9.アンジーの社交デビュー♪
「アンジー、感動してるところ悪いけどもうそろそろ淑女教育の時間よ。遅れると先生に怒られるんじゃないの?」
「もっと早く言ってよ~! あの先生、時間に厳しいんだ。ああ、着替えなきゃだし、本当はお風呂にも入りたいよぉ」
そうだと思う。―――現実って厳しいよね。
なんだかんだとアンジーも立派な淑女に成長した。
来るデビュタント。アンジーはどんなドレスがいいかしら?
侍女による聞き取り調査によると、『どんなドレスもアンジー様の美しさには敵わない』という結果だった。
何を聞いたの?違うわよ!ドレスの形はどういうのがいいのかを聞きたかったのよ!
最近成長してるし(身長)筋肉で締まってるからマーメイドラインでも大丈夫だろうけど、可愛らしさが表現できないのよね。無難なプリンセスラインかしら?紫水晶のアクセサリーの新調に……あら、アンジーって誰かエスコートする人いないの?婚約者もいないし。
「俺がエスコートするよ……」
ため息交じりで登場しないで~!!えーっと薄茶色でドレスに刺繍をしましょう。それでいいかなぁ?コンラッド様としてはOKだろうなぁ。
当日、ウィルのエスコートでアンジーがデビュタント。私もコンラッド様も感無量です!
当然、アンジーの入場がラストだと思ってたんだけど、アンジーよりも上位の方がいらっしゃるんだなぁ。と私はその時ぼへぇ~っと思っていた。
ウィルはまだ騎士団を辞めていないので、騎士服になんだか徽章がいっぱいジャラジャラついてる。辞めちゃうのもったいない逸材なんじゃない?実は。
礼服用騎士服もなかなか様になるような体型に育ったなぁ。コンラッド様に似てイケメンに育ったし、よかった~。
アンジーもなかなかサマになってるじゃない?鍛えてるから、体が締まってるし。欲を言うと……胸が欲しい所だけど。剣を振るう時に巨乳は邪魔だもんね。
アンジーよりラストに入場したのは第2王子殿下の息子オズワルド(愛称:ルド)。アンジーの従兄弟だねぇ。そういえば、忘れてた。年始に会った時に『同じ年だね』って話になったんだっけ。すっかり忘れてた。コンラッド様は覚えてたかもしれないけど。
向こうは第2王子殿下のお嬢様をエスコートしてる感じで入場してるのか。お互いパートナーがいないことに直前に気付いたというやつ?(うちだけかなぁ?)
陛下に挨拶をすると、デレデレ返事が返ってきて「私がもっと若ければアンジーのエスコート役をしたかった」という言葉をいただいた。と、後から聞いた。
「なぁ、アンジー?お前とルドで出席すれば良かったんじゃないか?」
「私もルドが今年デビュタントだってすっかり忘れてたんだもん。エスコートの話とかって男性からするものじゃないの?」
「まぁ、そうだな。向こうも、お前がデビュタントだって知らなかった可能性あるし、まあどっちもどっちだな。後の祭りだし」
「俺がアンジーのデビュタント、エスコートしたかった……」
「アンジーだってルドが今年デビュタントだって知らなかったんだから、お互い様だよ」
ウィルが二人の間で緩衝材みたいになってくれてるけど、コレは……オズワルド殿下はうちのアンジーにラブコールですか??
あらあら、アンジーってばモテモテ?本人は天然なんですか?