第01話 妖怪使い異世界へと旅立つ
俺の名前は安倍晴明30歳、しがない社畜だ。
趣味は今時、古戦場巡りに、神社、仏閣、パワースポット巡りだ。
名前と相まって、古臭い奴だと周りから見られているが、これは、趣味と実益を兼ねているのだ。
実は俺は幽霊とか見れちゃう体質なのだ。
各地の心霊スポットなどを巡っては強そうな幽霊や妖怪に声をかけて仲間にしている。
何も無い空間に呼び掛けて、大きな声を出したり、騒いだりして不気味がれて通報されたことも1度や2度では無い。
しかし、妖怪や幽霊というものは使い出したら、その便利さが癖になる。
嫌な会社の同僚の弱みを握ったり、嫌みな上司の弱点を暴き出して退職に追いやったりしたこともある。
そんなこんなで、俺は漫画等でも有名な九尾の狐が封じ込められているという伝承のある殺生石に今回はやって来た。
流石は九尾の狐、封印の上からでもヤバい雰囲気がビシバシ伝わってくるぜ。
俺は殺生石を囲んでいる柵を乗り越えると、いきなり、殺生石にかけられているしめ縄を引き千切った。
すると、妖気というか呪力といった感じのモノが立ち込めるのを感じた。
やった!!封印解除成功だ!!
と思ったのも束の間、頭の中に声が聞こえて来た。
これも何度も体験済みだ!と思いつつ、声を聞く態勢を整えた。
「我を封印から解き放ししは汝かえ?」
「そうだ!!九尾の狐よ!ソナタと縁を結びたい、返答やいかに?」
「多少は呪力を持ちし者なれど、我を使役したいとは千年早いわ!!」
「なれば、力ずくよ!!出でよ!!牛頭鬼、馬頭鬼!!」
ウモ~!!ヒヒ~ン!!
2体の鬼が現れ、殺生石に向かって金棒を振り下ろした。
しかし、金棒は見えない膜状のモノに阻まれた。
「ホウ!?呪力の薄き現世で、鬼を2体も使役するとはの?しかし甘い!!」
呪力が殺生石から膨れ上がったかと思うと晴明の呼び出した、馬頭鬼と牛頭鬼は吹き飛ばされて、消え失せた。
「まさか、牛頭鬼と、馬頭鬼が一撃とは・・・・」
「次は妾の番じゃな、死んでくれるなよ!!」
次の瞬間、殺生石から呪力の塊が飛んで来るのを感じたが、晴明には
対応することができずに吹き飛ばされて、殺生石の周りに転がる岩石の1つに頭を酷くぶつけた。
晴明が目を覚ますとそこは、殺生石のあった殺風景な景色と変わり、向こう岸の見えない川が流れていた。
そこには、馬頭鬼と牛頭鬼が申し訳なさそうに座っていた。
「そうか、ここは三途の川か、俺は九尾の狐と呪力合戦をして負けたんだな」
「ところが、そうは行かないんだな」
三途の川が消え失せて、晴明は白い空間に投げ出された。
「こ、ここは一体!?」
「君は安倍晴明君で間違いないかな?」
白い空間にふさわしい、全身真っ白な服装の老人が姿を現した。
「そうですが、貴方は一体?呪力でも無く、妖気でも無い、神気とも呼べる気を纏う貴方は・・・・・」
「自分でも気が付いているでしょう。私は貴方の世界で神と呼ばれる存在です」
「やはり!!」
「君の行いは以前から注目させてもらっていたが、危険な存在を1箇所に纏めて置くという意味では有意義であったが、九尾の狐に手を出したのは不味かった。
あれは、まだ君の手には負えない存在だった」
「くっ!!」
「しかし、時は移り変わり平成の世で君ほどの妖怪使いが生まれていたとは、奇跡に近い。
そんな君を今ここで輪廻転生の渦に戻すのは忍びない。
そこで、他の世界に行って見るのはどうかね?」
「元の日本に戻るという選択肢は無いのですか?」
「君の肉体は、九尾の狐の呪力によって傷付き、既に生存は困難な状態じゃな」
「そうですか、新しい世界というのは、どんな世界何ですか?」
「君は生前、ライトノベルとかいう小説を好んでおったじゃろ?あんな剣と魔法のファンタジーな世界じゃな」
「神様がライトノベルとか知っているんですね?」
「君の行いは、生前から見ていたと言ったじゃろ。神にも娯楽は必要なんじゃ」
「でも、俺、一応剣道とかの経験はありますけど、本職やら、数で来られたらすぐに、また死んでしまうと思うんですけど?」
「それは、大丈夫じゃろ。生前、君が仲間にした妖怪達も付いて行くからの」
「え、アイツらが!?」
「君を異世界に転移させるのは、実は彼らからの陳情もあったからなんじゃ」
「アイツらが・・・・・・」
「ああ、それと九尾の狐な、アレ申し訳ないが連れて行って貰うからの」
「ええ!?」
「しっかりと仕置きもしておいたから、すぐに暴れることは無いじゃろうし、君が向こうの世界で修行を積めば使いこなせるようになるじゃろうて・・・・・」
「修行って・・・・」
「要するにレベル上げじゃ、期待しておるぞ。あといくつかの加護を授けておいたから、有効活用するんじゃぞ」
老人が言うと、白い空間に亀裂が入り、扉が開いた。
「君の新たな人生に幸あれ」
「どうも、ありがとうございました」
晴明は扉を潜り、異世界へと踏み出した。
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