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紗奈と安心の物語  作者: たい


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帰り道


第三十一話では、湖での一日を終えた四人の帰り道を描きます。


特別な出来事はありませんが、楽しい思い出を振り返る大切な時間です。


湖での楽しい時間は、あっという間に過ぎていった。


夕方。


四人は帰りのバス停に並んでいた。


湖は夕陽に照らされ、昼間とは違う表情を見せている。


⸻


「本当に綺麗だったね」


美咲が名残惜しそうに言う。


「うん」


紗奈も頷いた。


悠斗は今日撮った写真を確認している。


「良い写真がたくさん撮れました」


⸻


莉奈もスマートフォンを開いた。


湖の写真。


遊歩道の写真。


四人で撮った写真。


どれも大切な思い出だった。


⸻


やがてバスがやって来る。


四人は乗り込み、それぞれ席に座った。


行きとは違い、車内は少し静かだった。


たくさん歩いたせいか、みんな少し疲れている。


⸻


窓の外では山の景色がゆっくり流れていく。


夕暮れの空が綺麗だった。


莉奈はその景色を眺めながら思う。


今日一日、本当に楽しかった。


⸻


「どうだった?」


紗奈が隣から聞いた。


莉奈は笑顔になる。


「すごく楽しかったです」


その答えに迷いはなかった。


⸻


「それならよかった」


紗奈も笑う。


美咲は前の席から振り返った。


「次はどこ行こうか!」


その一言に全員が笑った。


⸻


「まだ帰り道ですよ」


悠斗が苦笑する。


「だって楽しいじゃん!」


美咲はいつもの調子だった。


⸻


最寄り駅へ着く頃には、空はすっかり夕暮れ色になっていた。


四人は電車へ乗り換える。


朝と同じ車両なのに、不思議と気分は違っていた。


思い出が増えたからかもしれない。


⸻


「また行きたいですね」


莉奈が言う。


「ぜひ」


悠斗が頷く。


「今度は違う季節もいいかも」


紗奈もそう言った。


⸻


美咲は楽しそうに言う。


「じゃあ次は秋!」


その勢いに三人はまた笑った。


⸻


電車が駅へ到着する。


いつもの街並みが見えてきた。


帰ってきたという安心感と、もう少し遊んでいたかった気持ち。


その両方が心の中にあった。


⸻


改札前で四人は立ち止まる。


「今日はありがとう」


莉奈が言った。


「こちらこそ」


紗奈が答える。


美咲も悠斗も笑顔だった。


⸻


「またね!」


手を振り合い、それぞれの帰り道へ向かう。


短い一日だった。


けれど、心の中にはたくさんの思い出が残っていた。


⸻


家へ向かう莉奈の足取りは軽かった。


少し前の自分では想像できなかったほどに。


不安ばかり見ていた日々から、楽しみを見つけられる日々へ。


その変化を感じながら、莉奈は夕暮れの空を見上げた。


第三十一話のテーマは「思い出を持ち帰ること」です。


旅は目的地だけでなく、帰り道も含めて思い出になります。


四人の心には、また一つ温かな思い出が増えたのでした。

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