バカでかいカブトムシ 2話
やはりおかしい。と直感していたのだが。それを上回る衝撃がノエダを襲う。
「で、でかい!なんだあのカブトムシは!手のひら2つ分はあるじゃないか!」
仕掛けた樹液に群がる虫たちの中にひときわ目立つ昆虫がいた。
カブトムシだ。
樹液をすすりながら周囲の邪魔者を威嚇してまわるその強い姿勢。
ノエダはそれにあこがれて昆虫が好きになったのだ。
幼少期を思い出す。ノエダの原体験。森を友達と走り回って虫を狩りまくった日々……
「ああ、こんなところに思い出があったんだ……」
ノエダは涙を流して崩れ落ちる。
もう立つことすらできなかった。
キャンプにも森歩きにも慣れているハズのベテランが
夜中に森を進んだだけでギブアップしてしまったのだ。
彼を助けるものは現れないだろう。
◇
チチチチチ
スズメが鳴いている。
「おや?あ、あさ?か?」
男は立ち上がる。
ちょうど胸の高さに木に仕掛けた罠があった。
「も、もどったのか?」
不思議な体験をしたものだ。
森の中で眠ってそのまま朝になってしまったらしい。
「いたたたた!まったく無茶をするものじゃないな」
ノエダは体中が痛かった。
当然だ。地面に何もひかずに朝まで寝ていたのだから。
ノエダはこの体験を自身のブログに書きこんだ。
反応はほとんどなかった。
まあ、おじいさんの昆虫採集とか日常とかを書いたブログが需要があるはずもなく。
一部のマニアックな界隈だけで知られていただけだった。
◇
「すみません。お話うかがっても良いかしら?」
ブログ公開から数日後、コメントが付いていた。
どうやら大学の教授らしいその女性は、
国中の不思議な体験や未解決の事件を収集しているらしい。
話をしてみよう。そうノエダは思った。
「私の話ならばいくらでも」
そう請け負って数日後。女性が家に訪問することとなった。
「あのキャンプ場で行方不明になった人もいるんですよ」
「それは……しらなかった。私も危ないところだったんですかね」
「どうかしら?条件を特定できていないので」
「ところで、カブトムシの標本。見ていきませんか?」
「ぜひ」
ノエダは運がよかっただけかもしれない。
ソロキャンプで夜に森に入るときはご用心




