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今日日の不良はカードからビーストを召喚するんだぜ?  作者: スカッシュ
第4章 少年院からの脱走者、先原盛幸の暴走! 編
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第33話

 少年院。

 そこは罪を犯した少年少女を更生させるための施設である。

 彼らが犯した罪は数々ある。無免許運転、恐喝、暴行、そして……

「う……うう……」

 消灯時間により暗くなった部屋の中で少年は苦しそうに床についていた。

 枕が合わないわけではなく、寝つきが悪いわけでもない。

 彼はただ欲しているだけなのだ。

 ここに入る前はとても気持ちがよかった。アレ・・を手にしたことにより人生が大きく変わったというのに、なぜ自分はこの場所に閉じ込められているのだろうか。

「あ……ああああ……!」

 欲しい欲しい。心の底から欲するという感情が湧いてきてくる。

「よこせよこせよこせよこせぇぇぇぇぇ!」

 押さえられなくなったのか、布団の中で大声を出してしまった。他にもルームメイトがいるのにも関わらず深夜2時の少年院に怒声が響き渡る。

「またお前か!」

 見回りに回っていた職員が部屋の中に入り、彼の暴走を止める。

「大人しくしろ!」

 これにより周りのルームメイトも目を覚ます。しかし彼がこんな感じなのは今に始まったことではない。

 ここに入ってから時々彼はこうやって暴れ出すことがあり、最初は頭がどうかしている奴だと思っていた周りもだいぶ慣れてきたようだ。しかし朝の起床が早い少年院において深夜に無理矢理起こされるのはたまったもんじゃない。

「すまんなみんな。彼は私が連れて行くからもう寝なさい」

 彼が暴れ出し職員が止めに入る。それがここのパターンだった。

(もうどっか行ってくれねぇかな……)

 少年院では基本的に勝手な私語は禁止されているので、同じ部屋に入っている少年たちはいちいち彼について愚痴のこぼし合いをすることはない。たださっさとどこかへ行ってほしいという思いは一緒のようだ。

 そんなある日、問題児扱いされていた彼が急に少年院から姿を消したのだ。

 これが永一たちの新たなる戦いのきっかけとなる。


 ◆


 放課後の公園。

 そこで俺と陽介、聖来、チェックは集まっていた。

 チェックが持っているカードバインダーには今まで回収したビーストカードが並べられている。俺たちはそれらを一枚一枚確認していたのだ。

「こいつは俺が戦って手に入れたんだ」

 俺は蛸のビースト・クラーケンのカードを指さす。

「あ、こいつは俺がやっつけだぜ」

 陽介は蝗のビースト・アバドンのカードを見つめながらこの公園で起こった激闘を思い出していた。

「んで、これが私が倒した象のビーストだな」

 ついこの間ビースト使いに覚醒した聖来は、ガネーシャのカードを見ていた。

「そしてお前らとオレっちと、中林が持っているカードを合わせると8枚ってところだな」

 俺が持っている狼のビースト・フェンリル。

 チェックが持っている獅子のビースト・ネメア。

陽介が持っている牛のビースト・ミノタウロス。

聖来が持っている蛇のビースト・ヨルムンガルド。

そして中林が持っている馬のビースト・ユニコーン。

チェックの言う通り俺たちが所持しているカードと回収したカードの枚数を合計すれば8枚になった。

「んで? これって何枚集まればコンプリートなんだ?」

 聖来はチェックに聞いてきた。

「ビーストカードは全部で31枚だ。だから残り23枚だな」

「まだそんなにあるのか。道のりは遠いな……」

 げんなりとする俺の肩を陽介が叩いた。

「心配するなよ、俺たちがついている。さっさと集めてすべてを丸く収めようじゃねぇか」

「ああ」

 陽介にそう言われると本当にさっさとすべて集まりそうになる。千里の道も一歩からと言うらしいし、コツコツ集めていこうじゃねぇか。

「…………」

 一方聖来は空白のバインダーを穴が開くほど見つめている。

「どうした、聖来」

「この中に兄貴を殺したビーストが……」

 聖来は自分の兄を焼き殺した犯人がビースト使いだと思っているらしい。

 ヨルムンガルドのカードを手に入れたことをきっかけに兄の仇を取ろうと考えているのだ。

「なぁ。お前の兄貴を殺した奴が見つかったら、どうするつもりなんだ?」

「どうするって?」

「炎を操るビースト使いと出会ったら、聖来はそいつを殺すのか?」

 できれば聖来には俺と同じことはしてほしくなかった。俺は過去にフェンリルの力で父親を殺した過去がある。あの経験は今でも苦く頭の中に染み込んでいる。だからもし聖来が兄殺しの犯人を殺す……なんて考えていたら止めようと思ったがそれは杞憂に終わった。

「私は殺しなんかしないよ。ビーストカードを奪って無力化させて、一発殴ってから自首させる。それだけさ」

「一発殴ることは確定なんだな……」

 恐怖のスケバンなんて恐れられていた聖来だが、殺人を行うほど落ちぶれた奴ではなかったようだ。

「つーかお前なにさらっと私のこと名前で呼んでんだよ」

「え? ダメだった?」

 ビースト使い同士の仲間になったことをきっかけに断りもなく下の名前で呼んでしまっているが生意気だっただろうか。

「まぁ別にいいけど」

 いいんかいっ。

「とにかくこれからもビーストカードの回収に協力してくれ。オレっちはお前が学校に行っている間に情報を集めておくからよ」

 最初は俺とチェックで始めたビーストカード集めだったが、今は陽介と聖来もいる。どんなビースト使いと対決することになっても恐れることはないだろう。

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