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11 イージーエイト

更新遅くてすみません。

1


プルルルルルルルル


それは、ユーズレスにだけ聴こえた。


『ビィー、ビィー、テンス! 《魔法抵抗》の限界です。ボディだけでは魔界の炎には耐えられません』

ボウボウ

クリッドの回りの炎は勢いを増す。


(オール……兄さん? )

『テンス! こんな時にいったい何を? ビィー、ビィー、警告! 警告! 何者かが研究所に《転移》? バカなここは限られた者しか入れない《転移》もプログラムで出来ないはず! 座標が、パンドラの迷宮五十階層……あそこには』


ユーズレス達の目の前が青く光った。


研究所に、十年前に鉄屑となった鉄骨竜の残骸が《転移》してきた。


カタカタカタカタカタカタカタカタ


研究所の奥から鉄骨竜の予備パーツが、共鳴している。


ビィー、ビィー

ユーズレスのブラックボックスが震える。

更に、ユーズレスの電脳が一部のメモリーをフラッシュバックさせた。


……

『ユーズ、私の特性は使いづらいかもしれないが、いつかお前の役に立てることを、お前のアップグレードを見守っている』


ツールがお前なら大丈夫だとユーズレスにいった。


……

ユーズレスが一瞬、白昼夢のような現象に、八番目の兄弟、道具を司るツールが


(分かったよ! ツール兄さん《道具》)


ユーズレスが鉄骨竜の残骸に触れた。


『ビィー、ビィー、テンスが《道具》の特性を使用しました。ビィー、ビィー、スクラップとなった鉄骨竜に《道具》を使用します。ビィー、ビィー、ユフト師の四原則である、機械は機械を使えないに抵触します。ビィー、ビィー、不可解な現象、バグが起きました。現存しないはずの鉄骨竜、オールの承認信号がテンスのブラックボックスから検出、ビィー、ビィー、ウイルスとしてオールの信号を削除します。ビィー、ビィー、削除成功しました。ビィー、ビィー、ただし一度承認された事項は、有効となります』


2

八番目の子ツール

《道具》を司るツールのは、対象の道具をスキャンして、特性を解析し道具の性能を最大限発揮できる能力である。


ただし、道具と認識し対象の能力を引き出しすぎると、対象が壊れてしまう。故に使いづらい特性である。

更には、ユーズレスが普段使用している流体金属は、流体的に変化する物資のため《道具》の対象にはならなかった。


ちなみに、ボンドの《結合》は、道具や物の結合でたるために、性能はボンドの技量に左右される。



3

鉄骨竜の残骸が《道具》によってその能力値を最大限まで引き出される。


『ビィー、ビィー、鉄骨竜が起動しました。ボディの損傷や、劣化によって現状では戦闘は不可能です。ビィー、ビィー、研究所の予備パーツが鉄骨竜に反応しています。パーツは誘導にて《結合》が可能です。鉄骨竜にパーツを《結合》しますか? 』

補助電脳ガードがユーズレスに承認を求める。


(……オール兄さん! また、戦いに巻き込んでゴメン! でも、ちょっとだけ、このバカ(クリッド)力を、目を覚まさせる、ちょっとだけ、力を貸してくれ! 《結合》を承認する)

ユーズレスは、自身で《統合》したオールに話をした。勿論、電脳からの反応はない。

だが、ユーズレスはオールにお願いをした。


『グギイィィィィィ! ! 』

それは、不思議な現象であった。

ユーズレスの《道具》による効果なのか定かではない。


鉄骨竜が吠えた。


鉄骨竜は、フィールアによって頭部を破壊されたために声帯器官はない。

鉄骨竜にはブラックボックスはない。だが、鉄骨竜は叫んだ。


いったいボディのどこからその声が発せられたかは、説明がつかない現象であった。


鉄骨竜の叫ぶに呼応するかのように、研究所の奥から予備パーツが射出された。


ガキィン、ガキィン、ガキィン


ボロボロで錆びた、スクラップ同然の鉄骨竜の四肢がパージされ、予備パーツが《結合》された。


首のない鉄骨竜がユーズレスの《道具》により十年の時を経て稼働した。


(オール兄さん! )

ユーズレスは鉄骨竜を見て電脳内で叫んだ。

勿論、そこにオールの意思はない。


「あびらアバババあああぁぁぁあ」

入り口付近まで飛ばされたクリッドが暴れ狂う。


アペンドからは遠ざかったが、魔界の炎は相も変わらず、研究所の床や機材を溶かす。


鉄骨竜がクリッドに突進する。


キュイィィィィン

鉄骨竜が冷却ジェネレーターを最大稼働して全身を魔力で覆う。


ガシッ


両の手を大きく広げてクリッドを拘束した。


『ビィー、ビィー、鉄骨竜が無属性魔力を展開してクリッドを拘束しました。ビィー、ビィー《鑑定》、《解析》、スクラップとなった機体を無理やり稼働したため最大稼働時間は十秒です』

補助電脳ガードが、鉄骨竜からの信号を受診する。


それは一瞬のことだったのだろう。


後に、ユーズレスと補助電脳ガードのメモリーにその姿はなかった。


しかし、確かに見たのだ。


頭部のない鉄骨竜(オール)がユーズレスを見て、エメラルド色の瞳を点滅させたのを……


『グギイィィィィィ! ! !』

世界一優しい竜のキカイノココロが聴こえた気がした。



今日も読んで頂きありがとうございます!

ツールの《道具》が出てきて、作者・原案者も嬉しい限りです。

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