先住民③
少女に連れて行かれたのは先住民の居住地だった。
居住地では誰も仮面をしておらず、それまで仮面を付いた先住民たちも次々に仮面を外し出した。
辺りは暗くなり、藁で作った家の周りには火が焚かれている。
一番奥にある狭そうな藁の小屋に通された。
少女は言葉がわかるため、見張りとして監視するようで一緒に小屋へ入ってきた。
他に見張りはいない。
『ここはちいさいむら。にげたらすぐにわかる。にげたらすぐころす』
少女も仮面を外した。まだあどけなさが残っており、12〜13歳くらいに見える。
メアリーは口を開いた。
「私たちの前に来た人達がいたと思うんだけど…」
『ころした。いきなりこうげきしてきた。じゅうでうってきた』
突然先住民達に囲まれてパニックになったのかもしれないし、見ただけで敵と見なして攻撃したのかもしれない。
また、この少女の話自体が嘘の可能性もある。
真実はわからない。
「そうか…それはすまなかった」
そして、続ける。
「どうして君は言葉がわかるの?」
『わたし、もっとちいさいころに、ここのひとたちにひろわれた。おやは、わたしをおいてにげた』
無表情で話し出す。
『あなたたちとおなじ。ここでは、このことば、つかわないから、かんたんなことばしかわからない』
その時、小屋の戸が開き赤ん坊を抱えた若い母親が入ってきた。
少女と何やら話しているがやはり理解できない。
母親は必死に何かを訴えたが、少女にたしなめられそのまま座り込んだ。
赤ん坊はぐったりしている様子。泣く力もないのだ。
「その人たちは?」
メアリーは思わず声をかけた。
少女は悲しい目で赤ん坊を見下ろし、
『あかちゃんもうすぐしぬ』
とぽつりとつぶやいた。
『びょうき、うつるからここで。みんなとはなれる。
おまえたちは、しんでいいからここにつれてきた』
メアリーは何かに気づき、縛られたまま立ち上がった。
「ちょっと縄をほどいてくれ!」
『できない!!』
声を荒げる少女。
「その子を治すことができるかもしれない!!早く!!」
躊躇う少女。
突然の出来事に驚き、涙目で赤ん坊を抱きしめる母親。
「もしあたしが変な行動をしたらそこのナイフで殺せ!」
少女の足元には血の付いたナイフが置かれていた。




