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異変

「うわっ」

反射的に飛び退く。

アスファルトの上には、黒い猫の死骸が横たわっていた。個人的には猫はとても好きなのでとても胸糞が悪くなってしまい、近くの公園に埋葬した後、ただいまを言う元気もなく、帰宅した。

その日は肉を食べる気にはなれなかった。

————————

————

夢を見た。見知らぬ—-いや顔だけは知っている女、クラスメイトの林道桜が僕に助けを求めている。彼女は気味の悪い化け物に囚われていた。夢の中の俺は逃げた。夢の中の行動と思考が違うということはよくあるが、全然そんなことはなかった。全神経が逃げろというだろう。

———

目が覚めた。ぐっしょりと汗をかき、ベットに跡がつくほどだった。今日はテンションが低くなりそうだ。

今日は彰人は朝練だというので一人で登校だ。正直今日は一人になりたかったので、助かると言えば助かる。

今日は妙に蝉の声がやけに静かだった。こうも静かだと昨日の夜の夢を思い出してしまう。

昨夜の夢が頭から離れない。

林道桜。

同じクラスではあるが、まともに話したこともない女子だ。

成績優秀で容姿端麗。

そんな人間が夢の中で俺に助けを求めていた。

「……くだらん」

自分に言い聞かせるように呟く。

夢は夢なんだ。

教室へ入るといつも通りのクラスメイトがいるはずだった。

「あれ?」

林道の席が空いていた。嫌な予感がする。

あいつは遅刻なんてほとんどしないはずだ。

出席を取り始めると、担任が言った。

「林道さんとは連絡が取れなかった。

何か知ってる人いないか?」

「え?マジで?」

「私も昨日から連絡取れません!」

嫌な汗が流れる。

「林道さん、昨日の夕方から急に連絡途絶えてます!」

その瞬間。耳鳴りがした。

夢の中。必死に叫ぶ林道。

伸ばされた手。

そして逃げる俺。

――助けて。

脳裏にその声が蘇った。

そんなわけない、ただの偶然だ

そう自分に言い聞かせ、無関心を決め込んだ。

しかし現実は無情にもそう言い聞かせる僕を嘲笑うように残酷であった。

帰りのホームルームで林道一家の行方不明が告げられた。

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