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黒幕 葛原

「僕です」

「凄い、システムはこうですか?」

亮はノートにシステムを描き始めた。

「そうです、半径3m圏内のICカードを読み込んで

 残高をチェックして希望の金額を取ることができるんです」

「あの小型で半径3m!スキャナーをあんなに

小型化してしまうなんて

 国城さんあなたは天才です」

亮は国城をおだてた。


「ありがとうございます」

亮に褒められ国城はニコニコと笑った。

「全て僕がやりました、逮捕してください」

国城が立ち上がって亮に頭を下げた。

「いえいえ、それは無いでしょう。

ICカードはスキャニングしただけでは

 お金になりません。あなたの後ろには誰かいるはずです」


「そ、それは・・・」

国城は口を閉ざした。

「それにスキャナーは何処にあります?」

「捨てました」

「分かりました。今は話ができないと言うことですね」

亮はそう言って国城の目を見つめると国城の目の奥が

何かを語っているようにみえた。

「はい」

国城は何かを恐れているように思えた。


「では自分で出来る範囲の中で取調官に正直に話して

 その後弁護士に相談してください」

「はい」

亮は、後は下田と根本に任せるつもりで立ち上がろうとした。

「あのう、また会えますか?」

国城は恥ずかしそうに亮に聞いた。


「もちろん、君が反省して更生したら

何か楽しい話をしましょう。

これでも頼れる男ですから」

「そうですね。ありがとうございます」

国城は深々と頭を下げた。


亮が取調室を出ると下田に言った。

「自分の罪は自供しました、

ただ共犯の名前は言えないそうです」

「分かりました」

下田は亮と目も合わせず憮然と返事をした。


亮は美咲に国城の自供の内容を話した。

「亮、ありがとう。これで警視庁も危機感を

感じるはずよ。未成年だからあまりきつい

取り調べができないから共犯は追々」


「まだ、19歳の少年が到底一人で出来る犯罪じゃなりません。

はっきりしていませんが共犯を僕が必ず見つけ出します」

亮は強くはっきりと返事をしていた。

「目処がついているの?」

「ええまあ。システムに強いIT企業、ICマネーを

扱うクレジット会社もどこかで絡んでいるかもしれません」

亮は美咲に対してまだ知念修の名前を上げなかった。


「じゃあ、お願いします」

美咲は自分が口出しするより亮に任せたほうが

早いと思った。


~~~~~

亮はハイツ山都101号室の鍵をジュディから預かり

早苗に知念の監視をするように頼んで銀座の事務所に出勤した。

「みなさん、朝早くからご苦労様でした」

事務所にいるマギーと玲奈と一恵と麻実と雪に礼を言った。


「亮、私はどうしましょうか?」

「雪さんはこのまま渋谷区代々木1丁目52の

ハイツ山都の入口を監視してください。

美咲さんに伝えておきます」

「分かりました」

雪は直ぐに監視衛星の座標をインプットした。


「ねえ、アパートとマンションとハイツと

コーポとメゾンとレジデンスどう違う?」


「アパートはアパートメントの略とコーポはコーポラスの略で

木造や鉄筋の集合住宅、ハイツは高台や山の手の家、

マンション元々邸宅という意味で高級集合住宅、

メゾンはフランス語で家という意味、

レジデンスは家の事で日本では高級分譲マンションを意味している、

最近ではイタリア語のパラッツォという呼び名を

使うところがありますけど宮廷という意味で

イタリアのジェノバの大金持ちが作った家です」


亮は不思議な顔をして聞く麻実に答えた。

「アパートとコーポはどっちが上?」

「昔ジョンレノンが住んでいたダコタ・ハウスは

アパートと呼ばれていたから」

「なるほど・・・」

麻実は腕を組んで頷いた。


「それがどう関係あるの?」

マギーが首を傾げた。


「おはよう」

森が亮の部屋に入ってきた。

「昨日はお疲れ様でした」

「報告がある」

森が真剣な顔をして話した。

「はい」

亮と森は向かい合って椅子に座った。


「昨日、塩見と宮部はクラブ蝶を出た後

 ママと美也子さんを連れてあの

高級寿司屋長兵衛に行きやがった」

「森さんは?」

「もちろん俺も中に入ったさ、それがおまかせ寿司を食って

 ビールをチビリチビリ飲んだだけで2万円もとられた」

「あはは、あそこは高いですからね」


「ああ、塩見たちの会計を聞いて驚いたね。四人で10万円だと」

「それでどうなったんですか?」

「ああ、そうだった、二人がうまく聞き出してくれた話しによると

 塩見の右腕の菊池という男が行方不明なんだそうだ、

 実行部隊のリーダーだったそうだ。それで宮部が後を継いだので

 昨日お祝いで飲んだそうだ」


「実行部隊のリーダーの男が事件に巻き込まれたとなると

 敵対関係の組織でしょうか?」

「俺も経験上そう思っている。

今頃菊池のマンションに宮部が行っているはずだ」

「まさか部屋で死んでいるなんてありませんよね。

それこそ大騒ぎになります」


亮は密かに塩見の組織がバラバラになるのを期待した。

「ああ、事件が有った俺のところへ

連絡が来るようになっている」

亮は何かを言いたそうにしていると森が笑って答えた。

森がハイツ山都にいる早苗のところへ向かうと

亮は友子に電話を掛けた。


「友子さん、最近株価の上がっている会社を調べてもらえますか。

 特に株式会社ピーエヌエーは詳しくお願いします」

「了解しました。5分時間をください」

「はい、僕が降りていきます」

亮は10分後に中村和美と一緒に6階のプラネット証券に

降りていった。


「亮、株価が大幅に上がっているのは

株式会社ピーエヌエーだけでした。

 創業5年の今年3月に上場、業務内容は

ネットゲームとSNSの運営そして

 コンピュータープログラムの制作、

他社と違うのは自社でゲームの

制作部を持っています。上場直後に

発売したゲームにバグが出て

数百億円損失して株価が下がっていましたが

3ヶ月前から徐々に株価上がってきて

1ヶ月前から株価が急上昇しています。


社長は大学時代から有名なゲームディレクターの葛原圭介32歳、独身」

「なるほど、1ヶ月前から株価が上がってきた理由がわかりますか?」

「まずスマートフォンのセキュリティソフトの無料配布、

 小型ICカードスキャン機、万引き防止システムの

発表を2日後に発表する理由かと思います」


「万引き防止システム!」

亮は声をあげた。

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