第38話「ときめき☆魔眼講座」
──天明寺・裏庭。
「よいか雅。修行の第一歩は、相手の心を“視線”で射抜くことにある」
「はっ!魔眼、全力で学ばせていただきますっ!」
「とはいえ、そなたではまだ無理じゃ。まずは見本を見せてやろう」
リリスは一歩前に出て、くるりと振り返る。
「そうじゃな……我の相手は──蓮じゃ」
「れ、蓮さん……!? って、まさか……師匠自ら……?」
「フフンっ!蓮に一撃の視線をお見舞いしてくる。よく見ておれ」
「はいっ……!ワクワク……です!」
──数分後。天明寺の玄関先。
ほうきを片付けていた蓮の背に、スッとリリスが近づく。
「……蓮」
「ん? あ、リリスさん。お疲れさまです」
「…………っ」
リリスは真剣な目で蓮を見つめる。
(落ち着け………あやつの心を、この視線で射抜いて──)
──その時。
「……どうかしました?」
──微笑み。
「…………っっっっ!!?」
視線、交錯。
――その微笑みは、あまりにも自然で………
「──ふにゃっ!!??」
顔を真っ赤にして一歩、二歩と後退。
「ち、違う!これはっ!そのっ!」
「え?ええと……?」
「覚えていろぉぉぉ……!?」
リリスは顔を手で覆いながら、その場からすごすごと撤退していった。
──再び、裏庭。
雅はワクワクしながら待っていた。
「師匠!結果はどうでしたっ!? 魔眼、成功しましたかっ!」
「…………ま、ま、まぁ楽勝じゃな」
「さすがは師匠っ……です!!」
「……あやうく心の臓に矢を刺されるところじゃったが……」
──こうして、雅の魔眼修行は師匠の敗走から始まった。
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