日常④【トニー】
フランが言うことは正論で、後ろめたいことしかない俺は何も言えなかった。
胸ぐらを掴んでいる力から、小柄な割に力が強いことが伝わってくる。
何か言わねばと口を開こうとした時、
メアリーがフランの背にそっと触れた。
「私は、大丈夫だから。心配してくれて、ありがとう」
なだめるためか、言葉を一つ一つ置いていくような話し方だった。
その言葉で、睨んでいるフランの瞳から怒りがふっと消え、俺を突き飛ばしメアリーの元へ飛んで行った。
メアリーの全身を前から後ろからと、くまなく観察し傷口もどうなっているかと包帯を外して見ていた。
メアリーは嫌がる事なく、それに穏やかに対応している。
全て見終えると安心したようで、
ブツブツ文句を言いながら、仕事があるからと不機嫌に部屋を出て行った。
俺の前を通り過ぎる時に溜め息をするのを忘れずに。
「悪いことをしたな…」
「フランはいつも心配性だから…
でももう大丈夫よ。落ち着いたみたいだったし。」
「仕事仕事って、情報屋も大変だな。」
「え?」
不思議そうに見上げるメアリー。
「ぁあそっか!言ってなかったっけ、フランの仕事。」
と一人で納得し頷きだした。
「情報屋じゃないのか??」
首を軽く振る。
「殺し屋よ?」




