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神様のおねがい  作者: もやしいため
第六章:魔石収集
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対リザード2

リザード相手に無双するのは理熾くらいかもしれません。

少なくともEランクでこれだけ動ける者は居ません。

理熾が驚くのも無理はない。

何せこの世界に来て始めて【スキル取得】を利用しない修得だったのだから。

しかも名前が【限界突破】ときた。

もう毎回のように突破してるのに「何で今更?」という感じである。


 【体術】で限界以上を出している訳だけど、効率は良くないって事かな?

 反動がどれくらいなのかとかがわかんないと使えないよねぇ…。

 出力とか継続時間の調整とかって【体術】がしてくれたりするのかな?


疑問は尽きないが、とりあえず後回しである。

とりあえず眼球とはいえ弓でダメージがある以上、大きなリザードも投剣を頭に直撃させれば勝てそうだ。

「結局投剣の威力で押し切るのか」と思うと残念でならない。

切り札(ジョーカー)のはずなのにビシバシ使いまくってる気がするのだ。

「これではただの強い武器だ」と理熾は思う。

しかし気付いていない。

単に『使わざるをえないレベルばかり相手にしている』ということに。


「リオ君すまない。

 一人そっちに逃がした!」


フィリカの《精霊の囁き(ウィスパード)》を介して伝えられた情報を確認するのに時間は必要なかった。

大きなリザードの正面に汚れ集団の一人が走りこんで来たのだ。


 まさか逃げられないと知って証拠隠滅(自殺志願)


そんなことを思うが、逆転の目を持っているかもしれない。

放置するには危険すぎるとの判断を経て行動する。

座標認識で彼我の距離を測定。

即座に相手を基点に設定後、空間魔法を準備する。

形は檻。

作り方は超簡単に設定する。

対象の正面に距離1m、高さ2m、幅5cmの柱を鉄線(フレーム)で幻視する。

後はコンパスでなぞる様に1本目から25cm刻みで同じ柱を作っていく。

一周回れば半径1m、高さ2mの檻の完成だ。

起動時は設定でどうにでもなるので良いとして、その後は座標に固定するのでこういう使い方が出来るのだ。

イメージが出来た端から瞬時に展開。

跳んで逃げられないように念のため障壁で蓋しておく。

即席の檻が完成した。


そもそもの話だが、空間魔法の障壁は見えにくい。

空間そのものに作用するタイプなので、見えない訳ではないが、もや(・・)が掛かったような感じになる。

故に気付きにくいのは仕方ない。

が、囲うように作った檻に「ゴン!」という結構な音を立てて突っ込むのは不注意すぎる気がする。

「いくら急いでいても、多少の警戒心はあっても良いのでは?」と思う理熾。

後、檻が壊れずに良かったとも思う。


ちなみに箱型にしなかったのは密閉してしまう為。

すぐさま酸欠にはならないだろうが、暴れ回るようなことがあればすぐさま使い切るだろう。

今のところ殺人に手を染めるつもりは無い。


 これでとりあえず時間稼ぎ出来る。

 まずリザードを仕留めてから…って、時間掛け過ぎた!?


理熾が改めてリザードの動きを捉えた時には、檻ごと(・・・)食われていた。

作った檻は一瞬だけ抵抗してたわんで砕けた。

人用の檻だし、何より足止め用。

強度はそれ程求めていなかったので脆いといえば脆い。

それを竜種が食った。

左目が見えないからか、それとも理熾と他の人との区別が付かないから。

単にお腹が空いていたからは分からないが、とにかく躊躇い無く食った。


誰かは分からなかったが、竜種の前に飛び出せば同じ結果にしかならない。

むしろ理熾が檻を作ったお陰で一瞬だけ寿命が延びたくらいである。

それくらいリザードは早くて強靭なのだから。

食べられてしまったことに理熾は悔やむ。

「檻さえ無ければ逃げられたかもしれない」と。

実際そんなことは絶対にない。

檻に気付かずにぶつかるくらいのレベルなら、飛び出すこと自体が自殺行為なのだから。


しかしその後の光景に理熾は絶句する。

竜鱗の下で骨格が変わるような…肌の下をミミズが這うような感じでリザードの身体がボコボコとうねりだす。

ただただとても気持ち悪い光景だった。

そうこうしている間にリザードの左目が「ぐりゅん」と再生(・・)した。

気が付けば投剣の打撃を与えて折れていた牙も生え揃っている。

新型を使わされた挙句にコレではやってられない。


だが状況はもっと切迫している。

頭を投剣で破壊されて仕留めていた小さい方を食らい出したのだ。


「ちょ!

 それは僕のだよ!?」


思わず声に出るが、そんなことはお構い無しに食らう。

魔力を食べるのだから、相手が何であれ良いというのは分かる。

同系の魔力を持つから、同属を食べる方が効率がいいのかもしれない。

けれど、ほぼ同じ体格の身内を休むことなく食らうのはどうなのだ。

一体何処にその量が入るというのだ。


その光景をぼうっと見物していたわけではない。

すぐさま反応して矢を放った。

それはもう鬼のように。

《乱れ撃ち》、《二の矢》、《影矢》は言うに及ばず。

剛孔(ごこう)》という、威力が激増するが生命力(HP)を削る武技。

穿矢(せんや)》という、矢が止まるまで威力が持続し続ける武技など。

弓の武技は5つしか知らないが、《二の矢》《影矢》のように、いくつかの武技を組み合せたりもした。


一番威力が高かったのは《乱れ撃ち》に《穿矢》を乗せたコンボだった。

《穿矢》のタメをしている間に《乱れ撃ち》の準備を行い、タイミングを合わせて発射する。

《乱れ撃ち》は矢を分割して威力等を減じるが、《穿矢》は速度が威力に直結するのでまさに矢の雨が降った。

しかも威力は据え置きで。


それでも相手はこちらには目もくれずに貪るのだから、当てるのは容易い。

目や、足の関節、眉間等に武技を駆使してバカスカ撃ち込むのだが意味が無い。

いや、当った瞬間は確実に潰れたり壊れたりしているのだ。

それがたった30秒程で復元してしまう。

しかしそんなスキルは存在しなかった。

だとすると【隠蔽】持ちか、もしくは今まさに手に入れたかだ。


 いや…もう一つ…。

 これ(・・)が【増殖】の効果…?


にしては醜悪すぎる。

ほんの数分前まできちんとリザードの形をしていたのだ。

それが今はぶくぶくと膨れ上がっている。

膨れた部位が沸騰したかのように水泡が浮かんでは割れる。

繰り返してさらに体積を増していき、しかも食べる速度も上がっている。

これでは危険すぎると投剣で頭を撃ち抜いたのだが、きっちり貫通したのにも関わらずに即座に回復した。

この状況を『回復』と呼べるかは甚だ疑問では有るが。


それにしても最早『食らう』という行為ですらなくなってきた。

蹂躙という言葉が相応しい。

ウネウネと表皮が蠢動しながら、小さなリザードを体表から吸収しだした(・・・・・・)のだ。

身体全てが口の様な状況だ。

頭を撃ちぬいても止まらない。

最早脳が機能しているのかも疑わしい。


対策を考える為に目の前の獲物に食らい付いて離れないリザード(?)から一時的に距離を取る。

食い尽くしたら次はこちらの番である。

出来るだけ邪魔したいが、攻撃が全て無意味なのだから仕方ない。


「フィリカさん!

 【増殖】の効果を教えて!」


とスキル辞典扱いしているフィリカに問う。

理熾には《精霊の囁き(ウィスパード)》を使うことは出来ないが、彼女なら確実に答えてくれると信じて。

一瞬の空白の後、声が聞こえる。


「【増殖】持ちなら、そいつはもう無理だ。

 【増殖】はユニークスキルの中でも持ち主を侵すタイプだ。

 普段は大人しく身体の調整を行うのだが、危機が伴うと暴走する。

 今のように連鎖的に増殖を始めて肉で埋めて防衛する。

 その間意識はゼロで、なおかつ凶暴化…というより外敵を取り込もうとする」

「増殖するのはともかくとして、そのエネルギーとかどっからくるの?

 増える為の元手が無いと出来ないし、あったとしても使い潰しちゃうでしょ?」


「だからユニークなのだ。

 【増殖】は1のエネルギーで1の増殖を行う。

 つまり増えるくせにロスが無い」

「え、それだと現状変わらないって事じゃ?」


「違う。

 1のエネルギーから、1の増殖だ。

 そしてエネルギーの生産が2に増える。

 生産が2あれば2のエネルギーから2の増殖。

 生産が4に増え、回復すれば4のエネルギーから4の増殖」

「うっわぁ…なるほど。

 ワンクッションあるけど倍々に増えていくってことか…。

 肉体派のリザードとは相性良すぎるよ…」


「そういうことだ。

 【増殖】持ちは放置して、落ち着いてから瞬殺する方が良い。

 ユニークを持っているのは限られているが、まさかこいつ(リザード)とは運が無い…。

 しかし危機に陥らせるほどの手傷は負っていなかったはずだが…?」


理熾も疑問に思う。

潰したのは左目だけだ。

たったそれだけで危機とは言い難い。

そんなことで暴走するならとっくの昔に暴走している。

狩りをするにあたって無抵抗の獲物ばかりとも限らないのだから。


 そうなると原因は…ッ!?


フィリカにダメだと言われても仕留めるつもりであった理熾にいきなり【神託】が割り込んだ。

またもや緊急らしい。

本当に止めてもらいたい。


---+---+---+---+---+---

【神託】

進化を止めろ!!

達成内容:リザードの討伐


【増殖】の暴走状態のまま同胞を食らうリザード

過度のエネルギーを蓄えた魔物は進化と言う消費(・・)を行う

竜種のバジリスクに変化しきる前にこれを倒せ!


出来なければガーランド(・・・・・)が崩壊する


報酬:国際情報

---+---+---+---+---+---


 うそーん…。


理熾が国家の危機に直面した瞬間だった。

お読み下さりありがとうございました。

まさかの国の危機に巻き込まれました。

まぁ、【神託】が無ければ気付かないんですけどね?

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