護るもの(一章終話)
付け加えときます。あと少しだった事忘れてた☆
てなことで一章完結!
「――くっ!」
ローエルが呻いて剣を構え、私を護るように立った。噛み締めた奥歯。ぐっと見つめるその目の先は氷柱を見つめている。どう回避するか――と。
どう考えても待つのは絶望だ。目に移る氷の刃は鋭い冷気を放ちあれが雨の様に降り注げば一溜りも無いだろう。
けれど。護られるべきは……私ではない。
「ローエル」
私は一文字に口を結ぶ。
護られるべきは私ではないのだ。尊ぶべきは私の命で無く、きっと国の未来。ローエルの命。ソルト様の――力。
ドクン。と心臓が震え、目に溜まった痛みがさらに増した。痛みは脳にまで響くようで私は微かに頭をもたげ目を伏せた。
大丈夫。心の中で私は呟く。
「心配すんな。こんなの簡単だ。そだろ? 兄上?」
励ますためなのか半ばやけくそ気味に笑うローエルに対して、ソルト様は顔色一つ変えていなかった。『あたりまえです』ぴしゃりと言うがどことなく気休めにしか聞こえない。
『――その眼だけは引き取りますわ』
ノイズの様に耳に響く言葉。殴りつけるように氷柱の雨が降る刹那――私は弾けるようにして身体を投げ出していた。
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『馬鹿なのか? 貴様は』
誰かが言う。どこか呆れたように。どこか嬉しそうに。とても優しげに。女とも男とも見分けが付かない中性的な声。それはとても心地のいいものに思えた。
『残った命まで差し出すとは。――ただ、これで私も主を助けられる』
「わたしは……」
『礼を言う――小娘。……代わりにお前に全てを返そう――その記憶も。すべて思い出すがいい』
言葉と共に切れたのは意識。私は深い、深い眠りについていた。
ポツリ。頬に濡れるのは誰かの涙だった。




