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モブ近衛兵の俺が冤罪で投獄されたが、なにやら様子がおかしい!  作者: らいすクリーム


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8/12

なんらかの中心に据えられようとしている空気を感じるが、俺は嫌だ!

「…近衛兵セブン。そこにいるのですか。」


その声は…王妃殿下!何故ここに。

俺は獄中ながらも正しく片膝をつき頭を垂れた。


「殿下…ご機嫌麗しゅうございます。」


鉄扉の向こうで、気配が揺れる。

そして、王妃殿下は小さく息を漏らした。


「…セブン。こんな場所でも、あなたは変わらないのですね。」


弱々しさと気品が同居する声。

倒れたと聞いていたが、少し安心した。声には力がある。

情報は王妃殿下を拘束するための嘘だったのだろうか。

ただ、その奥に“疲労”と“恐れ”が隠れているのが分かる。


殿下は鉄扉にそっと手を添え、近衛兵を見下ろす角度で言葉を続ける。


「顔を上げてください、近衛兵セブン。

あなたが膝をつくべき場所は…このような暗い牢ではないわ。」


その言葉には、あなたへの信頼と、

そして“罪人扱いされていることへの怒り”が滲んでいた。


鉄扉の小窓から王妃の視線がセブンをとらえる。

顔を上げると、殿下は静かに微笑む。

だがその微笑みは、どこか悲しそうでもある。


「あなたがここにいるのは…私のせいでもあるのよ。

守ろうとしたのに…私は、何もできなかった。」


殿下の指が鉄扉をぎゅっと握る。白くなるほど力が入っている。


「だから…ここへ来たの。あなたに“直接”伝えたくて。」


遂に王妃殿下までもが、この牢獄への訪問を果たした。


「申し上げます殿下、これでここへの訪問者は

近衛兵ライエル、影という謎の人物、侍女エリシア、近衛兵隊長ガルド…

そして王妃殿下…これで5人目となります。」


まずは状況を説明、そして続ける。


「看守の数より訪問者が多いとは何か変です。」


礼儀正しくも皮肉を効かせ、この異常事態を“数字”で突きつける。

何者かに拘束されているであろう王妃殿下までもが、

この牢獄へわざわざ単独で来る…これは断じて普通ではない。


「…本当に、そうね。」


その声は驚きでも怒りでもなく、自嘲に近い響きを帯びていた。


「あなたの牢は、王宮で一番“人が集まる場所”になってしまった様だわ。」


殿下は鉄扉にそっと指を添え、

まるでその冷たさを確かめるように触れる。


「本来なら、誰も近づけないはずの場所なのに。

…あなたの周りだけ、妙に賑やか。」


殿下は目を伏せ、静かに続ける。


「それは、あなたが“巻き込まれている”からではなく…その中心にいるからよ、セブン。」


殿下も皮肉を効かせ、この異常事態を俺に突き返す。

重く、しかしどこか優しさを含んだ声で。

殿下は核心に触れ始める。


「ライエルが動くのは、あなたを信じているから。

影が現れるのは、あなたが“鍵”だから。

エリシアが来たのは、あなたにしか頼れないから。

ガルド隊長が来たのは…

…あなたの判断を必要としているから。」


セブンをまっすぐ見つめて言う。


「そして私が来たのは…あなたが、私を救える唯一の人だから。」


他に誰もいないはずの石牢の空気がざわつく。


「あなたの周りに人が集まるのは“偶然”ではない。

みんな…あなたに賭けている。」


殿下は微笑む。

その微笑みは、弱さと強さが同時に宿るものだった。


「だから、訪問者が多いのは変ではないわ。

むしろあなたがここにいるからこそ、皆が動いているの。」


俺は不穏な空気を察した…。何かがおかしい。

重要人物、いや最重要人物かもしれない王妃殿下までもが、俺を最も頼りにしているかのようなセリフの連続。


ここは冷静に立場をわきまえた返答をしなければならない。

俺は言葉を選んで話し始めた。


「殿下…恐れながら申し上げます。

私は"王妃殿下への無礼行為"で投獄されました。


何者かの陰謀による濡れ衣であり、冤罪だと殿下がわかっていらっしゃるのであれば

御みずから私の釈放を申し出てはいただけないでしょうか。

私は何かの中心にいるべき者でもございません、ただの近衛兵であります。」


鉄扉の向こうで、王妃殿下ははっきりと息を呑んだ。


もっともな主張。それは“正論”でありながら、

この王宮の異常さを突きつける刃でもあった。

そして、殿下はゆっくりと口を開く。


「…セブン。あなたの言うことは、すべて正しい。」


静かで、しかしどこか痛みを含んでいる声。


「あなたは無実。私はそれを知っている。

ならば、あなたを解放するのが当然…

本来なら、そうあるべきなの。」


殿下は鉄扉にそっと手を置き、

その冷たさに耐えるように指先を強く押しつける。


「でも…“今の私には、あなたをここから出す権限がない”。」


その言葉は、王妃としてあまりに異常だった。

王妃の声が震える。


「王妃である私が、近衛兵一人の釈放すら命じられない。それが今の王宮なの。」


殿下は目を伏せ、静かに続ける。


「私があなたの無実を証言しようとした瞬間…

私の部屋は“封鎖”された。

侍医も侍女も、私の言葉を外に出さないように動いた。」


影の言葉が蘇る。


”王妃は監視されている、王宮の誰よりも近い存在に。”


殿下は、あなたをまっすぐ見つめ続ける。


「あなたをここに閉じ込めているのは“罪”ではない。あなたを外に出したくない者がいるから。

あなたはただの近衛兵と言ったけれど…それは違う。」


手を伸ばすような王妃殿下の仕草。


「あなたは“見られていた”。

あなたの忠誠、あなたの行動、あなたの言葉…

すべてを“誰か”が観察していた。

陰謀に巻き込まれたのではなく、選ばれたの。

その“誰か”にとって、あなたは脅威なのよ。」


陰謀に巻き込まれたのではなく…選ばれた…?

一体何が起こっているんだ、俺の周りで、この王宮内で。


この陰謀はなんとしても阻止しなければならない。

誰でもなく俺自身のために…俺のやり方で。

王妃殿下には申し訳ないが、ここは譲れない。

俺の普通を聞いてもらうしかない。


「…申し上げます…殿下。

私は陰謀について、何も知りません、

余計な事を誰かに言ったりもしていません。

殿下もご存じの通り、無実です。


ここはひとつ何卒お願い申し上げます。

5人で私の無罪を証明し、

ここから出しては頂けないでしょうか。


私は獄中の身。何もできません。

これ以上ご迷惑をおかけしたくありません。」


俺は王妃殿下の逃げ場をなくす為、

正論を丁寧に置いた。

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