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視界の端を赤い糸がちらつく。
それはアッちゃんの小指から伸びていた。
小指とは反対の先は風になびく旗のように、うにょうにょと忙しなく動いている。
これがボクの憂鬱の原因。
しかし、赤いソレはまだ可愛いものである。
ボクが今さっき入ってきたドアから、ミーちゃんがひょこっと顔を出した。
「あ! アッちゃんおはよう!」
その仕草は、森に住む小さくて可愛い動物を連想させる。
「おはよう、ミー。朝から何の用だよ」
そういうアッちゃんの頬が少し赤らんでいる。
そうなのだ。アッちゃんはミーちゃんのことが好きなのだ。
ボクたちが小さい頃から、アッちゃんはミーちゃんが好きだった。
ボクからすると、アッちゃんの好意はとてもあからさまなのだが、ミーちゃんは気付いてないらしい。
アッちゃん残念。
「残念でしたー。私が用があるのはアッちゃんじゃなくて、ヨウちゃんですー!」
そう言うや否や、ミーちゃんはボクの手をガシッと掴んだ。
その小さくて可愛い手からも、アッちゃんのと同じような赤い糸が伸びている。
そして、その反対の先と言えばーーアッちゃんの糸と戯れていた。
近づいたり、離れたり。
しかし、決して触れたりはしない。
それは正に、お互いを気遣い合う、恋人のようで……。
そう、二人は互いに片思いをしあっているーー所謂、両片思いなのだ。
ボクはかれこれ十年ほど、この二人の恋を見守り続けている。




