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私と四神と時々退治屋  作者: しゅうらい
探索と退治屋編
22/25

22 キリン、復活! そして、最終決戦へ

 渦の中はとても暗く、そしてとても寒い。

 私、このままどうなっちゃうの?

 私は不安になった。1人ぼっち。孤独。そんな言葉が頭の中を支配する。

「怖いよ……スザク、助けて……」

 あの時、スザクの言うことを聞いていればよかった。私は今になって後悔する。

「もう、何もかもあきらめてしまおうか……」

「あきらめるのは、まだ早いぜ。それに、嬢ちゃんは1人じゃない。俺を忘れるな!」

「え、キリンさん?」

 キリンの声がはっきりと頭の中に響いてくる。そっか、あなたがいたんだ。

 私はキリンがいることにほっとする。

「そろそろ、俺の出番だな」

 キリンがそう言うと、私の体が光りだした。

「何、この光……」

 私の体からまばゆい光が放たれ、私はとっさに目をつぶった。

 暗闇は消え、私は勢いよく外にはじき出された。

「痛いっ!」

「大丈夫?! ことねちゃん」

 はじかれた弾みで私は尻もちをついた。スザクが慌てて私に駆け寄る。

「私にも何がなんだか……あっ!」

 気づいたら、そこには神々しい光をまとったキリンが立っていた。

「キリンさん!」

「おぅ、嬢ちゃん、待たせたな。やっと出られたぜ」

 キリンは爽やかな笑顔を私たちに向ける。

「あんたが、ことねちゃんの中にいたキリンなのね」

「おぅ、スザク。俺のこといけ好かない奴だって?」

「な、なぜそのことを?!」

「嬢ちゃんの夢の中から全部見てたぜ。全く、お前たちは失礼な奴らだな」

 キリンに言われて、スザクはバツの悪そうな顔をした。えぇ、ちゃんと見てましたね。

「というか、そんなことよりあの渦をなんとかしないと!」

「そんなことって、嬢ちゃん酷いなー」

 私が慌てていても、キリンは焦っていないようだった。

 すると、突然地響きがした。

「な、なに?! 地面が揺れて……」

 地面は揺れて立っていられない。キリンとスザクも踏ん張っていた。

 黒い渦の方を見ると、ゴォーッと音を立てて、どんどん周りを巻きこみ大きくなっていく。

「さびしいよ……助けて……」

「あれ? この声って……」

 その声は、この世界に来る前に聞いた声だ。

「あの、今声が聞こえたんですが!」

「え? 私には聞こえなかったわよ」

「俺も聞こえてねぇな。もしかして、嬢ちゃんにだけ聞こえたのかもな」

「そうなんですか?」

「それよりも、ここを離れましょう。あれ、すごくやばいわ」

 スザクに言われて私とキリンは頷いた。

 それから私はスザクに抱えて飛び、山から離れた。

「あ、キリンさんは浮くことが出来るんですね」

「あぁ、俺のことは気にしなくていい」

 私たちがそんな会話をしていると、向こうから何かが飛んできた。

「な、なんだろうあれ……?」

 それはだんだん近づいてきて、その姿がはっきりとわかった。

「じゃ、邪鬼じゃき?!」

 そう、それは邪鬼だった。それも1体ではなく、ものすごい数の邪鬼がこちらに飛んできたのだ。

「あんなの、いっぺんに相手にしないといけないの?!」

「でも、なんかおかしくない?」

 邪鬼たちは私たちを素通りして山の方に飛んでいった。

 というより、山に吸いこまれていくようだった。

「なんなの、あの山……」

「山というより、あの渦が原因だろうな。ほら、邪鬼を吸収してどんどん大きくなっていくぜ」

 私たちは一旦町に戻ることにした。

 町に戻ると、私たちが戻ったのがわかったのかセイリュウたちがこちらに駆けてくる。

「よかった、お前たち無事だったんだな」

「一体何が起きているんだよ。邪鬼どもが急にどっか飛んでいっちまいやがった」

「僕はそれより、ことね殿たちと一緒にいる男の存在が気になるんだけど」

 3人ともキリンを見て、不思議そうな顔をしていた。

「この人は、私の中にいたキリンさんです」

「よぉ、はじめまして。上から目線のいけ好かない横柄な男です」

 キリンはおちゃらけて言っていたけど、全然目が笑っていないよ。

 私が苦笑いを浮かべていると、セイリュウたちはスザクのように、バツが悪そうな顔に変わった。


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