1.突然の出会い
新作です。よろしくお願いします!
私はパトリシア=クレイグ。クレイグ侯爵家の次女です。長女は……そこの夜会のダンスホールで男性にチヤホヤされています。
私はというと、パーティーの雰囲気が好きではないので、こうして庭に出ているのですが……。
なんですか?先ほどからそこかしこから男女の交わりのような嬌声が聞こえてくるんですけど?
え?パーティーなんて数えるほどしか参加していませんけど、会場の外ってそういうコトに使われるの?そういう用にお部屋が用意されていると聞いた事があるのですが?
「こんなところでお嬢さんがお一人で何をしているのですか?まさかカップルの覗き?」
その人は月の明かりの下ですが、銀髪が月明りで輝き、それを後ろで束ねているようです。男性なのはわかります。その紫水晶の瞳も月に照らされて吸い込まれるよう……。美しい人だなぁと思いました。
「覗きなんて!…そんなふしだらな‼ただパーティーの雰囲気が好きじゃないので、―――外に出てみると、こんなことになっているとは思いませんでした」
この美しい男性の瞳に私はどのように映っているんでしょう?覗きの疑惑は晴れたと思いますが、容姿です。
私の容姿は人並みですし。とりわけ珍しいというものもなく、茶髪に緑色の瞳。―――この瞳の色は亡くなった母によく褒められました。
「その瞳の色は美しいですね。良ければ、ここで一曲踊って頂けませんか?」
この男女の嬌声の中で踊るのはちょっと……。
「実は私もパーティーの雰囲気が嫌いで外に出たのです。まさかの事態で。これでしたら、中の休憩室にでも入った方がマシだったと後悔しています。 よろしければその休憩室で一曲踊って頂けませんか?」
こんな美しい男性からのお誘いは人生でもうないかもしれない。私はそう思い、二つ返事で「ハイ」と応えた。
名前も知らない男性と休憩室で踊る。ドキドキする。月の明かりの下で見るよりもハッキリと瞳が私を捕らえているのがわかる。自然と二人の距離は縮まっていき、私はその日彼に体を預けた。
紫水晶の瞳に捕らえられ、それからは体が思うように動かせなかった。拒否する事もできないようなそんな不思議な感覚。
「君の瞳の色は本当にキレイだね」
そう言う時も紫水晶の彼の瞳は私を捕らえて離さない―――。
そして、私は彼に、彼の瞳に翻弄された。
パトリシアちゃんがぁぁぁぁぁ!!!です。