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大晦日。
夜はるいと初詣に行く。
それまでに寝溜め…といきたいところだが「部屋が汚すぎて年越せないよ!」と母に言われたので片付けに勤しむ。
なにこれ?いつのパン?
腐ってるし…
これ、失くしたと思った授業プリントじゃん。
色々出てくる。やばいものもたくさん。
少し休憩しようとしたところにスマホに着信。
「せーちゃん!今何してるの?」
「部屋の片付けだよ。腐ったパン出てきた。」
「いつも私の部屋見て汚いとか言うくせに。」
「マジでごめん。人のこと言えなかった。」
「ね、ビデオにして!見せなさいその汚部屋。」
ビデオにしたらるいが絶句した。
そんなに酷かっただろうか。
「私もすごい部屋汚くてさ。見てよ。」
スマホの画面にるいの部屋が映る。
文明ってすごい。
「やば、汚いな。」
「私も片付けるわ。」
ビデオ通話をしながら部屋を片付けていく。
要らないものはゴミ袋にちゃんと分別して捨てて、要るものはとりあえず段ボールに。
タンスとか机はホコリでいっぱい。
とりあえず拭いた。
床を雑巾で拭いて、掃除機をかける。
よし、なんとか綺麗になった。
「せーちゃんの部屋綺麗になってる〜、私全然むり。」
「本当に片付けてた?さっきより酷くなってるじゃん。」
「漫画読んでた。」
「おい。」
掃除も終わったところで通話を切った。
あまり長くやっていると永遠に続いてしまうからね。
リビングに行くと、母がおせちを作っていた。
「おかーさん、片付けれたよ。」
「じゃあそこにある私物も片付けなさい。」
「え。」
部活の用品、教科書、ぐちゃぐちゃなプリントが段ボールに入っていた。
こんなに散らかしてたかな。
段ボールを部屋に持っていき、片付ける。
めんどくさいなー。
気付くと床で寝ていた。
身体がバキバキだ。
外はもう薄暗い。
「おはよー」
「寝てたの?呑気な人だね。」
「呑気じゃないと生きれないよ。」
「年越しそばに載せる海老天買ってきて。」
「サイアク。」
ジャンパーを羽織って、手袋をつける。
お使いに行くのは久しぶりだ。
それにしても寒い。
鼻がツンと痛む。
海老天…あった。
初詣行くならなんかつまめるものいるかな。
グミとチョコボールにしよう。
「あ、待って先生じゃん。」
「黒木さんか。」
「先生仕事終わり?」
「休みだよ。」
「流石に休みですよねー、じゃあ良いお年を!」
「待って、宿題やってる?」
「あー、えーと捨てちゃったかもー」
「やらなかったら補習ね。」
なぜスーパーで担任と遭うんだ。
てか宿題どこやったけ。
え、やばいかも。
先生お酒いっぱい買ってたなー、家族と呑むのかな。
「ただいまー、ねぇ聞いてよ上野先生にあっちゃったー」
「あら、先生もこの辺なのかしらね?なにか言ってた?」
「宿題やれって。」
「さすが先生、芹那のことよく分かってるわ。」
器に出汁を注いで、そばを入れる。
その上に買ってきた海老天と七味を載せる。
年越しそばくらいしかそば食べないな。
「いただきまーす。」
「ちゃんと噛むのよ。」
「飲まないよ。」
大晦日だがこれといって見たい番組もない。
適当につけたチャンネルを見ながら食べ進める。
「なんかさー、今年終わるの早くない?」
「そうね、早すぎる。」
「1年ってあっという間だね。3年生も引退してさ、真っ黒に焼けてた先輩が白くなってるんだもん。びっくりした。」
「そんなものよ人生って。」
「寂しいなー」
あまりそばを食べないのだが、美味しかった。
なんで食べないんだろう?とも思った。
まずそんなに家に居ないな。
そばを学校に持っていくのも嫌だし。
、と一人で会話していた。
23時過ぎ。
そろそろるいと初詣に行こう。
暗い夜道は危ないから迎えに行く。
「るいー、来たよ。」
「はいはーい。行こっかー!」
「何その格好。」
「和ロリ。」
「寒くない?カイロあげる。」
「かわいい?」
「当たり前でしょ鼻血出るかと思った。」
「汚い。」
「ひどい。」
神社はすごい人だ。
はぐれないように恋人繋ぎをする。
「恋人繋ぎ?」
「恋人でしょ?」
「あー、なんか恥ずかしいわ。」
「姫、恥ずかしがらないで。これからもずっと僕の隣に居てくれるんでしょう?」
「王子、やめなさい恥ずかしい。」
じゃれているとカウントダウンが始まった。
もう年越し。
早いなー。
3、2、1
「「明けましておめでとう!」」
新しい年を迎えた。
今年はどんな年になるんだろう。
「お参りしよっか。」
「うん。」
長い列に並び、どうでもいい話をしながら時間を潰す。
「そういえばさ、上野先生に会ったんだよね。」
「まじ?最悪じゃん。先生ってさ、かわいいのにパートナー居ないんでしょ。なんでだろうね。」
「出会いがないんでしょ。学校の先生って学校くらいでしか出会いないでしょ?」
「大変だねー」
「宿題やってるか聞かれてさ、やべーって思った。」
「ゆーて冬休みあと一週間だよ。」
「やばくね。」
あっという間に順番が来た。
何をお願いしようかな。
「せーちゃんは何お願いしたの?」
「言ったらダメでしょ。」
「ケチだなー、あ!甘酒売ってる!屋台もあるよ!」
「行こっか。あ、グミも持ってきたんだけど…」
「食べる!」
甘酒を買って、身体を温める。
冷たい身体に足の爪先まで熱い甘酒が流れていく気がした。
グミを口に放り込んで、チョコボールも食べて。
屋台で買ったアチアチなたこ焼きも食べる。
流石に真冬にはかき氷は売っていないらしい。
「寒!風冷たすぎて凍りそう。」
「早めに帰る?」
「まだ一緒に居よ?」
「上目遣いあかんって。」
るいと一緒に年を越せてよかった。
去年は受験勉強で机とお友達していたからね。
頭が良い学校ではないけど、底辺ではない。
頑張ってよかったなー
「ねー、甘酒口移しする?」
「馬鹿言うなし。」
「あー、次何食べよう。」
イカ焼きを買ってきた。
やばいくらい美味しい。
「イカすきー」
「僕は?」
「大好きー」
寒くて凍えそうな年始。
これからの一年間は不安もあるが楽しみもある。
今年もるいと仲良くできますように。




