情報交換2
ふと日付を見て気付いたのですが、先日の1/29ってこの話を投稿し始めた日でした。
元々記念日などを覚えるのが不得意で、しかも特に何も考えずに投稿を始めたのであっさり忘れ、今に至る…ちなみに2014年からなので三周年となりました。
随分書いたものですが、読者の方々も随分と読んでいただけているものだなぁと嬉しく思います(笑
これからもよろしくお願いします。
「というわけで。
多分珍しいだろう妖精憑きとか、僕の実力は今のところ広めたくないから、商人とか魔術紙片使いとか弓兵ってことにしてあるよ」
半年以上前からの懐かしくも苛烈な日々を話し終え、理熾の秘密主義は終わりを告げた。
一番危うかったのはやはり準備が全く整っておらず、辛うじて装備と戦闘指針が間に合った緊急依頼だ。
まさに何も持たなかった時に参加するなど、ネーブルからすると異常の一言。
いくら【神託】に背を押されたからと言っても、様々な準備をし、味方を抱えた今でさえ危なっかしいのに…と、終始厳しい顔で話を聞いていた。
また、いつでもあけみやで帰りを待っていたセリナは、安堵と恐怖を交互に顔に浮かべて激変させていた。
一番身近に居たはずの子供は、その実とても危うい戦線を生き抜き、気付けば魔境にまで手を出そうとしている。
今まで何とか大丈夫だったが、今度こそ何かあるのでは…セリナの心境は察するに余りあるだろう。
対する幼馴染といえば…。
「へぇ…だから【幻影の首札】が必要だったんだね」
「てっきり女装趣味に目覚めたのかと…」
「そんなわけないよ、それなら服も着替えるでしょ!」
「着替える?
いっぱい持ってきてるから選ぼうか!」
「あ、良いね。
あっちでお姉さんたちとお着替えしよう?」
「あぁ、もう、話が進まない!!」
深刻な状況の数々を乗り越えてきた理熾を指差し、ケラケラ笑いながらからかう。
最初こそ驚いていたものの、理熾の生き様は冒険譚でも通用する。
ただガーランド周辺どころか辺境アルス近辺なところを除けば、だが。
「それでそっちはどんな感じなのさ。
ヴァルトルでさらっと訊いただけなんだけど」
「んー…そんなこと言われても理熾君より波乱万丈じゃないよ?」
「そうそう、クラス取るだけで死にかけるとか、初の大規模戦闘で敵勢力半壊させるとかやってないし」
「それは成り行きなの! 仕方なかったの!」
理熾の抗議は虚しく響くのみ。
誰も取り合わず、二人はそのままステータスを開示する。
「そうだねぇ、最初から<武の極致>のクラスと【戦神の祝福】が付いてたかな」
「あたしも<魔の極致>と【神術の福音】で、Lvもそこそこ高かったからね」
「いや…60代でそこそこって二人は今いくつなの?」
「136」
「あ、負けたぁ…あたし133だ」
「うっわぁ…ふざけてるわぁ…」
余りにわかりやすい格差に、理熾は「これが差別か」と改めて項垂れる。
しかしこの場には幼馴染三人だけではなく、臨席する残りの二人は…目が飛び出さんばかりの驚愕を顔に浮かべる。
何だかんだでラザフォードのLvも高かったこともあり、やはり【神使】のユニークスキルは異常な性能を持っているのだろう。
「いや、そもそもLv100以上はまず『人外認定』されるからな?」
Lvがすべてではなくとも、Lvは強さを測る指標なのは変わらない。
三つ目のクラスを持つ一流の目安がLv70を越えた辺り。
それを大きく上回るLv90やLv120ともなれば、ネーブルの言う通り十分『人外』に足を踏み入れているだろう。
神の二つ名持ちは伊達ではなく、明確な戦力を携えているわけである。
「うーん…まぁ、魔境をほぼ単独部隊で掃討して回ればLvとかポンポン上がっていくよ」
「そうそう。
って言っても部隊員は停滞期迎えちゃったりするけどね」
気楽に言っているが停滞期を乗り越えること自体が難しく、伸び出してもすぐ先に停滞期が待っている。
戦闘を仕事にしている者達でも、討伐難易度が上がるのは死に直結するため尻込みする。
そこを義務感や報酬で補い戦地へ向かうわけだが…何事にも限度はあるのだ。
自身の才能に疑問を持たない若手ならば、たとえ死地であっても踏み越える覚悟を持つかもしれない。
しかしある程度熟練してしまえば、戦場の機微を理解してしまえば、そうそう安全の外側へ踏み出すことは無いだろう。
そうして停滞期に阻まれることになるが、神持ちの二人は危険な最前線を闊歩し続け今に至る。
たかだか停滞期程度に歩みを止める暇などなかったとも言えるだろうか。
「せめてスキルを知りたい【解析】を使うぞ?」
ネーブルが一言断り、二人へと視線を向ける。
ジリっと目に力を込めるように眉間にしわを寄せたネーブルは、すぐに「ラザフォードと同じだ」と嘆息する。
「うん、そのラザフォードって人も迷い人なら無理なんじゃないかな」
「それにしたってお前達のは全く…いや、そうかLv差か」
「あ、うん、そうだね。
【隠蔽】とか持ってるわけじゃないんだけど、【神使】って解析系スキル阻害するんだよ」
サクサク進むやり取りに、理熾も負けじと【天上の眼】を展開。
ネーブルの【解析】が通らずとも、ユニークスキルならば見通せる可能性も…。
「あ、理熾君も覗いてる」
「エッチ…って、【診断】とか持ってたんだね?」
「……何でわかるの?」
「…気が付かないヤツも多いが、視線に魔力が流れるからだ。
討伐者で言うならAに近いBランクより上には見透かされると思っといた方が良いぞ」
「そうそう、覗かれるとゾワって反応するようになるんだよね」
「で、見れたの?」
「クラスだけ…って、ユニークスキルで見れないとか【神使】ってどんな性能なんだよ!」
持っているだけで強力な効果を発揮するであろう、【神使】の不公平な現実は未だ変わらない。
それにしたって同じユニークランクの【天上の眼】がほとんど通らないのは酷すぎた。
こうなるとどう足掻いても…たとえば<診断士>を連れて来たところで意味がない可能性が高い。
しかし、理熾以外の問題はそこではないのだ。
聞き流せない、聞き捨てならない言葉を吐いたのだから。
「……理熾君のユニークスキルって【スキル取得】と【武神】だけじゃなかったの?」
「あー…今四つかな?」
「「「「四!?」」」」
「…ん?」
「ユニークってのはな、主人。
たった一つ持つだけで強者、二つ持てば英雄と言われるような人を外れるスキルだ」
認識の齟齬に今度は理熾が首を傾げる。
いくらユニークにスキルが多くとも、【スキル取得】は微妙に使いにくく、【武神】はクラスと同じく手に入れている。
残り二つの【天上の眼】と【干渉魔法】は複数スキルを統合して格上げによるものなので、実質的に『ユニーク』と言えるものは【武神】くらいなのだ。
「そうなの?
でもいくつかのスキルが統合されてユニークに移動しただけなんだけどなぁ…」
「逆だ馬鹿。
『いくつものスキルを統合するほど強力な上位スキル』なんだよ。
あぁ、もう…なんだってこんなに自分のことになると抜けてるんだ…」
「「理熾君だしね」」
自己評価の低い理熾を、幼馴染は楽しそうに肯定する。
こうして再度理熾の情報が引き出され始めた。
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「って、僕のことばっかりじゃないか!」
ステータスから始まり、各スキルの説明までを終えた理熾が吼えた。
というのも、理熾が持つスキルの経緯が追っていけず、その都度何かでぶち当たるのだ。
【索敵】や【隠密】などの初歩的なものなら分かりやすいが、統合スキルともなれば意味が分からない。
そこに【神託】まで絡めば更に複雑化するため、状況を知る【神使】を持つ二人ですら、突き刺さりそうな視線を送る始末。
気が付けば吊るし上げされているような感じだった。
「魔境攻略するの!
術神と戦神の能力開示を求む!」
バン、と手の平で机を叩く理熾。
そもそもステータスなら【神使】を持たない理熾が相手なのだから、ネーブルが【診断】すれば事足りる。
嫌がらせ以外のなにものでもない…と気が付いたのはあらかた説明した後だったりする。
「そうだな、そろそろ真面目に話を進めよう。
この場に居るのは味方ばかり…まずは戦神から説明を頼もう」
プンスカとパフォーマンスで不機嫌アピールを見せている理熾を脇に置き、進行役となるのはやはりネーブル。
理熾が信用する『幼馴染』という関係から、代償はすでに過大なまでに支払った。
これだけ理熾の情報を開示した以上、包み隠さず神持ち二人の情報を吸い上げねばならない。
「いいよ、元々そのつもりでさっき【診断】受けたわけだしね」
気楽に構える戦神はあっさり頷き、今度こそ神持ちの情報が開示される。
お読みくださりありがとうございます。
さて、今回もまたこの思い付きの他作品紹介企画に巻き込まれた一人目、まーたゃんさん推薦。
相変わらず教えて頂く作品は面白く、趣味が合うとしか言いようがありませんね!




