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リーレン

《???》


「すみませーん」

「はい。何かご用――うお! また角と尻尾!」

「えっ? 見えるの?」


「シル嬢の知り合いですか?」

「あ、うん。そうだけど……」


 本当は人間に正体がバレたら殺さないとダメなんだけどな……。

 またって言ってたし……。

 シルもバレちゃってるんだ。


「シル嬢はアニキとデート中で……。お昼には戻ると思いますよ。むさ苦しい男ばかりですけど、中で待ちますか?」


 え? 角と尻尾に気が付いたのに、怖がらないの?

 それより今シルが『デート中』って言った?

 言ったよね?


「……いいの?」

「いいですよ。どうぞこちらへ。あ、足元がゴツゴツしてるんで気をつけてくださいね」


 振ってた斧を背負って洞窟の中に入っていく。

 これ……罠じゃないよね?

 私は警戒しつつも、急いで男のあとを追う。


「お茶菓子は何があったかな……。あ、コック。お茶を二つ」

「ほー。また角ちゃんか。コーン茶ならすぐにいれられるぜ?」


 こっちも一瞬で正体を見破った……。


「それでいいぞ。早く頼む」

「任せとけ!」

「あの……お構いなく……」

「気にしないでください。丁度、俺も休憩しようと思っていたところでしたから」


 何か変わった人たちだな……。


――――――――――


 ケルベロスのテイムを成功させて盗賊たちのアジトに戻るとシルに来客が来ていた。

 俺とシルは急いで部屋に向かう。


 客間などないから、現在は俺が使用している元盗賊のボスの部屋だ。


 扉を開けると、ベッドに腰かけている人物がいた。

 角が生えているし当然魔族だろう。


 ピンク色の髪の毛がサイドテールで結われている。

 幼女には違いないが、身嗜みがきちんとされて大人びて見える。


 ちなみに部屋の扉は盗賊たちが直してくれた。


「あ、リーちゃん!」

「『あ、リーちゃん!』じゃないわよ! 遊ぶ約束をしてたからお菓子を作って待ってたのに……」


「そうだった! ごめんね、忘れてた」

「あんたって子は……。で? そちらの素敵な男性は?」


 俺たちが部屋に入ると、立ち上がって出迎えてくれた。

 軽くシルとあいさつが終わると、こちらに視線を流す。


 シルと話しながらも、チラチラ俺の顔を見ていたが……。

 見るたびに頬を赤くするのは初めての反応だ。

 モテ期か?


「こちらの方はシロウ。私の全てを捧げる事にしたんですよ」

「全てを捧げるって『絶対服従の誓い』をするの?」


「実は……もうしちゃいました」

「えっ? でも、魔力が使えてるじゃない」

「かくかくしかじかです」

「本当に?」

「本当ですよ」


 なんか二人だけで内緒話を始めてしまった。

 何度もこちらを見るから、二人で俺の話をしてるのはわかるが……。


「っというわけで今夜よろしく、ね?」


 リーちゃんと呼ばれた幼女が振り返ってそう言う。


「内緒話をしてたじゃないか」


 俺には一切情報が回ってきてないぞ。


「シロウ、リーちゃんのステータスを見て」

「いいのか? シルの時は怒ってたから見なかったのに……」


 ピンク髪の幼女の顔を見る。

 目が合うと幼女の頬がポッと赤くなった。


――――ステータス――――

 名前 リーレン

 性別 ♀

 職業 魔王

 レベル 三二


 体力 一七五五/一七五五

 魔力 七三三/七三三


 力  二五九

 賢さ 二三〇

 耐久 二一一

 敏捷 一〇五



 称号

・歴代最弱魔王


 能力

・友情

――――――――――


 えっ? この幼女が魔王なの?

 歴代最弱。《勇者の加護》の称号がつく前のシルといい勝負だ。


「シル……魔王と友達なの?」

「はい! 幼なじみなんです。リーちゃんの家すっごく広いんですよ!」


 いや、そりゃあ。魔王城だからな。

 アパートの一室が魔王城でしたとか言われたらドン引きするわ。


「シル、俺がもし魔王を倒すなら俺の味方をするって言ってなかったか?」

「……はい。言いました」


 シルが魔王の方をチラチラ見ながら答えた。


「大丈夫よ。私は魔王でシルは好きな人を支えるだけ。例え私が相手でも好きな人を裏切っちゃダメよ?」

「リーちゃん、ごめんね」

「シルはずっと子供だと思ってたのに、こんなに大人になって……よしよし」


 シルは魔王に謝りながら抱き付くと魔王がシルの頭を撫でた。シルはまだ子供だと思うぞ?

 美幼女同士が抱き合うと絵になるな。


「リーレンさん」

「リーでいいわよ」

「シルには本当の気持ちを聞きたくてあんな質問をしましたが、俺はリーを倒しに行く気はありません」

「さすがシルが惚れるだけあるわね。もうシルの角に触った?」

「角ですか?」

「リーちゃん、それは……」

「魔族の女性の角は好きな相手にしか触れさせてはいけないのです」

「もし、それ以外の人に触れられたら?」

「殺します」


 顔がマジだと言ってる。

 脅しじゃない。


「魔族にとっての角は空中に浮遊する魔力を効率良く吸収するための装置のような物です。それに触れられてしまうと装置の波長が乱れてうまく吸収できなくなってしまうんですよ」

「シルの角に何度も触れちゃったけど、大丈夫なのか?」

「まぁ!」

「だって……一目惚れだったんだもん」


 指をモジモジさせてテレるシルが新鮮だ。

 初めて角に触れる時に『特別』って言われた気がするな。


「シルが一目惚れするのもわかるわ。私も名乗りをあげようかしら……」

「リーちゃんは駄目! 私じゃリーちゃんに勝てないもん」

「シルはもっと自分に自信を持ちなさい。あなたは十分に魅力的よ」

「……うん」


 幼なじみって言ってたけど、完全にリーがシルの面倒を見る関係が出来上がっている。


「さっきの話とは?」

「私にも『絶対服従の誓い』をして欲しいの」

「リーちゃん! お風呂に入るだけって!」

「ごめんね。でも、シルは数日で見違えるように強くなった。もしそれがシロウ様の力による物なら私にもそれを授けて欲しいの」

「その代償が『絶対服従の誓い』でもいいと?」

「はい!」


 魔王が勇者に服従を誓ってもいいのか?


「理由は……称号だよな」

「やはり強者には隠せませんか……」


 リーが自嘲気味に微笑む。

 俺は歴代最強だからいいが、歴代最弱の称号はキツいよな。


「シルの魔力波長は『絶対服従の誓い』でリセットされました。今の魔力波長はシロウ様と同一波長になっています」


 魔力波長のリセットって大丈夫なのか?

 魔力をうまく練れなくなるとか?

 それはないか。シルは昨日より元気だ。


「実はさっきの角の話には続きがありまして、角に触れると……強制的に相手の魔力を吸収しちゃうんです。だから魔族同士でも無闇矢鱈に触れないように建て前で『波長が乱れる』、触れた相手は『殺せ』と教えられるんです」


「えっ? リーちゃんそんな話、聞いた事ないよ? そうだったの?」

「ええ。初等部、中等部では習いませんが、魔王育成専門学校に通っていた時に、角の講義があり内部構造まで勉強しました。シルが知らなくても仕方ないですよ」

「良かった。私が聞き逃したのかと思った」


 魔族にも学校があるようだ。

 そして俺は聞き逃さなかったぞ。

 魔王育成専門()()と言った。

 学校である以上、生徒は一人ではないはずだ。つまり魔王は一人じゃない。

 これに関してはあとでシルにこっそり聞くとしよう。

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