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オモイ  作者: 塩じゃけ
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3/7

3

 視界の端を赤い糸がちらつく。

 それはアッちゃんの小指から伸びていた。

 小指とは反対の先は風になびく旗のように、うにょうにょと忙しなく動いている。


 これがボクの憂鬱の原因。


 しかし、赤いソレはまだ可愛いものである。


 ボクが今さっき入ってきたドアから、ミーちゃんがひょこっと顔を出した。


「あ! アッちゃんおはよう!」


 その仕草は、森に住む小さくて可愛い動物を連想させる。


「おはよう、ミー。朝から何の用だよ」


 そういうアッちゃんの頬が少し赤らんでいる。

 そうなのだ。アッちゃんはミーちゃんのことが好きなのだ。

 ボクたちが小さい頃から、アッちゃんはミーちゃんが好きだった。

 ボクからすると、アッちゃんの好意はとてもあからさまなのだが、ミーちゃんは気付いてないらしい。

 アッちゃん残念。


「残念でしたー。私が用があるのはアッちゃんじゃなくて、ヨウちゃんですー!」


 そう言うや否や、ミーちゃんはボクの手をガシッと掴んだ。

 その小さくて可愛い手からも、アッちゃんのと同じような赤い糸が伸びている。

 そして、その反対の先と言えばーーアッちゃんの糸と戯れていた。


 近づいたり、離れたり。

 しかし、決して触れたりはしない。

 それは正に、お互いを気遣い合う、恋人のようで……。


 そう、二人は互いに片思いをしあっているーー所謂、両片思いなのだ。


 ボクはかれこれ十年ほど、この二人の恋を見守り続けている。

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