第59話
俺たちはパトカーに乗せられる博美さんを見送った。
その後子供たちも無事保護された。
しかしあの子たちはかつて親からひどい仕打ちをされた経験を持っている。
元の家に戻ったとはいえ、平穏な日常が戻ってくるとは限らない。
戻ったとして再び虐待をされるかもしれないし、あるいは今回の事件をきっかけに心を入れ替えた両親がやさしくなってくれるかもしれない。
そこんところどうなるかは、わからない。
「僕だってあんなことをした大人の元に彼らを返すことには抵抗がある。しかしそれが誘拐をしてもかまわない理由にはならない」
「ああ、わかってるよ」
「ところで」と俺は高渕に違う話題をふっかけた。
「しかしお前もビースト使いだったとはない。しかも副会長さんも」
「ああ。僕も君がビースト使いだなんて思いもしなかったよ」
「しかしなんでお前みたいなやつが……」
ビーストは絶望に染まった人間の前に現れる奇跡の力だ。
成績優秀な男であるこいつが絶望を感じたりするとは到底思えない。
「君には関係のない話だ。まぁ同じビースト使いとしてしゃべってもかまわないことがあるとしたら、僕たち|東高生徒会は全員ビースト使い(・・・・・・・・・・・・・・)だ」
「マジかよ……」
今回だけでも新たなビースト使いを三人は見つけてしまったというのに、東高にはまだ数人はビースト使いがいるってことになるのか?
「そして僕たちの目的はただ一つ。この世に存在する悪を根絶やしにすることだ」
「これまた大きくでたね」
それでも俺の目的は変わらない。
「俺はビーストカードを集めている。博美さんみたいにビーストの力を悪用している連中をとっちめてカードを回収しているんだ」
「ほぅ……では僕たちが持っているビーストカードも君は奪うつもり、なのかな?」
俺の目的を明らかにした後、高渕と須藤は同時にこっちを見てきた。
「まぁな。でもそれは今じゃなくてもいいだろ。俺はお前より断然強いからな。いつでも奪いとってやるぜ」
こいつらも俺と同じようにビーストの力で悪人を懲らしめていることには違いないからな。
今のところは放っておいてもいいだろう。
だがそれでも俺のビーストカード回収の目的は変わらない。
時期が来たら必ず東高の連中のビーストカードも手に入れてやる。
「とりあえず今は無理だな。監禁されたり両手が痛くなったりでヘトヘトなんだよ」
「そうか。まぁ君が不調だろうが何だろうが僕が君に負けることはないだろうけどな」
「お前のその自身は一体どこから出てくるんだよ」
「ではさらばだ」
須藤と共にガルーダに乗った高渕は青い空へと飛んで行ってしまった。
「やれやれ、面倒な相手が出てきたもんだぜ」




