20 冒険者用自動改札完成
ホント言うとさあ、僕的にはメーカーさんたちにも赤ちゃんモンスターを触ってもらって、堪能してもらいたいって思ってたりするんだよね。
みんなは撫でられるのも好きみたいだしさ。
おいでおいでしたら小っちゃい子たちは、ヨチヨチチョコチョコーって寄って来るからたまらなく可愛いのですよ。
だけどそんなEランクモンスターのハムハムたちでも、触らせてあげられないんだよね。
モンスターだから。
母さんと婆ちゃんは冒険者じゃないのに触ってるけど……。
今更だけどいいのかな? って思う。
ダンジョンマスターの肉親なので、オッケーみたいな?
モンスターのみんなの中でも、一応は特別枠に入ってるみたいなんだ。
残念ながらレーナ姉ちゃんはまだ、遊んでくれる人って感じの認識っぽいかな?
そのことを悔しがってて、いずれは家族と認識されるように頑張るらしいよ。僕と一緒に行動してるから大丈夫だとは思うけどね。
って伝えたら魔力の質──DNA的な成分で判断されてたら、どうしようもないって言われた。
もしそうだったら、もう諦めてもらうしかないなあ。
「スキルも取り直せないもんね」
「太一くん、テイマースキルの宝珠とかアイテムにない?」
そんなことを聞かれた。
そんなことは考えたことなかったなあ。
「見てみる」
支部長さんも、レーナ姉ちゃんとの話し合いが終わって帰ったからね。僕はダンジョンスマホを取り出して、検索してみた。
"スキル 獲得"とか"スキル アイテム"とか。
「ない、かな。うん、ないや」
「ダンジョンコアからスキルをもらうのだし、可能性はあると思ってたけど仕方ないわ」
あー、なるほどぉ。そういえばそうだよね?
なんでないんだろう?
「もしかしてスキルの熟練度的なのとかだったりする?」
「私にも分からないわ。でもできることは増えるんじゃないかと思っている」
レーナ姉ちゃんのスキルは成長したそうなので、僕のも可能性ありだって。魔筋が魔筋・極になって、さらに魔筋・真って強くなっていったそうだよ。つまり僕のダンジョンマスターもダンジョンマスター・真になるかも? ってことだ。
ダンジョンマスターの力を使えば使うだけ、能力アップは近付くかもね。
「じゃ、さっそくやっちゃおー」
1層と2層を繋ぐ階段とスロープを、駅の改札口みたいにする改造です!
それからモンスターが見守るブースの作成。なんというか、こっちのほうがメインになりそうではあるけど。
改札口は横っちょから通り抜けられなければいいから、作業自体は簡単だし。壁で塞ぐだけー。
片っぽは壁で、もう片っぽが赤ちゃんモンスターブースになるよ。
「誰に入ってもらうかっていうのも悩むね!」
「ハムハムとか小雪ちゃんだと、並んでもらえるわ。絶対テンション上がる。ぺんぺんくんたちも捨てがたい」
「でも似合いそうなのはさあ、駅員さんの格好した孫くんたちじゃない?」
「うん、その案も捨てがたい。捨てられない。というよりみんなの衣装も用意すべきね」
「すべきだー!」
でも鹿園さんたちや花ちゃんだと、シュールな感じになっちゃうかな?
おっきいからねえ。
やりたい子にお任せするのがいいかもしれない?
フェアリーバットのちょこちゃんたちも、見えるところでぶら下がれるようにしとこーっと。
「もう赤ちゃんモンスターのみんなが、自由に出入りできるようにするよ」
着替えはこっちでやることになるけどね。
嫌がるようならなしってことで。
「自主性も育つと思う。そして観光スポットのようになりそう」
「確かにー。僕も見ちゃいそう」
ブースは1層側に出口を作らないようにして、2層と3層から入れるようにしよう。触れ合うのもダメだからね……。
ってことは窓も開かないタイプにする必要があるかあ。
改造してると、チーちゃんも興味深そうにいろんな場所から眺めては、僕のところに戻ってきてチーチー鳴いてた。
なにかを報告してるみたいで可愛かったよ!
「花ちゃんが来ることもあるだろうし、広めにするよ」
「それがいいわ。飛ぶ子たちもいるもの」
「天井も高くしなくちゃだね」
水場は滝にして、止まり木と……あとは?
いや、チョットした自然環境を入れて、遊んだりもできるようにしよう。
高いところから見るのが好きな子たちもいるからね。
キャットウォークみたいなのも付けよっかな。
「窓は大きめで──っと、完成!」
壁は全部ガラス張りにしたから、中からも外からもよく見える。
しかも全員入ったって余裕のあるサイズ!
すごいでっかくなっちゃったな……まあいっか!
「バッチリ」
「でしょっ?」
明日にはアルバイト募集再開、ボランティア募集が開始されるから、今日中に完成させておきたかったんだ。
色々とチェックしておいたほうがいいもんね。
もう参加してる人はハズレになるようになってるから、応募しないでねっていうのも書いとかなきゃ。まだ3人しかいないから、その人たち用になっちゃうけど。
抽選は開始から3日後に当選者へ通知するようになってるよ。
注意事項も読んでもらっておかないとだからね。応募フォームを開く前に見てもらうようにしてある。
レーナ姉ちゃんは、ぬかりなしなのだ。
僕自身も必要なものを確認しとこ。
マジックバッグの数、足りる。
グランピング施設の最終確認は昨日やったからオッケー。水が出るかとか、電気がつくかとかね。
一応冒険者さん向けの注意事項も確認。
食事に関してとか、調理は可能だよーとか。
駅前にギルドがあるから、近くの商店街で買い物もしやすいしダイジョブだと思う。
「バイト再開だし、ボランティアの人たちは初めてだし、バーベキュー大会やっちゃおっかなーって思ってるんだけど」
「みんな喜んでくれるわ」
「じゃあお肉とかお酒、買っておこうよ」
「それはサービスし過ぎ。不公平感が出ると思う」
「初回特典ってことでは?」
「うーん……ダンジョン産野菜のサービスだけでいいと思う」
しょうがないかあ。来る人たちも勝手に盛り上がるはずってレーナ姉ちゃんに言われた。
冒険者さんって、そういうものなのかな?
「配信でバーベキューのこと言ったから、みんな勝手に準備するはずよ?」
素敵なグランピング施設でバーベキュー。しかも可愛い赤ちゃんモンスター付きっていう、ご褒美以外ではありえないイベントだってさ。
レーナ姉ちゃんが言うには。
「赤ちゃんモンスター付きでやるなら、早めの時間じゃないとダメだけどね」
「注意事項に追加しておく」
お昼がいいのかもしれないね。夜は冒険者さんたちがお酒飲みながら盛り上がるだろうし。
2層にもバーベキューの設備を作っとこっかな。
僕らが4人、冒険者さんは2人か3人だから10人分でいいし。
バイト再開、なんだか僕も楽しみになってきたなあ。
それにさ──
「遊んでくれたらいい名前も出るかなあ?」
「可能性はある。ただ可愛いだけでいいなら、すぐに埋まりそうだけど?」
「だよねえ。うーん……」
お名前募集しても、いい名前が集まらなくなっちゃった。
特徴を表してなくても可愛ければOKにしよっかな?
名前なしより、そのほうがいいんだし。




