動きを止め、喋るのもやめた。


「ここでの暴力行為は禁止だ。それでも手を出すのなら、貴様はいらん」


 有無を言わせぬ言葉が原田に重くのしかかる。


 さすがの原田も俺を睨みつけながら離れた。


「メテオバードがいる場所まで案内するが、己の力で倒さなければクエストは達成できないぞ」


 ということはメテオバードは百体以上倒せることになるのか。ヤバいな。

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