21 急落
※すみません。短い話になります。
ヤーロイ指揮する救出部隊壊滅の一報は、その翌日には市街に拡がっていた。
住人たちの多くは彼らの死を悲しんだ。一人でも多くの人が帰還できるようにと、それぞれが信じる神に祈る。
人間の力では太刀打ち出来ない魔物だったのだと人々は諦めた。
命を懸けて住人たちの救出に向かった隊員を兵士をライセンス持ちを、市井の人々は、まごうことなき英雄であると称え涙した。
六日後……町は大きく揺れる。
本来であれば、それは事件ではなく朗報であった。
人々が悲しみに暮れる中、もう一つの救出部隊が戻って来たのだ。
しかも、死者はたったの一人。歩くのがやっとな老人だったという。
シュフタールから命からがらに帰還したライセンス持ちは、こう言った。〝十八匹の黒い木の巨人に俺たちは蹂躙された〟と、それに対して、もう一つの救出部隊に救われた村人たちは、熱に侵され英雄譚でも語るように興奮して叫んだ〝たった三人で黒い木の巨人を五十、いや六十匹は倒したんだ。本当に凄かった。彼らこそ本物の英雄である〟と……。
市街の話題は、新しい噂に上書きされた――。
元々救出部隊の割り当てが逆だったという話はすでに知られていたのだが、自分たちの地位を盤石にするために、無理矢理担当を逆にした者がいたと囁かれるようになったのだ。
もし、担当がそのままであったら二千人の住人は助かっていたかもしれない。
実際村の住人を救った英雄たちは、シュフタールに現れた倍以上の魔物を倒して無事帰還してみせたのだ。
その噂には十分な説得力がある。
こんな噂も流れた――。
八司教のヘーゼル様とガリウス様が自分の息子の出世のために、今回の陰謀を仕組んだのだ。と、ますます市街の人々は怒りを募らせる。
首都エラトニアには、先にシュフタールから脱出した人々が多く身を寄せていた。彼らの多くが声を上げる〝私たちの家族は殺されたのだ。お前たちの欲の犠牲になったのだ〟と、ヘーゼルとガリウスの屋敷の前に集まり大声で叫んだ。
シュフタールに向かった救出部隊の隊員とその家族の名前が彫られた石碑も、この騒動を大きくする要因となった。
彼らの家には石が投げ込まれ、外に出れば誹謗中傷の的にされた。
迷宮の魔物に挑むために一致団結しなくてはならない時に、住人たちの心は見事にバラバラになってしまった。
今回の事態を重く見た大司教は、八司教と今回の一件に関りの深い。聖地管理委員会委員長フェランと、副委員長クアリスを呼び対策を講じる。
翌日――。
住民たちが集まる中央広場で、ヘーゼルとガリウス、八司教の二人の退陣が発表された。
壇上に上がり、最後の挨拶に望んだヘーゼルとカリウスに、人々は罵声や野次を浴びせかける。
聖地管理委員会も解体となった。聖地管理委員会所属の隊員の多くは、一兵卒として軍への移動を命じられた。エリートから一気に転げ落ちたのだ。




