第四回「メトロン星人と地球を語りたい。」
「メトロン星人の地球侵略計画はこうして終わったのです。
人間同士の信頼感を利用するとは恐るべき宇宙人です。
でもご安心下さい。このお話は遠い遠い未来の物語なのです。
え、何故ですって?
我々人類は今、宇宙人に狙われる程、お互いを信頼してはいませんから。 」
「ウルトラセブン」で一般的に最も有名なナレーション。
当時はあまりリアリティがなかったかもしれないけど、2017年の「未来」を生きる私たちからすると、痛々しいほど現実味を感じてしまいます。時代が進む毎に、人と人との関わりが薄くなっていく。そして、文明の利器に頼りすぎた人々は、同じ種族なのにお互いを信頼出来なくなってしまう。
初代メトロン星人はタバコに宇宙ケシと呼ばれる物質を混ぜ込むことで、人間同士をぶつかり合わせ、人類を絶滅させることを目論みました。初代メトロン星人は主人公の「モロボシ・ダン」とアパートでちゃぶ台を挟んで対談するシーンがあまりにも有名だけど、物語の本質はそこじゃない。
「ウルトラマンマックス」ではアイスラッガーで倒されてしまった初代が縫合手術を受けて復活します。ですが、携帯電話を用いた地球侵略をする素振りは見せますが、ウルトラマンマックスと戦うことすらなく、地球を去ってしまいます。
そして、最新作の「ウルトラマンオーブ」の第22話「地図にないカフェ」では当の「メトロン星人」こそ登場しませんが、今まで当たり前のように行われた「地球侵略」が否定される、ウルトラシリーズの歴史を顧みると、とても革新的な回です。
この三つの回に共通するのは、「人間のあり方」を問いかける回であるということ。ここでまず考えなければならないのは、「侵略の価値がある星」とはどういうことなのかです。
ダイヤモンドのような貴重な鉱石が沢山埋蔵されている、豊かな自然に恵まれている、敵対する他の惑星を攻撃するためには最適な星である...などなど。
我々に一番身近なのは「豊かな自然に恵まれている」ということでしょうか。自然を資源に例えると、人類は自らその大切な資源を破壊してしまっているのです。この星で文明を繁栄させるということは、自然の力を借りることが必要不可欠なので、良いか悪いかは一概に判断することは出来ません。しかし、人類は(ある程度)理由が説明出来る自らの繁栄のためだけではなく、同種族との戦争でも自然を大量に破壊してきました。ベトナム戦争や広島や長崎に投下された原子爆弾はその象徴といっても良いでしょう。つまり、メトロン星人のような宇宙人からすると、人類は「自らの資源を破壊する野蛮な種族」と捉えられるわけです。
他の作品でも「地球の美しさ」を守る目的で地球を襲撃した侵略者は多く存在しますが、長くなってしまうので、ここでの言及は避けますね。
「美しい星」や「資源ある星」だけではなくて、真の意味での魅力ある星ってなんだろう。現状の地球はどうなんだろう。まずは「現状」について考えてみることが重要なんじゃないかと思いました。立ち止まっているだけではダメ。突き進んでいるだけでもダメ。この星をもっと魅力あるものにするためにはどうすればいいのだろうか。以前にも書きましたが、フィクションの世界で議論しているだけではなく、現実世界でも活かしていかなければ意味がないと思います。メトロン星人のような宇宙人がいるか、いないかは全くわかりませんが、もしいるとしたら、ちゃんと地球の魅力を彼らにちゃんと伝えられるような星にしていかなくちゃ。「見られているからやる」ではなくて、「見ていなくてもやる」のが大切ですよね。(こんなことを言ってる自分でも難しいことですが...)
メトロン星人の回を自分なりに解釈して、感じたことを書き連ねてみました。自分なりにテーマを決めてから観ると、また違った魅力を感じられますね。好きだからこそ、そこに留まっているだけじゃなく、また新しい観点から作品を観る。文章を書いていて、とても面白かったです。
以上!




