かわいい後輩
その後会議は順調に進み、会議の終わりの時間がやってきた。
「では、これで会議の方は終了になる。各自今後の活動について確認しておくように。解散。」
会長が会議を締めて終わった。
しかし、四条にはまだやらなければいけないことがあった。
選手宣誓の打ち合わせをする日程を他の二人と共有しないといけなかった。
一年生の真田に話しかけるのに大した問題はない。
問題は三年生の綺羅だ。
この学校に在籍している二人の王家のうちの一人の綺羅とたまたま校外学習で結果を出しただけの四条とでは、天と地との差が存在している。
話しかけるのにもそれなりに勇気のいることだった。
勿論、綺羅の方から話しかけてきてもらえたらそれでどっちも困らなくて済むのだが、綺羅からは一切話しかけてくる気配が感じられなかった。
結果、四条は綺羅の五メートル後方でずっとおどおどしていた。
四条はふと、森宮なら何とかしてくれるかもしれないと思ったが既に会議室内から消えていた。
帰るスピードが以上に早かった。
森宮もこれ以上厄介ごとに巻き込まれるのは勘弁と言ったところなのだろう。
森宮という奥の手を失った四条は何をすればいいかわからなくなった。
「これ話しかけるの俺だよな?でも話しかけて変な感じになったらどうしよう。あーーわっかんねー。」
などと一人で自問自答をする始末だった。
ポンポン・・
急に四条の肩を誰かが叩いた。
「うひゃっ」
四条は驚いて変な奇声を上げた。
振り向くといつもは見慣れない顔だった。
「すみません、驚かせてしまって。わかりますか僕の事?わかってくれてたら嬉しいです。」
「あーっごめん。ちょっと存じ上げないんだけどー。誰なんだ?」
「そうですね。わからないのも無理ないですね。じゃあまずは自己紹介から。僕の名前は真田亮介。四条さんと同じ選手宣誓をする一人です。よろしくお願いします!四条さん。」
四条はこの状況をようやく理解した。
「あー君が一年生の。四条だ。よろしくな。」
二人はがっちり握手した。
四条は真田を見てとてもニコニコしていて身長も自分と同じくらいでかわいいやつだなと思った。
ちなみに真田は四国の鳴門県出身。
元中学バレーボール日本一のリベロ。
スポーツ推薦でバレーボールの強い高校に進学する手もあったがあることがきっかけで王を目指すこととなりこの学校に来たらしい。
そんなこんなしているうちに綺羅が室内からどこかに行ってしまいそうになっていた。
「こんな握手している場合じゃなかった。四条さん。綺羅さんに打ち合わせの日程を聞きに行ってきてほしいです。」
「無理だ。」
四条は大人げなく即答した。
何せ自分自身がそうしたらいいかわからなかったからだ。
「僕じゃ無理ですよー。二年離れてるより一年しか離れていない四条さんの方が絶対話しかけやすいじゃないですか。頼みますよ。」
真田は手をこすり合わせてお願いした。
「だから無理だって。だって正直怖いんだよあの人。王家だぞ王家。」
「森宮さんとは仲良く話してたじゃないですか。」
「それとこれとは別だ。とにかく一人じゃ無理なんだよ。」
「そんなこと言ったって僕も怖いに決まってるじゃないですか。ここは四条さんが腹括って下さい。」
「無理だ。だが二人でならまだいけるかもしれない。俺も行くからお前もついてこい。」
「えーー。そんなぁ。わかりました。怖いですが二人で行きましょう。」
「よし、じゃあ行くぞ。」
四条と真田が後ろを振り向いた時にはもう既に綺羅はいなかった。
二人が話しかけに行く人を押し付けあっている間にどこかに行ってしまった。
二人はやってしまったと思った。
というのも三年生の校舎に行くとなると、先ほどの状況の何倍もしんどい状況に追い込まれるからだ。
二人は今探して言いに行くしかないとアイコンアクトで確認し合うと、ダッシュで綺羅を探しに行った。




