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今日日の不良はカードからビーストを召喚するんだぜ?  作者: スカッシュ
第5章 美しきシスター、薬島博美の正義! 編
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第46話

今回は一度に一章分のエピソードを投稿しました。

 心優しき少女に不幸が訪れた。

両親が事故で亡くなったのだ。

 これをきっかけに少女はとある施設に預けられることになった。

 しかしその施設に入ったことにより少女の不幸は加速していく。

「なんだぁこれは? まだ残っているじゃないかぁ? ああ?」

 食事の時だった。苦手な野菜を残しているのを指摘されて、無理矢理口の中に入れてきたのだ。

 自分よりも体の大きい職員に対し、小学生になったばかりの彼女の力では当然抵抗することなどできなかった。

「おえぇ……」

 苦手な野菜を唾液ごと吐き出してしまう。

しかしそれを見た職員は近くにあった布巾を顔に向かって投げつけてきた。

「お前の口に入ったものはお前が処理するんだ。できなかったら、わかっているよなぁ?」

 職員の手に持っているのは腰に巻くベルトだった。

それを鞭代わりにしており、出来の悪い子供たちを「おしおき」という名目で痛めつけているのだ。

 痛いのは嫌いな少女は涙を流しながら布巾で自分の吐いた汚物を拭き始めた。

「泣くんじゃない!」

 ベルトの鞭が少女の体を叩く。

「おいおい勘違いするなよ? これはお前が将来立派な人間になるためにあえて痛めつけているんだ。そうさ、お前のためなんだよお前のため。ひゃっひゃっひゃっ」

 気持ちの悪い笑みを浮かべている男の言っていることが正しいかどうかなんてことは子どもの彼女にはわからなかった。

 本当に自分が悪い子だから叩いてきたのだろうか。

 両親は気分が悪い時は付きっきりで看病してくれていたのに、この大人は心配そうにしてくれない。

(どうしてこんなつらい目に合わないといけないの?)

 夜中に布団に入っている時はいつもこんなことを考えている。

 原因はなんなのか。両親が死んだから? それとも自分が悪い子だから? それとも自分はなにも悪くなくて悪いのはすべてベルトで叩いてくる悪魔のような大人たちなのか? いくら考えてもはっきりとした答えは出てこなかった。

(もういやだよぉ……)

 絶望を感じていた少女。

悪いものから守るかのように布団の中に閉じこもったその時、何かを感じた。

 布団の中に何かあるのだ。

 さっきまでは確実になかったはずの何かを感じた少女は布団の中を小さな手で探ってみる。

 手の中に収まったのは一枚のカードだった。

「なにこれ?」

 窓から差し込む月明りでそのカードを照らしてみると、動物の絵が描かれていた。


 ◆


「何やってんだこのグズ!」

 ある日、少女と同年代の子供が施設の職員に叩かれていた。

なんでも汚れた服のまま施設に上がった所為で廊下が汚れてしまったとのことだ。

「ごめんなさいごめんなさい!」

 必死に謝罪を繰り返すが職員は許す気配はなかった。

「悪いと思っているなら自分で綺麗にしろ! 終わるまで飯抜きだこのカス!」

「やめてよ!」

 暴言を吐く職員に少女は思わず声を出してしまった。

 基本他の子どもたちは見て見ぬふりが当然だが、反射的に反抗的な言葉が出てしまったのだ。

「なんだお前。この俺に逆らうのか?」

 少女の襟首をつかんで職員は個室に連れ込んだ。そしていつものベルトの鞭を取り出して何度も少女を叩き始めたのだ。

「ここで生きていきたければなぁ! お前らは俺たちの言うことを聞いていればいいんだよ! この貧弱共がぁ!」

 体中に痛みが走る。痛みが走る中で少女は再び考え始めた。

 どうしてこんなことになってしまったのだろう。

どうして世の中はこんなにも理不尽なのだろう。

どうして両親は自分を置いて死んでしまったのだろう。

 様々な思いが頭の中でこんがらがるっているうちに、少女の意識が徐々に小さくなっていく。

 ああ。このまま死んでしまうのもいいかもしれない。

そうすれば罵倒されることも痛めつけられることもなくなるし、大好きな両親のところへ行くことができるのだから。

 だけど自分が死んだ後はどうなるのだろう。

 もし自分が死んだ後もあの腐った連中は他の子どもたちを痛め続けるに違いない。

 自分が助かってもこの地獄のような施設の根本は変わることがないんだ。

 自分だけ逃げだすことは、したくはなかった。

(私に……力があれば……)

 か弱い少女の力では大人に勝つことができないなんてことはわかっている。

 それでもこの状況をひっくり返したかったのだ。

「?」

 少女の右手に何かがある。それは昨晩自分の布団の中に入っていた一枚のカードだった。

 ポケットの中に入れていたはずのそれがいつの間にか自分の手の中にあったのだ。

「なんだ? お前そのカードは。誰の許可を得ておもちゃなんか持ってきているんだ? おしおき時間追加だなぁ!」

 ベルトの鞭が襲いかかろうとした瞬間、カードが急に光だし、そこから一体の獣が現れた。

「ひ、ひぃ! な、なんだそいつはぁ!」

 職員は腰を抜かしながら個室の壁まで後退していく。その表情はまるでこの世のものではないものを見ているかのようだった。

「あなたは、私の味方なの?」

 少女はカードから現れた獣を見つめた。

 不思議とその獣を見ても恐怖は感じなかった。まるで昔から知っているかのような感覚だった。

「私の味方ならお願い。私を助けて」

 獣は返事をするようにコクリと頭を上下に動かした。

「や、やめろ! お願いだやめてくれ! やめてくださいお願いします! 今までイジメてきたことを謝るから! そ、そうだ! 俺も昔施設暮らしで職員の連中に散々な目にあわされたんだ! 俺だって被害者なんだよ! そうだよ! 俺がこんな風になっちまったのは施設の連中の所為なんだ! 俺自身が悪いわけじゃないんだ! だから許してくれ! 命だけは! 命だけはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

獣は、常人では考えられないような力を振るい、謝罪を繰り返す職員を容赦なく叩きのめした。

「はぁ……はぁ……」

 今まで自分を痛め続けていた存在が壁にもたれている。

 このがやったのか? いや、それともカードから出した自分がやったのか?

 そんなこのとはもう、少女にとってはどうでもよかった。

「なんだ……こうすればよかったのね」

 その日、施設内の職員全員が殺害されるという事件が起きた。

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