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モブ近衛兵の俺が冤罪で投獄されたが、なにやら様子がおかしい!  作者: らいすクリーム


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6/8

誰もが陰謀を語るが、俺はただの囚人だ!

石牢の壁から、かすかな砂の落ちる音がした。


…上から大柄な男が…来る気配。


その気配は、ライエルでも影でもない。もっと重く、もっと豪胆で“力”の匂いがする。

やがて、階段の上に影が立ち、鉄扉へ向かって、その人物は低く名を呼んだ。


「…セブン。久しいな。」


その声は、あなたがよく知る人物。

王国近衛隊長ガルド・ヴァン・レオン。


あなたの直属の上官であり、王宮の盾と呼ばれる男。

王宮の“表の権力”が動き始めた。


「ガルド隊長…まさか、隊長がここに来るとは…。」


重い足音は鉄扉の前に近づき、止まった。

その存在感は、ライエルとも影の男とも違う。

石牢の空気そのものが、わずかに緊張して引き締まる。


あなたの言葉に、隊長ガルド・ヴァン・レオンは、低く短く息を吐いた。


「…“まさか”ではない。お前がここにいる以上、私は来ざるを得ん。」


いつも通りの低く落ち着いた響き。

だが、どこかに“迷い”のようなものが混じっていた。

鉄扉の向こうで、彼がゆっくりと腕を組む気配がする。


「セブン。お前が王妃殿下に無礼を働いたなど…私はもとより信じてなどいない。」


言葉は、淡々としていてるが重い。


「だが、王宮は今…“疑い”そのものが武器になる。

誰が正しく、誰が嘘をついているかなど、もはや問題ではない。」


鉄扉に近づくガルド。

石牢の空気を押しのけるように。


「私は、お前を助けに来たわけではない。だが…見捨てに来たわけでもない。」


その曖昧な言葉は、彼の立場の難しさを物語っていたが

俺はまたこういうやり取りが…と不安を感じた。


「セブン。王妃殿下が倒れた。そして…王は、お前の処遇を“再審”にかけると言い出した。」


再審が行われる…!?

それは救いにもなり得るし、処刑の前段階にもなり得るが…。

ガルドは俺の反応を待たず続ける。


「だが、その裏で…“何か”が動いている。王宮の中にも私の命令が通らない場面が増えた。」


その言葉は、王宮の腐敗を静かに示していた。


「お前に…一つだけ聞きたいことがある。」


鉄扉の向こうで、彼の気配が鋭くなる。

そしてこの流を読んでいた俺の勘も鋭い。


「セブン。お前は、まだ“王”を信じているか?」


その問いは、ただの質問ではない。

近衛兵としての俺の“立場”を決める問いだ。

ここは慎重にならざるを得ない、だが答えの方向性は既に決まっている。


「その問いに答えるためにはまず…ガルド隊長。貴方がどう思っているのかを聞きたいです。」


近衛兵にあらずとも兵隊であれば”隊長への忠義”は絶対だ。

この質問は、それに揺るぎなどない”俺は隊長の命に従います”という意思表示でもあった。

その意思をくみ取り、ガルド隊長の気配がわずかに揺れた。


俺の問いは、ガルド隊長にとって“踏み込まれたくない核心”だったのだろう。

だが逃げるような気配はない。むしろ覚悟を決めた者の静けさが漂う。


隊長は肩の力が抜けたような声で答えた。


「……私がどう思っているか、か。」


普段の厳格さとは違う。慎重でどこか痛みを含んでいるような声で続ける。


「私は…“王”を信じたい。あの方は、若くして国を背負い、

誰よりも民を思う人物だと、そう信じてきた。」


鉄扉に両手をつく音。ガルドが俯く。


「だが…最近の王は、何かがおかしい。判断が遅れ、言葉が少なくなり、

周囲の者を“疑うような目”をするようになった。」


その言葉は、王宮の変質を静かに確かに示していた。


「王妃殿下が倒れたと聞いても、王は…“動揺”ではなく、“黙認”で答えた。」


ガルドは、拳を握り鉄扉に押し付ける。


「私は…王を信じたい。だが、今の王を“そのまま信じる”ことはできない。」

セブン。私は、お前の目で見たものを聞きたい。お前の判断を、私は信じる。」


その言葉は、上官としてではなく一人の“人間”としての言葉だった。

ならば俺も同じく一人の人間として正直に答えよう。


「なら俺も同じです隊長。王のことは信じたいですが、今は分からない。

今はそうとしか言いようがありません…残念ですが。」


「…そうか。それでいい。いや、それが正しい。」


声は低く、だがどこか安堵が滲む。


「盲信する者は利用される。疑いすぎる者は孤立する。

だが……“信じたいと思いながらも、判断を保留する者”は、最も危険を見抜ける。」


いつもの事ながら、力強い隊長の言葉は

人生においての大事な教訓にも聞こえる。


「セブン。お前は、投獄されここにいてなお近衛兵の精神を忘れず、

“王の剣”であろうとしている。その姿勢を…私は誇りに思う。」


俺自身そこまでは発言していないのだが、隊長はそう理解したのだろう。

その声には“信頼”が宿っていた。


「…実は、伝えねばならんことがある。」


俺は少し驚いた。だがある種の覚悟はできている。

また俺のもとに人が集まり情報が集まる。

何かを待つような石牢の空気が、ひりつくように張り詰める。


「王妃殿下の部屋の前に配置された“見慣れぬ兵”あれは、王の命令ではない。

王の署名がない、命令もない、なのに王妃殿下の周囲が“封鎖”されている。

これは…王宮の中で、王の権限を“上書き”している者がいるということだ。」


影の言葉が脳裏をよぎる。


王妃は監視されている。

王宮の誰よりも近い存在に。


ガルドは続ける。


「セブン。お前が“信じたいが分からない”と言ったその判断こそ

今の王宮に必要な視点だ。」


そして、静かに問いかける。


「…お前は、この局面どう見る?」


他に誰もいないこの場所で、正直に向き合ってくれている隊長に対して

俺もいよいよ心の内に渦巻くものを正直に打ち明けるしかなかった。


「ガルド隊長、”この局面をどう見る”と言われましても

この局面、ここまでの盤面、私が聞きたいくらいです。


同僚のライエルは気軽に何度も来るし、影という謎の男も接触して来ました。

それぞれが俺の知らない情報を持ってきては選択を迫る。


さらには侍女エリシアまでも、俺を陥れた1人なのに

わざわざ薄暗いここまで降りて来て、王妃殿下は悪くない”真相は違う”だとか

真実が知りたいか?などと言いに来ました。」


俺はこの際だからと躊躇せず流れで言いたいことを言ってしまった。


「そして…大変申し上げにくいのですがガルド隊長…

ガルド近衛兵隊長までここに来て、”王の権限を越える者の存在を仄めかす”なんて

こんな事あります?何が起きてるんですか…。


『俺はただの近衛兵、冤罪で投獄されただけ』なんですよ。


”王妃殿下へは無礼を働いてはいませんでした”冤罪でした。

という”普通”の無罪放免を望むのですがいけませんか?」


言ってしまった…。


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