雪の展望台
第四十九話では、雪の展望台を目指す四人を描きます。
途中の小さな出来事も、仲間と一緒なら大切な思い出になります。
温泉街を後にした四人は、
展望台へ向かう雪道を歩いていた。
空は曇っていたが、
雪は小降りになっている。
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「思ったより歩くね」
美咲が言った。
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「あと三十分くらいみたいですよ」
悠斗が案内板を確認する。
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「ちょうどいい散歩だね」
紗奈が微笑んだ。
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雪に覆われた木々。
静かな山道。
聞こえるのは足音だけだった。
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莉奈は景色を見回す。
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「本当に綺麗ですね」
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「写真じゃ伝わらないね」
紗奈も頷く。
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四人はゆっくり歩き続けた。
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その時だった。
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悠斗が少しだけ歩く速度を落とす。
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「どうしたの?」
紗奈が聞いた。
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「いえ……」
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悠斗は苦笑する。
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「少し困ったことになりまして」
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三人は顔を見合わせた。
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「大丈夫?」
莉奈が心配そうに聞く。
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「大丈夫です。ただ、展望台に着いたら少し休憩したいですね」
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無理に平静を装っていたが、
紗奈にはすぐに分かった。
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「無理しなくていいよ」
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「そうそう」
美咲も頷く。
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「展望台は逃げないから」
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その言葉に全員が笑った。
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悠斗も思わず笑う。
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少し気持ちが楽になった。
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一人なら焦っていたかもしれない。
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でも今は違う。
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周りには仲間がいる。
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「ありがとうございます」
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悠斗は素直に頭を下げた。
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しばらく歩くと、
雪景色が見渡せる休憩スペースがあった。
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四人はベンチへ腰掛ける。
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温かい飲み物を飲みながら、
しばらく景色を眺めた。
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「すごいなあ」
美咲が呟く。
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遠くの山々まで真っ白だった。
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まるで絵画のような景色だった。
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「こういう時間もいいですね」
莉奈が言う。
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「うん」
紗奈も頷く。
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少し休んだことで、
悠斗の表情も落ち着いていた。
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「もう大丈夫そうです」
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「よかった」
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四人は再び歩き始める。
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やがて木々が開けた。
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目の前に展望台が現れる。
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「着いた!」
美咲が声を上げた。
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展望台から見える景色は圧巻だった。
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白く染まった山々。
雪に包まれた温泉街。
遠くまで続く冬の景色。
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四人はしばらく言葉を失った。
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「すごい……」
莉奈が小さく呟く。
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「来てよかったね」
紗奈が言う。
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全員が頷いた。
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美咲は早速写真を撮り始める。
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悠斗もカメラを構えた。
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記念写真も撮った。
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笑顔があふれる一枚だった。
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寒さはあった。
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けれど心は温かかった。
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支え合える仲間がいる。
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それが何より嬉しかった。
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雪は静かに降り続いている。
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四人は冬の景色を胸に刻みながら、
展望台での時間を楽しむのだった。
第四十九話のテーマは「支えられる安心」です。
いつも支える側の人も、時には支えられる。
そんな関係が、四人の絆をさらに深めていくのでした。




