トニーの秘密②
「パパ〜〜〜!?!?」
メアリーとフランが一斉に叫ぶ。
「え!?どういうこと!?トニーって結婚してたの!?」
「トニーさん!子供がいるならいるって言ってくださいよ!!」
子供は、トニーの腕の中でさっきより強い力でしがみき、『パパ、パパ』と助けを求め出した。
トニーは二人に静かにするよう促し、
「ちゃんと説明するから…」
とその時、酒場の戸が開き男が入ってきた。
巨漢で長い金髪、立派な髭をたくわえており、
胸には保安官バッジが光っている。
それを見るとトニーは立ち上がり、男に近づいた。
男は子供を見てハハハと豪快に笑う。
「ここにいたのか!
すいません、すぐどこかに行くんですよ!この子!」
「大丈夫ですよ」
と微笑みながら子供を渡す。
子供はニコニコしながらその男に抱っこされ、機嫌よく手を振っている。
何もなかったかのように席に戻るトニー。
「え?ただの人違いってこと??」
「まあ…でもさっきのゴツい男は俺の父親。」
「え?待って待って!全然理解出来ない!
他人行儀だったよね!?」
トニーは子供の頃のことを話し出した。
トニーの父親は保安官であり、街の中でも絶大な信頼を得ていた。父親の姿を見ていて自分も保安官を志したと。
「…なんかいきなり近所の女と駆け落ちしたんだ。
どこに行ったか誰もわからなかった。」
ふうと息を吐く。
「ずっとわからなかったんだけど、数年前に保安官の手伝いでこの街に来た時に親父を見かけてさ、、
話しかけようとしたら、奥さんと子供達がいて話しかけれなかった。」
そして続ける。
「だから、さっきの子は俺の腹違いの弟。
何年か前もそうだったけど、俺のこと気づいてないんだよね。
…まあ親父が出てった時、だいぶ小さかったし。」
「そっか…じゃあお母さんは相当ショックだったんじゃ…」
心配そうにメアリーが口を開く。
「いやあ、それがそうでもなくて。
親父が出てった後、近場で男できたからそいつと結婚して子供も産まれたよ。
新しい男の人も俺に優しかったけど、なんか勝手に自分だけ孤独感じてさ…」
少し寂しそうに、
「自分の居場所がわからなかった」
と苦笑した。
「今は?」
メアリーが優しい目で見ている。
フランも笑顔で口を開く。
「ありますよね?居場所。」
トニーは何も答えなかったが、
メアリーには喜んでいるように見えた。




