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蛙のお姫様【仮】  作者: stenn
一章
31/61

精霊

シリアスって難しくてうまく書けないですね(-_-;)

落ち込む。

「……嘘だろ?」



 目の前の光景を行く来るように見つめながら誰ともなく呟いたのはローエルだった。そう、感情が抜け落ちてしまったように。



 パラパラと軽い音を立てて落ちる窓ガラスの破片。床に積るようにして落ちるそれはまるで宝石の様にも見えた。粉々でもう原型をとどめていないそれの上に立つのは一人の美しい少女。――そのはずだった。



「――どうして?」



 割れた窓から冷たい空気が流れこみ、『彼女』の髪がさらさらと揺れる。金の髪――ではなく色を持たない無機質な髪が白く月夜に輝いていた。いや、髪だけではない。私の左目に映り込むのはリュートであってリュートで無い者だった。



 パチパチと何かが弾け軋むような音。それは氷が壊れる様な音によく似ている。



 息を飲んだ目線の先には――人ではなく、人であったものが立っていた。見間違えはない。何度目を擦っても瞬かせてもその現実は変わらない。



 そこにはガラスで――いやすべてが氷の彫刻で出来たような無機質で冷気を放つ肢体があったのだ。滑らかな繊細な指も、女性らしい弧を描いた体つきもすべて温かみを持たない冷たい氷と化していた。



 ただ、リュートが本来持っている美しさを残して。



 冷たい無機質の身体が月の光に反射して白く輝く。



「氷の精霊<グラス>って……」



「?」



 多少上擦った声に氷の精霊――と心の中で私は呟いて考えを巡らせた。



 精霊は森羅万象どんなものにでも宿ると聞く。それこそ些細なものまで。しかし本当にこの世界を支えている者は『上位精霊』と呼ばれる者達と教わった。



『火』『風』『土』『水』を筆頭に『氷』『木』『雷』『熱』等なのだと。その上位を束ねるのが高位で『光』『闇』『無』がそれにあたるらしい。当然氷の精霊<グラス>は上位の精霊で、その気になれば人の前に姿も表せると教わったがーー人と同化するなんて聞いたことも無いし、授業でも触れられていなかった。



 それに――見えないはずの者をどうやってとらえたのだろうか。



 リュートと長年一緒に居るが精霊なんて信じていなかったように思うのだが。見えてはいなかった筈なのだけれど。



 どうしてだろう。



 そこまで考えてから私は左目に殆ど無意識に触れていた。違和感を覚えていたのだ。チリチリと蠢く様に目の奥で痛みが走る。瞬きするたびに視界に走る微かな光はおそらく誰にも見えていないだろう。



 脳裏に奔るのは微かな恐怖。痛みと不安で顔を歪めたが幸いにも誰一人気づくことは無かった。



 心配はかけられない。これ以上は――迷惑をかけられない。ローエルにも、ソルト様にも。



 私は振り切る様に息を落としてから何事も無いようにしてリュートを見る。



「変だと、思ってたんですよ」



 ぽつりと言葉を落とすように呟いたのはソルト様だ。その言葉からは動揺など感じられない。どこか呆れたように彼女を見つめている。



「私達王族意外に精霊を感じる者など本当はありえないんですよ。この『血』は徹底的に徹底的に管理されてますし……だから本来ライラさんの眼に『力』があることなんて分かるわけがないんです――私だって言われるまで分からなかったぐらいですから」



『……』



 ソルト様はポケットから何か――掌にすっぽり収まる玉を取り出す。それが何かは私にはよく見えない。模様が描いてあるようにも見えたが何か分からなかった。大きな掌。テレを弄ぶようにして転がす。



「昔――ローエルは誘拐されました。失くしたのは眼と記憶。誘拐した犯人は捕まってません」



 トンと。指から弧を描く様にして軽く投げる。反射的にそれを受け取ったのは男で、彼は微かに眉を寄せた。



「……イワクの物か」



 ポツリ落とすように呟く。微かに悲しみが混じっている様にも聞こえて来た。



「義眼です。さすがですね。――軍事国家。拍手したいですよ。こんなものを量産しているなんて。貴方たち、私の弟の眼を解析して複製しましたね? そして精霊を取り込んだ――貴方のその姿もその結果」



 すっと声が一段低くなる。い殺しそうな視線で睨み付けた先のリュートは微動だにしない。表情一つ変えなかった。



「兄上?」



 よく分からないらしく、ローエルは答えを求めよるように私を見たが、なぜ知っていると思ったのだろうか。私だって聞きたい。返答に困って思わず私は目を反らしていた。



 一方でリュートはにこりと頬を緩める。正解――そう言いたげに。彼女は私と同じ左目を軽く撫でた。



『ふふ――眼は上から重ねたと言う方が正しいですわ。所詮付け焼刃ですので出来ることが限られてますの』



「それでも我が国では無しえない技術ですよ。素晴らしいが――くだらない」



『そうですかしら? 隣国にとってこの国は脅威。自衛するのは当然の結果――』



 すっと彼女は手を宙に伸ばす。すると彼女を取り囲むかのようにして濃い霧が立ち込める。まるで――そう。木の枝が折れるようにばきばきと軽い音がした。霧が一つに集まって形を成していく。幾つも、幾つも。気づけば幾重にも折り重なるようにして氷柱が宙に浮かんでいた。まるで鏃のような尖ったそれは宝石のように月夜に輝いて光っていた。冷たい輝き。その矛先は紛れもなくこちらを向いている。まるで弓から放たれるのを待つかのように。その一つ一つが殺気を放っている様にも見えた。



 リュートの眼の様に。



上位精霊悩み過ぎて熱が……熱でいいじゃんもう!(`・ω・´)

てな感じで滑り込みました。何も思いつかなかったんだ。

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