十九話メガネ美人・・・・・・良いよな！
ソウスケは朝は冒険者が多くいると思い、出発した時間が予定より早かったのでゆっくりと歩き、じっくりと街の様子を観察しながらギルドに向かった。
(こう・・・・・・あれだな。原宿、渋谷、新宿の雰囲気だな。声が絶え間なく飛び交っている。にしても、髪の色はほんとに色々だな。赤があれば、緑もあってオレンジもある・・・・・・染めてるわけじゃないんだよな。一体どうなってるんだ？それに、黒髪はそこそこいるけど日本人顔はあまりいないな。なんというか、日系アメリカ人って感じだな）
そんなことを思いながら、何か周りの人にじろじろと見られていることに気が付いたソウスケは、自分を見て何かおかしいところはないか探してみたが、特に何もないように思った。
だが、直ぐに視線が何に向いているかが分かった。
(そ～～～～～いうことか。確かにこの服装じゃ目立つよな）
ソウスケの服装は、おそらくこちらの世界に転移される前の服装と変わりない。簡単に言えばこの世界の人が着ている服装と、ソウスケが着ている服装はかなり違う。ズボンのジーパンはあまり変わりないかもしれないが、ティーシャツと上着はかなり目立つものだった。
ちなみにソウスケは気づいていなかったが、昨日の時点でいろんな人からじろじろと見られていた。
ソウスケはどうせ時間はあるんだと思い、服屋に寄って服を上下セットで何着か購入した。
その際に店の人に服を売ってくれないかと問われたが、後々めんどくさいことになるかもしれないと思い、売らなかった。
買った服に着替えたソウスケは、再びギルドに向かって歩き出した。
それから五分後、昨日と違いあまり騒ぎ声が聞こえてこないギルドにたどり着いた。
ソウスケはドアを開け、とりあえず受付嬢の元に向かった。
そして、受付嬢に話しかけようとしたが、目の前のあまりにも美人な受付嬢を見て、声が出なかった。
(・・・・・・やっっっば。すげぇ、綺麗な人だな。そりゃあ、昨日のメルさんみたいな、可愛いか、もしくは綺麗な人がいるんだろうな～～～～とは思っていたけど、この人本当に綺麗だな）
ソウスケが見とれている人物は眼がきりっ、としており髪は黒のストレート、そしてメガネをかけている。
スタイルも良く、昨日ソウスケが見たメル程の胸はないが、ある程度の大きさはある。
そんな美人を見たソウスケはまず、この人はたくさんの人に言い寄られて、そのたびに振っているんだろうなと思った。
そして自分を見ていることに気が付いたメガネ美人は、ソウスケに声をかけて来た。
「そこの君、私に何か用かしら？」
声をかけられたソウスケは我に返って、慌てて説明した。
「あ、え、ええっと、そうです。も、モンスターの解体をお願いしようと思って」
ソウスケの言葉を聞いたメガネ美人は、ソウスケが何を言っているのか意味が分からず、首を傾げた。
ソウスケからモンスターの匂いはせず、ソウスケが小さな袋の中にたくさん物を入れることが出来るアイテム袋を持っている様子はないので、モンスターの素材すら持っていないように思えた。
だが、メガネ美人は昨日同僚の童顔で、そこそこ大きいはずの自分の胸より大きな胸を持っている女性が言っていたスキルをまだ、冒険者登録した段階で五つも持っている期待のルーキーがいたと言っていたのを思い出し、同僚が言っていた人物の特徴が目の前の少年と一致したのに気が付いた。
(・・・・・・なるほどね。どこか登録したばかりの新人とは違う気がするわ。それに、おそらく登録用紙には書いていないスキルがあるはず。それを見てもしかしたらあの子がつい、うっかり声に出して周りの冒険者に聞こえ、この子が面倒ごとに絡まれるほどのスキルが。今日こうしてアイテム袋を持っていないのにモンスターの解体をお願いする様子を見ると・・・・・・なるほど、なかなか賢い子ね）
メガネ美人はソウスケを見て薄く微笑んだ。
「わかりました。ギルドカードを見せてもらってもよろしいでしょうか」
「は、はい」
ソウスケは慌てながら、ズボンからギルドカードを取り出し、渡した。
メガネ美人は慌てるソウスケを見て、思わず表情が緩んだ。
(新人離れしてそうで、こういうところはまだ新人なのね)
メガネ美人は大抵、新人の男の冒険者が自分に対して、慌てることがほとんどと知っているので、目の前の少年もそういった所はかわらないのだなと思った。
「確認しました。では、ソウスケさん。私に着いて来てください」
「は、はい」
ソウスケは未だに緊張しっぱなしだった。
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