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非存在観測部隊の怪現象譚~ミコト教授のケースログ~  作者: LostCun
ケース5

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10/23

バカでかいカブトムシ 1話

「おい!カブトムシだ!で、でかいカブトムシが居たんだ!」

ツーツーツー


その言葉を最後にして電話が切れた。

これは怪現象があふれる非存在の森に迷い込んだ人の話。


◇


ノエダ。54歳。趣味はアウトドアと昆虫採集。

学校の教師をしている。ほぼ引退しているようなもので、

今日は有休を使ってキャンプ場へ来ていた。

平日のキャンプ場は良い。静かで、落ち着いていて。

ちらほらと薪を囲んでいるソロキャンプの人が見えたが、

キャンパー同士の高度な自治が働いており、互いに話しかけたりはしないのだった。


「明るいうちに仕掛けてしまうか」

時間は正午を少し回ったくらい。

昼飯は食べた。カップヌードルだった。醤油味だ。


ノエダは森に入ってカブトムシ用の樹液を木に塗って回った。

こうすることで狙った位置に標的を集めるのだ。

「昨今は虫嫌いの若者も増えたものだが……私はまだまだ現役だな」

捕まえたカブトムシは釘を打って標本として飾ることにしている。

妻からは悪趣味だと言われるが……ノエダは自分が作る標本で誰かが笑うのが好きだった。


「さて、これでよし」

8か所に罠を仕掛けた。あとは夜を待つだけだ。


◇


夕食はカルビを焼いた。

飯盒炊飯の米とプレートで焼いた肉がマッチして美味だった。

好きに作ってスキに食う。キャンパーの楽しみの一つだな。


夜には星を見て寝転がる。

大きめのシートを地面に敷いて空を見上げるのだ。

そうすると、まるで宇宙全体が自分一人のために存在しているかのような

万能感に包まれる。気がする。

市街の明かりでかき消されている星々のきらめきが

ここではハッキリと目に飛び込んでくる。

「ああ、いつ見ても美しい……」

思わず感嘆の声を漏らした。


◇


とにもかくにも昆虫採集だ。

時間は22時。夜中だ。

罠を仕掛けた木に向かおう。

ライトにもなるランタンを手に取って森へと入っていく。

暗い夜に何度も入ったことがある慣れた道だ。

迷うことはない。


ベチャ……ベチャ……

なにやら聞き覚えのない嫌な音がする。


キーキキキ、ガーガーガー

キュイ!キュイ!バリバリムシャムシャ


いつの間にか森の中は音であふれていた。

異様だ。とノエダは直感した。

この時に戻っていれば、あんなことにはならなかったのかもしれないと後知恵で考える。


◇


おかしい。罠を仕掛けた木はここを真っすぐ行ったところだったはずだ。

たどり着かない。

歩いても歩いても目印を見つけることができなかった。

周囲を観察する。

迷ったわけではないはずだ。

見覚えのある歩道が足元に続いていた。

何もけもの道を進んできたわけではない。

れっきとした歩道だ。管理され整備されている。

なのに、そこを進んでも目的地にたどり着かない。


まるで自分が小人になってしまったかのような歩みののろさだ。

「はあ……はあ……おかしいな。こんなに遠かったか?」


目印を見つけた。目的の木はすぐそこだ。

「た、たどり着いた!」

と思ったのもつかの間。罠の位置が明らかに高くなっていた。

「あんなに高い位置に仕掛けた覚えはないのだが」



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― 新着の感想 ―
カップヌードルのシーフード味を食べないから災いがくるのかーw
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