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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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第138話:霧は、考えている

霧は、引かなかった。


それどころか――

呼吸に合わせるように、脈打ち始めた。


「……増してる」


リリアが、低く言う。


視界はある。

だが距離感が、狂う。


足元は平坦なはずなのに、

一歩ごとに床の感触が微妙に違う。


「霧が、地形情報を持ってる」


アランが、静かに分析する。


「通路の形を覚えて、

敵に共有してる」


言葉が終わる前に。


霧の奥で、影が同時に動いた。


一体ではない。

三体、四体――

間を取らず、一直線に踏み込んでくる。


「連携してる!」


「迎撃――いや、分断する!」


《ルーメン》


光が弾け、霧を押し返す。


だが今回は、違った。


霧が、逃げない。


光を受け止め、

形を変えて回り込んでくる。


「っ……!」


背後。


リリアが、即座に身を翻す。


刃を受け流し、

返す刀で距離を取る。


「反応速度、上がってる!」


「学習してるな」


アランは、前に出る。


《ミラージュ》


分身が、四つ。


今度は散らさない。

一点に集中させる。


闇の個体が、迷う。


一瞬のズレ。


「今!」


《バッシュ》


衝撃波が走り、

隊列の中央が崩れる。


だが――


すぐに、立て直される。


倒れた個体を、

後方の個体が引きずるように霧へ戻す。


「回収速度が、早すぎる」


「無限湧きじゃないけど……」


リリアが、歯噛みする。


「削り合いに持ち込む気ね」


霧が、再び濃くなる。


通路の両側。

天井付近。


三方向から、同時突入。


「来る!」


《ルミナ・シェル》


光の球が展開され、

面制圧の斬撃を受け流す。


衝撃が、全身に響く。


「……このままだと、消耗戦になる」


アランは、瞬時に結論を出す。


「対策が要る」


「霧を止める?」


「いや……」


アランは、霧の“流れ”を見る。


「霧は、闇の個体の“目”だ」


「なら――」


リリアが、すぐに理解する。


「目を、塞ぐ」


「一時的でいい」


アランは、槍を構え直す。


《ライトヴェイル》


微光の膜が、

今度は“外”へ向けて広がった。


霧が、弾かれる。


完全ではない。

だが――霧の情報伝達が、乱れた。


「今だ!」


《ルーメン》

《ルミナエッジ》

連続展開。


光の刃が、霧の中を走る。


敵の動きが、遅れる。


「効いてる!」


「でも、長くはもたない!」


霧が、再構成を始めている。


「……次は、もっと強く来る」


アランは、そう確信していた。


これは、第二波。


試行錯誤の段階だ。


霧は、考えている。

闇は、観測している。


「奥へ行くほど、癖が強くなる」


リリアが、息を整えながら言う。


「ここは、まだ“入口”ね」


「そうだな」


アランは、槍を強く握る。


次は、

学習の終わった敵が来る。


そして――

逃げ道を用意しない構造が、待っている。


霧が、ゆっくりと引いた。


その先にあるのは、

明らかに“戦闘用”に設計された広間。


「……来る」


アランが、静かに告げた。


第三波は、

もう試験じゃない。


本気の迎撃だ。


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