↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
121/195

第121話:第二層・受け止める光

霧が、再び動いた。


先ほどよりも、重い。

湿り気ではない。

空間そのものが、圧を帯びている。


「……来るわ」


リリアが低く告げる。


霧の奥。

一体だけ、明確に“違う”影が立ち上がった。


大きい。

人型だが、輪郭が曖昧で、

表面を覆う光の乱反射が、常に揺れている。


「強個体ね」


「単体だけど――」


アランは、視線を逸らさない。


(面で来る)


その予感は、すぐに現実になった。


影が腕を振り上げる。


次の瞬間、

霧ごと圧縮された魔力が、前方一帯へ叩きつけられた。


「来る! 防御!」


衝撃波。


点ではない。

逃げ場を削る、面制圧。


アランは、即座に踏み出した。


《ルミナ・シェル》


光が、球状に展開する。


薄い。

だが、均一だ。


直撃。


衝撃が、光の膜にぶつかり、

そのまま“流される”。


弾かれない。

砕けない。


ただ、受け止めて、散らす。


「……っ!」


足元が、わずかに沈む。


だが、破られない。


後方で、誰かが息を呑んだ。


「防いだ……?」


「跳ね返してない……?」


「受け流してるだけだ」


アランは、短く答えた。


(これ以上、溜めさせるな)


槍を構え、前に出る。


「援護、最小でいい!」


正面突破。


霧の中を、一直線に走る。


影が、再び腕を振る。


今度は、局所。


アランは半身になり、

槍の柄で流し、懐へ入る。


《ルミナエッジ》


穂先に沿って、光の刃が走る。


一閃。


影の胴体に、深い裂け目。


だが、即座には崩れない。


(しぶとい)


もう一撃。


今度は、純粋な槍術。


踏み込み、体重を乗せ、

光を最小限だけ添える。


芯を貫く。


影が、低い音を立てて崩れ落ちた。


霧が、一気に薄くなる。


空間の圧が、抜けた。


「……終わった?」


「いや」


アランは、周囲を見回す。


敵の気配は、確かに減っている。

だが、完全ではない。


その時。


腰の通信符が、微かに震えた。


『……第二班、軽傷者あり。

 想定より、攻撃が――』


音声は、途中で途切れる。


別の波長。

別の場所でも、同じ“癖”に当たっている。


(全体に影響が出始めてる)


「奥へ進むほど、厄介になるわね」


リリアが、静かに言った。


「でも」


アランは、前を向く。


「まだ、暴走じゃない」


霧は薄い。

足場も、安定している。


敵の数は、明らかに減っていた。


だが――

空間の“癖”だけが、濃くなっている。


(このダンジョン……)


戦いを、拒んではいない。

だが、楽にもさせない。


アランは、槍を下ろす。


「先に進むほど、

戦い方を選ばされる」


誰も、異論を挟まなかった。


奥へ続く回廊は、

静かに、だが確かに――

別の“質”を帯び始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。