・序章 悪魔との邂逅
私の処女作である記憶菓子。この作品の主人公と同じで高校生で小説に関して初心者且つ趣味で書いてみているだけです。なので、表現が拙かったり文章がおかしい所が多々あると思いますが、ご了承下さい。一応オリジナルですが、他の作品やアニメ、ゲーム等で似たような部分があるかもしれません。
ピピピピッピピピピッ…
いつものアラーム音で目を覚ます
「ふわぁ~…」
ベッドの上で大きく口を開き欠伸をし、体を起こし軽く伸ばす。時計を見ると7:20を指している
「…もう朝か」
俺はベッドから出て目を擦りつつ部屋のドアを開けて階段を下り洗面所へと向かう。
前の鏡には寝癖でボサボサした眉毛ほどある黒い髪と少し細い目、どこか冴えない顔をして気だるそうな表情をした男が写る。そう、この男こそ俺こと荒木 司だ。
俺は口を漱ぎ、歯を磨き顔を洗い髪の寝癖を直す。
「司ー。起きたの?朝ごはん作ってあるから勝手に食べなさいよー」
「うん。わかったー」
台所から母の声が聞こえる。この家に親父はいない。親父は会社の人事異動を受け、今は遠くで働いている。
俺は簡単に返事をする。俺はタオルで顔を拭きつつ台所へ向かう。
俺は台所の扉を開けて入る。机の上にはサンドイッチが用意されていた。
「私は今から仕事行くから、施錠頼むよー。あ、あと明日早く家を出るからね」
母は鏡台の前で化粧をしながら言う
「うん。わかった」
俺はサンドイッチを頬張りながら返事する。具材は卵とハム、レタスやスライストマトとごくごく普通だ。
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
母さんはいつものように行ってきますと言って家を出る。
バタンという重々しい扉の閉まる音が閑散とした部屋に鏡のように反射し響き渡る。
「あぁ。今日も学校か…。ダルいなぁ」
そう呟きながら次のサンドイッチを頬張る。
口内で味わい深く噛みながら階段を登り自室へ向かう。自室の扉を開けて入り右手にある机の上の壁にハンガーでかけてある制服を取る。
今日も高校へと登校する。めんどくさいな。
俺はサンドイッチを飲み込むと颯爽と着替える。着替え終わると鞄を肩にかけ、階段をかけ降り俺も母さんと同じ扉から家を出る。
振り向いて鍵を閉めて前へ歩きだす。
少し都会になりつつある町の空は今にも泣き出しそうに灰色に淀んでいた。
* * *
通学は徒歩だが、通り道にコンビニがあるのでいつもそこで昼食を買う。パンを数個持ちレジへ行く。
「3点で438円です。ポイントカードはお持ちですか?」
「いいえ。あ、レシートは要りません」
「かしこまりました。ありがとうございましたー」
* * *
暫く歩いて学校へつく。俺は2年生だから階段を使い校舎の3階まで登る。
《教室》
ザワザワ…ザワザワ…
いつものごとく少し騒がしい教室に着く。
入り口で女子たちが何やら都市伝説のようなものを話してキャーキャー騒いでいた内容を耳にした。
「ねーねー。夢の中に現れて人を幸福にしてくれる悪魔の話知ってる?」
「あー知ってる知ってる!確かその幸福を得る為の対価はないんだよねー!」
「えー!本当!そんなの悪魔というか天使じゃーん!」
アホらしい。悪魔がそんなことするか。絶対何か取ってるだろ。寿命とかさ。
そう思っていると後ろから司ーという低い声が聞こえた。
「今日も屋上ランチする?」
声をかけてきたのは友人。
声をかけてきた眉が隠れる程の黒髪を持ち眼鏡をかけているまさに委員長と言える風貌をした男は神崎 晃太。
隣には刈り上げにした黒髪で少しガタイの良い高身長の男、岡田 健斗がいる。
「んー?ああ。どっちでも良いよ」
俺はそう答える。
「んじゃ屋上ランチなー」
健斗がそう言って昼食をどこで食べるかが決まる。それと同時にホームルーム開始のチャイムが鳴る。
俺らの担任をしている女教師、通称理恵先生が挨拶をする。クラスメイトも挨拶を返す。
そこからは特にいつも通りホームルームが進み、授業も進んでいった。
* * *
《昼 屋上》
「…ん?おー。司。遅いじゃねーか」
そう言う晃太に
「わりぃわりぃ。4限目英語だったんだよ。あの先生の授業が最早子守唄なんだよ。だからつい寝ちゃって」
と返す
「あー!それわかるわー」
健斗はそう答える。健斗は体育会系男子で、勉強が嫌いだ。
「お前らなぁ…」
はぁー。と晃太は大きく呆れたように溜め息をつく。
暫く俺らは雑談しながら昼食を食べていた。
途中から女子に関する話題になっていた。
その後教室に帰り5、6限を受けて帰りのホームルームを済ませると俺は颯爽と立ち上がり帰る。
部活もバイトもしていない。家でグダグダしてのんびりしたいからだ。
* * *
《自宅》
ソファーに座り曲を聴く。そうしているうちに少し眠たくなってきて俺は眠りについた。
* * *
「…んぅ?」
どこだここ。
真っ白な壁に真っ白な床や天井。等間隔に並んだどこかアンティークなランプが壁と床、天井の境界線を描く。
夢だと言うことはすぐにわかったが、意識がはっきりしている
「明晰夢ってやつか…」
正面に視線を落とすと何やら二人の女性らしき人影が目に入る。
誰かをハッキリさせるため、人影の見える方向へ向かって俺は歩く。
「…あら?」
いかにもお姉さんキャラと言わんばかりの色っぽさを持つふくよかな外見の女性がこちらを見る。
瞳はルビーのような紅色で、髪は明るい朱色に染まり肩甲骨辺りまで真っ直ぐに伸びている。
明らかに日本人では無いだろう。
しかも、ちょこんとした小さな二本の黒い角と先が矢尻状になっている細長く少しくねっている尻尾がある。
コスプレにしては本物っぽい。
「あらぁ。いらっしゃい」
声まで少し艶やかで魅了される。
その隣には服で口まで隠した無口な小さい女の子がいた。
こちらに背を向け猫―のような生き物と遊んでいるが、一瞬だけこっちを見た。
瞳は紅くジト目で、桃色の髪を肩辺りまで伸ばしている。…こちらも同様に角と尻尾がある。
「…あんたら、誰?」
「私はアニスです~。こちらの無口な子はシーナですよ~。」
アニスと言ったふくよかな女性はそう言う
「ここは、俺の夢の中なのか?」
「あ~。貴方たちからしたらそうでしょうけど…私たちからしたらここは私達の職場で、貴方たちはお客さんですねぇ~。」
そう言ってアニスと言う女性は口角を上げニヤニヤと笑う。
「…あんたら、何者?」
「あらあらまぁまぁ。いきなり質問攻めですかぁ?ですが、初めてですので仕方無いですか…」
少し溜め息をつきながらそう言い放つと続けて
「私達は貴方達人間の言う“悪魔”というモノですよ。ですが、サキュバスとかのように文献に残されている悪魔ではありません」
と言う。
「…?。そうなのか?」
この人の格好というか、容姿や話し方的にサキュバスと言われても違和感は無いぞ
「あらぁ?私をサキュバスと思ったのですか?失礼ですね~。私達は分類がない、言うなら名も無き無銘の悪魔ですよ~。」
2章へ続きます






