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苦労人

「ただいま」

あの後会話を終わらせたまたま見かけたクラミティを倒して帰ってきた。家に帰ってきた。

あれ、みつの靴がある。

「あー、おかえりおかえり」

「え、なんでここにいるの!?学校は?」

「あー、学校は今日はないよ。だって今日土曜日じゃん。

「あ―、なるほどね」

「そうそう間違えて学校に行ってしまった」

「おお、意外にドジだなw」

「あ、拓馬クラミティ倒した?やけに元気だね」

あー、だから伊藤とであったのか。

あいつもサボっているのかと思った。

「うん倒したよ」

「流石流石、俺のお昼ご飯は?」

みつが僕のコンビニ袋を指さした。

あわてて自分の後ろに隠す。

「僕の分しかないよ、自室で食べるから」

「ええええ…、ケチだなああああ」

それを無視しすたすたと階段を上った。

部屋の扉を開けようとした瞬間下からみつが叫んだ。

「拓馬あああ!このlimeなんだよ!彼女佳代!」

アイコン?

limeのアイコン?

何のことだ。

「…」

もしや!

僕は自分のlimeのアイコンを見た。

「伊藤…、あいつううう…!」

そのもしやだった。

自分のアイコンが伊藤と僕とのツーショットになっていたのだ。

本当にやるな…。

「みつ!違うよこの子!僕の彼女じゃない!」

「じゃあなんだよw」

ったく…、伊藤のやつめ。

他に何もしてないよな…。

しばらく見てる。

特に何もされてなかった。

次あったときは覚えとけよ…。

「みつ!本当に違うからね!」

「家につれてこないでよねー!」

みつはそれをいうとリビングに戻っていった。

あいつ意外に精神年齢低いな…。

男女関係のことでいじられるって本当に何年振りだろうか。

 さて食べますか。

今回勝ったのはサンドウィッチとコラ・コーラと伊藤に紹介された草というアイスだ。

草の味が気になるが子供でもないのでまずはサンドウィッチを食べる。

そこに記入されている指示通りにラベルをはがす。

ある程度まで行くと剥がすのをやめ、一つ取り出す。

ハムサンドだ。

「頂きます!」

口の中に入れようとした。

が、それは電話の着信音の音で途切れた。

「え、ああ!?で、電話?」

しょうがなく食べかけていたサンドウィッチを再び戻す。

画面を見ると「かわいいクラスメイト」と書いていた

なんだ、こいつ…。

お手拭の袋を開け手を拭いて電話に出た。

警戒しつつもゆっくりと受話器を耳に当てた。

「も、もしもし?」

「拓馬くーん」

え、なんで僕の名前知っているの?

まさか知能のあるクラミティ?

「あれ、拓馬君?もしもーし」

あれ、この声聞き覚えがあるぞ…。

「もしかして伊藤?」

「そうだよ!今さっきはありがとね!」

「あ、うん」

ただの伊藤だった。

こいつが仕組んだのはlimeのアイコンだけじゃなく、なんと連絡先の登録だった。

なんか知らないけど最近知らないうちに仲良くなってしまった。

たまに人と接するのがよかったのに…。

まあ、ボッチよりましかな…?

「で、次は何の用?」

「え、特に」

「…」

「あ、ごめん」

「まあ、いいけど」

「ありがとう!じゃあ特に話すことないから電話切るね」

「あ、待って。最後に」

「うん?」

「月曜からは僕に近づかないでくれ。またあんなことになるのは本当に嫌だ」

「あー、そのことなら大丈夫。彼ら今不登校になってるから」

「え、そうなの?」

「そうそうだから月曜からはたくさん話そう」

「おう!」



 その日の夜、みつに対してのwizardの効果が消えた。

前も説明した通りその効果は急に切れる。

ぴんと伸ばした糸をはさみで切ったときのように急に切れるのだ。

プツンと。

「あ、ああああああああ。ママあああ!ぱぱああああああああ」

急に隣から声が聞こえた。

すぐにwizardの効果が切れたのだなと察した。

急いで本にしおりを挟み、みつの部屋へと向かった・

「あ、あああああああああ。なんでなんでなんで俺をおいていったの!?私はああああああああああああああああ!?」

扉を開けた。

そこには泣き叫びながらリストカットをしていたみつがいた。

何とか頸動脈は切っていなかった。

考えて死なない程度に切っているのかな?

そんなことはどうでもいい僕は素早くみつに机に置いていたバッチを付けた。

 すると彼はぴたりとリストカットをやめた。

再びその顔に笑顔が宿る。

が、その顔にはリストカットで飛んだ血がついており、少し不気味だった。

彼は悲しそうに自分の手首を見ていた。

しかしwizardの効果ですべての傷が癒えていった。

勘違いしてもらってはいけないので説明しよう。

wizardは病みよって能力が上昇する。

そのためみつは強力な回復力、強力な魔力、身体能力を発揮できる。

病み=力

力=病み

僕はその力にあこがれるが、彼はそれをコンプレックスとしていた。

力の代償というものは実に恐ろしいものだ。

「ごめんね、拓馬」

みつは泣いていた

「いつもごめん」

「そう謝るなよ。こういう時はお互い様だよ」

「はははは…情けない…」

「大丈夫だって」

「…」

彼はうつむいた。

僕からは彼の表情は見えなかったがきっととても悲しい顔をしていたと思う。

しばらく僕は彼の背中をさすった。

「拓馬、もういいよ。今からちょっとクラミティ倒してくるね!」

顔を上げ、笑顔で僕にそういった。

窓を上げ飛び去って行ってしまった。

 彼が飛び去った後僕は掃除を始めた。

床に飛び散った血を雑巾で拭いていく。

拭き終ったら下の洗面所に行き雑巾を絞る。

流れる水は血混じりだった。


「ただいま~」

高テンションのみつが帰ってきた。

手にはコンビニ袋があった。

「お帰り、みつ。」

「ん?」

「僕の晩御飯は?」

「ないよ、俺は自室で食べるから」

デジャヴだ。

これデジャヴだ。

「うそうそ。拓馬には迷惑かけたからほらこれ。」

みつが袋をがさがさしなにかを取り出した。

そして僕のほうに投げてきた。

キャッチしたものを見てみるとジュースだった。

なんと僕の大好きなコラ・コーラだった。

「みつ!ありがとう!!」

「おうおう、これからもよろしくな」

「…」

「拓馬?」

「僕の晩御飯は?」

「自室で食べてきます!」

「あ、ちょっと待って」

みつは足早に階段を駆け上がっていった。

は、早い…。

 あきらめてコラ・コーラを飲みながらテレビを見ているとみつから写真が送られてきた。

全部で三枚送られてきた。

一枚目はみつがご飯を食べてるときの自撮。

二枚目は先ほど出かけた時に見かけた時にとったのかな、黒猫の写真だった。

三枚目は

「!?」

僕の顔から表情が消えた。

驚いた。

驚いたというか、絶望した。

鳥肌がたった。

自分の目を疑った。



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