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第1話 「日常」

神の器のリメイクのようでリメイクでない。if物語のようでif物語でない。まったく新しい物語。しかし、リメイクやif物語のようにも楽しめる。これは、神剣と呼ばれる器に選ばれし者の新たな物語。

第1話 「日常」


「この剣は何?」


 少女は、慣れ親しんだ自分の剣を見て、聞いた。

 空調の効いたファンシーな部屋に、熱い空気が流れ込んでくる。扉と思われる物体が、まるでその熱に溶かされたかのように、どろんと大きな穴を空けているからだ。

 そして、その熱い空気が流れてくる方向から、青年らしき声が少女の質問に答えた。


「神剣。そして、俺たちはそれに選ばれし者」


 少女は、溶かされた扉から現れたロングコート姿の青年の手元に視線を向ける。そこには、形容こそ大きくかけ離れているが、本質そのものは同じ物だろうと判断するのにそう難しくない剣が握られていた。


「私の日常を返してよ」


「その為に、助けに来てやったんだぞ」


「私の日常を返してよ!」


「さぁ、帰るぞ」


 青年は少女を無視するように手首を掴み、空調が完全に乱されてしまったこの部屋から去ろうとする。

 しかし少女は青年の手を振り払い、強く言った。


「監禁されてた頃に決まってるでしょ! 女の子の牢屋に乱暴に侵入するあんたみたいな変態にだーれが付いて行くと思ってるの!? って言うか、私を監禁してた奴らは何をしてるのよ! 助けに来なさいよ!」


 それに対して青年は、振り払われた手をもう一度掴み、暴れる少女を今度は半ば無理矢理に引き摺って言った。


「お前は相変わらず変わらないな。だが、そんな話は後だ。とりあえずこっちは急いでるんだよ」


 部屋を出ると、一風変わって近未来的な丸みを帯びた金属の廊下が続いていた。

 青年は、少女の手を引っ張りながら一目散にその廊下を駆け抜ける。

 部屋では聞こえなかったが、警報が鳴っており、廊下全体を赤く点滅させていた。その風景だけで、少女の威勢を黙らせる事は容易だった。


「何これ……部屋を出ると、こんな事になってたんだ……」


 率直な感想を漏らす少女を脇目に、青年は急にその歩みを止め、剣を片手で構えた。その状況を今一掴めない少女は、青年の視線の方向を釣られて凝視する。

 曲がり角だった。先は見えないが、音がする。しかし少女だけはその音が何の音なのか、すぐに察した。


「私のお世話ロボットだ。助けに来てくれたんだわ」


 少女がそう言ってすぐに、丸みのあるフォルムのロボットが3体も姿を現した。


「残念だけど、あいつらには勝てないわよ。悪いけど、私も一度、逃げ出そうとした時にあいつらに捕まって、この剣で抵抗したけどまったく歯が立たなかったわ。可哀想だけど諦めなさいよ。一緒に監禁されたら可愛がって……って……」


 少女が武勇伝を語ってる内に、青年が1体のロボットを一撃で2つに分解していた。荒々しく火花を散らし煙を上げ、まったく動く気配も無い残骸を青年は踏みつけ、残りの2体に駆け出す。

 しかしロボットもただ無抵抗に破壊されるわけもなく、接近する青年に内部から出現させた激しく回転する刃を振り払った。

 それに対して青年は、勢いを残したまま飛び上がり、ロボットの頭の上で側方倒立回転を片手で行い、そして着地と同時にロボットを斜め45度の角度で切り降ろした。

 またもや無残に散乱する断片化されたロボットの破片。

 しかし青年の着地と同時に、もう1体のロボットが青年に火炎放射器の先を向けていた。


「あ……」


 さっきまで強気だった少女が思わず、声を漏らしてしまう。

 そして青年が動く前に、強烈な火炎が勢い良く放たれた。

 青年と一緒に残骸となったロボットまでも焼かれ、無機質が焼ける嫌な匂いが広がっていく。思わず、その匂いと熱風で顔を腕で押えながら後ずさりする少女。

 そうして目を開けるのも一苦労するほどの状況の中、炎は急に収まった。

 恐る恐る少女は煙の先を確認すると、そこにはロボットを剣で串刺しにしている青年の姿があった。


「何者なの……あんた……」


 完全に弱気になってしまった少女の問いに、青年は強く答えた。


「参剣機関所属、ほむら 夏輝なつき。帰るぞ、美月!」

ここまで読んで頂いてありがとうございます!

まえがきで言っている事が良く分からない場合はこちらへ!

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