対リザード3
書き出してから初めて完全にストックがゼロに…。
不定期更新に突入しそうです…。
思わず意識がぐらりとしたが何とか耐えた。
神様に対して「ふざけるな」という思いと共に、「仕事しろ」という言葉を送りたい。
本来一番送りたいのはこの世界で培った攻撃力なのだが。
「フィリカさん。
バジリスクに進化するっぽい。
ここで止めないとアルスどころか国が無くなる」
「……なるほど、強制進化か。
【増殖】がある以上はその手も悪くない…。
あぁ、違うな。
進化で消費しないと器が壊れるのか。
どう見てもエネルギー過多だからな…そのまま爆散すれば楽なのに」
と、フィリカがあっさり状況を見抜く。
たった一言でこの反応…。
何というか…神様より余程凄くない?
【看破】持ってるんじゃないよね…?
相変わらずのフィリカクオリティ。
しかしこれでどちらにせよ目の前のリザードを倒さねばならなくなった。
アルス自体がなくなるのは別にいいが、ギルバートやセリナが困るのは嫌だ。
理熾にすれば単にそういう理由。
フィリカにしてみれば弟子も店もある。
店に関してはどうにでもなりそうな気はするが、やはりアルスは愛着があるはずだ。
「リザードの討伐がえらい大事に…」
「進化に立ち会うなんてのは基本無いからな。
良かったんじゃないか?」
嘆く理熾に飄々と答えるフィリカ。
何故だか余裕があるのが凄い。
「フィリカさん、対策はあるの?」
「おや?
リオ君にしては珍しい。
これまでの話で対策が練れなかったのか」
「え…?」
思わず声が出る。
毎回のことながら、フィリカのハードルの高さには驚かされる。
それをクリアし続けている理熾も大概だが。
ということは。
これまでの話で対策が立てられるということか…。
要はエネルギーが多すぎるってことだよね。
そもそも【増殖】の暴走で増えてる上に同属を食べたから多くなりすぎた。
てことは消耗させれば良いってこと?
と結論付ける。
しかしそれはそれで時間が掛かる。
むしろ【増殖】が無尽蔵にエネルギーの生産経路を作るのが問題なのだ。
それを片っ端から潰して回っても間に合わない。
何せ先ほど理熾が散々弓をぶっ放したではないか。
「痩せさせるのは難しくない?」
「くく…そうだな、あいつは無理だ。
食わなくても太るんだから手に負えない…であれば、根源を絶つ」
「核か!」
「正解。
今回は時間が掛かったな」
「だって頭壊しても生きてるし…」
「暴走状態だからなぁ。
バジリスクになった時に理性とか知性とかが戻るのだろうか?」
「無理じゃない…?
少なくとも2本貫通してるから…」
と戦果を報告する。
頭に投剣を投じた結果、暴走竜は止まっていない。
この場でどうにかするには核を壊す必要があるが、そもそも
「フィリカさん、核の位置って分かる?」
「ん?
単純に心臓を撃ち抜けば良い。
思い切って割ってくれて問題ない」
「材料的にも?」
「あぁ、大丈夫だ」
「けど心臓って何処にあるの?」
「………見た目じゃ分からんな…」
そうなのだ。
最早肉の塊にしか見えず、竜鱗など見当たらない。
全てあの肉の下である。
放っておけば竜鱗に変化していくかもしれないが、あんなにずんぐりな竜種は嫌過ぎる。
一応起伏の関係で大体の部位くらいは分かるのだが、身体の内部。
しかも中心とも言える心臓を外から判断することなど出来ない。
手持ちのスキル、知っているスキルを駆使したところでレントゲンのような効果は手に入らない。
「探査魔法を使えば場所はある程度特定できるが…。
私がやるとなると周辺全て吹き飛ばすしかない。
リオ君みたいに貫通属性で攻撃するとなるとどうしても数を撃たねばならないしな」
「結果が変わらん」と続ける。
場所の特定が難しく、しかも誤差もある。
それなら心臓周辺を吹き飛ばすという手になるわけだが、体内への直接攻撃は不可能。
つまり攻撃する場合は全て吹き飛ばさないと心臓まで届かないというわけだ。
1mの誤差を予想するなら1mの範囲が消し飛ぶ。
これではとりあえずは討伐は行えるが魔石も手に入らないし、材料も絶望的だ。
「リオ君がやるなら投剣があるからピンポイントで狙える。
が、今度は狙いがシビアすぎて当たらない。
数を撃てばいつかは当たるだろうが…残り何本残っている?」
「発射待ち旧式5本、新型[蓄魔石](回転)が1本の計6本。
予備が旧式2本、新型の蓄魔石、血魔石がそれぞれ1本の計4本です」
「合計で10本か…カンで狙ってみるか?
ダメなら私が吹き飛ばすということで…制限時間は15分ほどだろう」
「うん、狙い打つ…よ?
あぁ!
そうか!!」
「どうした?」
「いや、気にしないでこっちの話!!」
閃きとは本当にどのタイミングで現れるか分からない。
それを毎回のように感じる理熾である。
この緊急事態では素材や討伐証明などまで考慮するのは物凄く贅沢なのかもしれない。
しかし諦めるのはまだ早い。
そうか、カンだよカン!
【直感】がある!
そう思って【直感】に集中する。
基本的にパッシブは意識しなくても動いている。
それを集中したところで大した意味は無い…つまり、分からない。
くぅ…ダメか?
いや、報酬!!
スキルLvを上げられる!!
リザードとの距離は離れている。
自慢の【直感】はLvの制限があるものの全力で働いて身の安全を告げる。
少なくとも目標は食事に夢中なようだ。
そして更に集中するために、選択をするために眼を瞑る…。
まずはハイオークの報酬分でスキルLvを強制的に引き上げる。
先程取ったばかりなので、Lvが低いからとても勿体無い気はする。
他のものを上げたほうが良いかもしれない。
むしろもっと窮地に陥ったときに逆転の目として残しておくべきだろうというのは頭で理解している。
けれどこのスキルは今後とても役立つと【直感】が囁く。
一刻も早く『使えるレベルにしておけ』と。
そして【直感】は閃きや発想などと相性がとてもいいことも理熾は理解している。
だから
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告)【直感】のLvを上げますか? Yes/No
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の問いに躊躇わず「Yes」を意識する。
これで残り2回分。
まだ分からない…微かに反応があるが、分からない。
もしかすると上げるものを間違ったかもしれない。
そんな思いに一瞬駆られる。
が、もう遅いし、躊躇わないと決めている。
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告)【直感】のLvを上げますか? Yes/No
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ガゼルの報酬分で更に上げる。
これで残り1回。
うっすらと気配がする。
大体の場所が分かった。
周囲1m未満にまで特定できる…が、それでもまだ足りない。
これならフィリカがやっても同じ精度である。
全く意味が無い。
それとは別だが、フィリカは洞窟内にいるらしい。
にも関わらず、こちらの状況を把握している。
全く恐れ入ると思ってしまうが、それすらも【直感】を上げて初めて気付いた事実である。
しかもフィリカの周りに4つの気配がすることを思えば完全に無力化したらしいことも理解する。
ここまで分かってもまだリザードの内側が分からない。
アレだけのエネルギーを生産している、高出力の核を分からないなんておかしいはずなのだが。
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告)【直感】のLvを上げますか? Yes/No
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ギルバートの報酬分で更に上げる。
これで使い切ってしまった。
虎の子のLvUP報酬を手に入れてたった一週間程度で使い切るとは思わなかった。
しかしこれでようやく核の居場所が分かる。
煌々と高エネルギーの部位が感覚上に浮かび上がる。
【索敵】で『危険度の高い部位』を探る。
【解析】で『高エネルギーの位置』を探る。
さらに【直感】で『二つを駆使してカンを働かせる』という方式によってようやく見つけられた。
やはり身体の構造を知らない上に、普段とは違う構造に変化している竜種を見通すのは難しいらしい。
「いける!!」
目を見開いて《二の矢》《影矢》を2箇所に放つ。
まずは矢で表面の肉を排除するために。
確実に仕留めるために少しだけ角度を変えて。
少しでも穴が開けばそれだけ『貫く厚み』は減るからだ。
着弾後確認もせず、矢で攻撃した場所に旧式投剣をそれぞれ1本放つ。
「ズドン!」という貫通音を立てて肉の壁、竜鱗を突破して突き刺さる。
ここまでは先程と同じ。
あとは核にまで届くかどうか…。
「なっ!!
途中で止まった!?」
そう、分厚い肉を貫通した後に竜鱗を突破した。
しかしその下にある強靭な筋肉を貫き切る程の威力は残っていなかったのだ。
まさしく土手のような状態である。
しかもすぐさま肉で埋めて修復が始まる。
ダメだ、回復されたら意味が無い!
と同じ角度、同じ位置から投剣を2本更に追加し畳み掛ける。
同じ軌跡を辿り放たれた投剣は吸い込まれるように同じ場所に着弾。
筋肉を抉って心臓へと突き刺さる…はずだった。
「避けた!」
威力は完璧だった。
その証明として、反対側から2度目に放った投剣は飛び出した。
外から中への攻撃には強く、中から外への攻撃はやはり弱いらしい。
体内から外へ何かが吐き出されることなど無いのだから、完全に貫通しきったのだ。
しかし筋肉の壁、ないし肉の壁によって軌道をずらされた。
いや、これは
心臓の場所が動いた…。
本来であればありえない。
身体が動けば確かに場所は移動する。
しかし、身じろぎもせずに目の前のリザードに喰らい着いているのだ。
多少の誤差があろうと、2本とも回避するなど不可能だ。
くそ…。
増殖で心臓周りの肉の厚みを変えて心臓の位置を微調整してる…。
これではいくら撃っても意味が無い。
そもそも到達するまで投剣が最低2本必要だ。
同じ軌道で放たなければ届かないので、1本目の軌道さえ外せば2本目も同じく外れるという寸法だ。
そして1本目と2本目の投射速度を上げても同じ。
1本目にそのまま貫通する威力があっても躱される可能性がある以上、2本連射でのタイムラグは絶対に届かないと思うべきだ。
考えろ…。
方法はあるはずだ。
………貫通力!
新型投剣[蓄魔石](回転式)を発射する。
これならば心臓にまで届くはずだ。
しかし目論見は脆くも崩れ去る。
今度はリザードが危険を感じたらしく、タイミング良く身体を動かしたのだ。
確かに距離的には心臓に到達していた。
しかし途中で身をよじり、身体の向きを変えられてしまえば心臓には直撃しない。
心臓から50cmほど離れた位置で止まってしまった。
リザードは危機が去ったと本能的に悟ったのか、すぐにまた餌を食べだした。
くそ!!
理熾は思考のギアを上げなおす。
少なくとも回転式であれば表皮から心臓までは到達する。
つまりキチンと当たれば問題が無いのだ。
残りは相手の動きを止め、なおかつ一撃で貫通できるだけの威力の攻撃を放つこと。
あの肉壁と竜鱗、筋肉が邪魔…。
どうすれば無視できる…?
いや、その前に動きを止めないと…。
でも僕の持つ手札じゃ止まらない。
障壁も一瞬で噛み砕かれたし…。
そうして幾通りもの方法を考えては捨てる。
組み合わせては否定する。
フィリカが提示した時間が迫ってくる。
「リオ君、そろそろ時間だ。
これ以上は私でも止められなくなる。
バジリスクに成ってしまうと私でも手出しが出来ない」
最後通告だろうか。
フィリカが口に出す。
結論は出た。
だが出来るかどうかは分からない。
だから、実行する。
「フィリカさん、最後に一回だけ。
失敗したらお願いします」
またも尻拭いをフィリカに頼む。
本当に申し訳ない。
そう思って準備を始めた。
お読み下さりありがとうございます。
書きたいからと始めてみたものの、読者がいらっしゃるとテンション上がります。
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