宣誓ー!
彼の名は漆原智樹。
神戸県出身。
元体操日本王者の二年生。
一か月後に控えた体育祭の実行委員の一人である。
ちなみに森宮とは一年時に同クラスである。
「俺から、というよりかは実行委員会からの提案なんだけど四条君が良ければ体育祭の選手宣誓をしてほしいんだ。」
四条は少し驚いた表情をした。
例年、体育祭の選手宣誓は各学年から一人ずつ選ばれる形となっているが、今年の二年生は校外学習で活躍した四条が適任ということでまとまったのである。
「どうかな。いい話だと思うんだが。」
漆原に念を押されたがその前から既に四条の気持ちは決まっていた。
「勿論、やらしてもらうぜ!」
四条が断る理由などこれっぽっちもなかった。
四条は即答で選手宣誓を買って出た。
漆原は流石一度頂点を取った奴は違うなと思った。
「それじゃあ手続きは後日連絡するよ。いい宣誓を期待しているよ。」
「任せてくれ。」
四条との会話を終えると森宮の方に顔を向けた。
「森宮、楽しそうなクラスだな。お前でも馴染めそうじゃないか。」
「余計なお世話や。」
森宮は少し恥ずかしそうに反論した。
「そんじゃ行くわ。」
そう言って漆原は教室を後にした。
四条は選手宣誓が決まって興奮していた。
「おい、選手宣誓だぞ。全学年が見るんだぞ。こんな興奮することないぞ。」
「そうだな。」
角川がいつものテンションで返したが四条はいつも以上に嬉しそうにしているのを見て少し角川もうれしかった。
森宮はこんな事ごときでテンションが戻るなんてまだまだガキやなと心の中で言った。
テンションの上がった四条は急に席から立って机に乗っかりだした。
「選手宣誓ー。選手宣誓ー。選手宣誓ーーー。」
選手宣誓のつもりなのか選手宣誓を連呼し始めた。
角川と森宮は関係ないふりをした。
次の授業が始まるまで続けて流川先生に軽く怒られてしまった。
しかし、それほどまでにこの誘いは四条を退屈な日常から引っ張り上げてくれたのだろう。
角川と森宮は怒られて廊下から帰ってきた四条を見て心配にはなったが、同時に期待もほんの少ししていた。
その後、三年生と一年生の選手宣誓をする人も決まったため、一度三人が集まる機会が作られることになった。
そして、体育祭実行委員会から招集を受けて四条は会議室に来ていた。
そこには実行委員長の早川をはじめとするそうそうたる面々が連ねていた。




