第31話 終止符には早すぎる
合体した異世界人は、ただの固い巨体ではない。
殴ればその場所に触れる前に分解され、
攻撃が当たらない。
「ふはは!
エネルギーがなくても、
ゼータなんぞ恐れるに足らぬ!」
勢いづく異世界人を余所目に、
俺はゼータの声に耳を傾けた。
「空に浮かんでる円盤を破壊できれば、
『彼女』を助けられるはずだ。
ただ、元通りの姿に戻れるかわからないけど」
あの円盤を何とかする。
まず円盤は空を飛んでる。
しかも、ここから見てかなりの大きさだ。
直径が甲子園球場くらいはありそうだ。
「あの円盤、
見た目は金属みたいだけど、
目の前のコイツと同じで肉片の群体だ。
破壊するのはかなりの骨だよ」
どうにかするには、エゼキエルが必要だ。
だが、目の前のコイツを先にどうにかしないと、
歌うマサヤが危ない。
「『彼女』、すごく抵抗してる。
円盤を攻撃するなら、今なんだけど」
ゼータの言う通りだが、
ここには俺一人。
いつものように特捜隊の皆はいない。
特に一班と三班の援護はかなり助かっていた。
「目の前のコイツは、
つまりは小さいのの集まったものだ。
ナマコみたいに、
攻撃されたらわざとバラバラに散って逃げる。
なら、面での攻撃は効果がある」
俺は腰のベルトを叩いて叫ぶ。
「ゼータランス!」
俺の目の前にゼータランスが現れた。
俺はそれを掴んで構える。
ゼータランスはエネルギーを穂先から放つ『フラッシュ』と言う技がある。
それは威力は低めだが、
人間一人ならすっぽり包むほどの広範囲攻撃だ。
「させん!
『武装解除』!」
異世界人のロボットような両肩がうごめいて作り変わり、
パラボラアンテナのような形になる。
そのアンテナから妙な光線が放たれ、
俺はそれを避けきれず触れてしまった。
「なっ?!」
ゼータランスだけでなく、
ゼータ・ディアスタシの防具が解除されて生身の姿に戻ってしまった。
「なるほど!
『不死身の男』が『次元の守護者』!
それなら納得だ!」
異世界人にゼータの正体がバレた。
それよりなにより。
「ゼータ、どこにいる?」
俺の身体からゼータの気配が消えた。
ゼータは単身では何もできないどころか、
一人では命が危ない。
それくらい彼はこの世界に拒絶されている。
「ヒロセ君!
私は大丈夫!
マサヤ君に避難させてもらった!」
振り返ると、
マサヤのそばに唐草模様の巾着袋が飛んでいる。
「でも!
なぜかヒロセ君のところに戻れないし、
近寄れない!」
ゼータの無事は確認できたが、
ゼータの援護もなくなってしまった。
しかし、目の前には異世界人がいる。
「これは、マズいなぁ」
俺は苦笑いした。




