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最強格闘家になろうシリーズ  作者: カカカカカ
第二部「喧嘩凸板最強最大トーナメント編」
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第四十五話 「涙!!!友情のクラスボンバー!!!」

医務室には三人の男がいた。

ベッドに横たわる矢吹晴男、床に転がる本郷太郎、そして本郷を殴り飛ばした原龍徳。


原が無理やり本郷太郎を立ち上がらせようと本郷の肩を掴んだする。

「オラ、立てよ、まだ終わってねえぞ」

本郷太郎が牙を向いた。

その頬は裂け、白い歯は露出し、原の顔面に噛みつかんと狂気の刃を向けた。

次の瞬間、本郷の視界はグニャグニャに揺れていた。地面が近づいてくる。脳震盪を起こしていたのだ。

そして、地面に身体がついた時、ようやく、下顎に痛みが走った。

本郷が原に噛みつかんと牙を立てた瞬間、その下顎をベッドから起き上がった矢吹晴男の拳が撃ち抜いたのだった。

「俺もいること忘れちゃダメでしょ」晴男が呟く。


突っ伏す本郷の後頭部を原がサッカーボールキックで蹴り飛ばす。

本郷は身体ごと吹っ飛び、何度も床を転がった。


地面に這いつくばる本郷の左右に晴男と原は立った。


「なんでコイツが医務室に来るって分かったんだ?」

原が晴男に聞く。

「ほとんど無傷の男が俺が準決勝で負けた途端、『戦う意味がなくなった』って言って棄権したんだぜ。その時点で俺に用があると思うのが普通だろ」


「まぁ、言われてみりゃその通りだわな」


「で、トイレでのされてるアンタを誘ったわけだ」


「うるせえ」


よろよろと本郷太郎は立ち上がった。

「お前ら…二人がかりでなんて卑怯だぞ」


「寝込み襲おうとしてた奴には言われたくねえよ」

原が言う。

「本郷よ…これは『昨日の敵は今日の友、友情激闘拳』と言う俺の持つ100の奥義の一つだ」



そう晴男が言うと、原と晴男は左右から本郷に向かって駆け出した。


二人同時に左右から本郷の首に向かってラリアットをぶちかます。

これが世に言う「クロスボンバー」である。


薄れ行く意識の中、本郷は思い出していた。

高校生の頃、あの男は我山太一は本郷の前に現れた。

我山は人生で初めて自分を認めてくれた人だ。乂門に入らないか?とスカウトしてくれた。

俺の才能に気づいてくれた。

大切な人だった。この大切な人の為に戦い勝つのが本郷太郎のプライドであった。

だから、これまで我山が言ったことは全て実現させてきた。今回のような暗殺任務も一度や二度ではない。何人も何人も殺めてきた。

その屍の上に立った時、本郷太郎が得た物は虚しさであった。


すいません…我山さん…倒れます…俺は矢吹晴男に負けました…


本郷が膝から崩れ落ちていく、もう倒れる。

ようやく楽になれる。我山さんに捨てられるだろうか?あの人はいらなくなった物は人だろうが容赦ないからな。

そう思うと笑えてきた。

本郷太郎の体は床へと倒れ込んで行った。


それを晴男は抱きしめ、胸で受け止めた。


「本郷…お前にどんな過去があったのか俺には知らないし、知りたくもない。でも、お前のことをまだ必要としている人たちがいるんじゃないか?お前はまだやり直せるんだよ!!!」


晴男の声は優しかった。

本郷は訳も分からず涙が出そうになった。

もしも我山ではなく、この男と先に出会っていたならば…


「ほら、狂育(きょういく)委員会の加賀七明さんと弟子の吉岡清一郎さんだ」


晴男がそう言う。見れば、医務室の出入り口には二人の男が立っていた。

一人は血塗れの老人、もう一人はリアルウイグル監獄長の様な筋肉隆々の男。

二人とも異様な、まさに狂気としか言えない笑みを浮かべている。


「クソガキが…さっきはよくもやってくれたな…」

加賀七明が口の端を吊り上げてニタニタと笑いながら言う。その口元からは抜け落ちた歯と唾液が溢れていた。


「とんだ問題児だな…俺の愛で救ってやらないと…」

吉岡もまたニタリニタリと笑い出す。


「先生方、お願いします」

そう言うと、本郷の身体を晴男は引きずり、2人へと受け渡した。


本郷は叫びたかったが、ダメージが大きく叫び声が出ない。

やめろ、やめてくれ、俺を狂人2人に渡さないでくれ!!!

本郷は身体をよじり最後の抵抗を見せる。


「先生、この子身体中を動かしてよっぽど授業が楽しみなんでしょうね」

吉岡が言う。

「…大事に育てような」

加賀七明がそう言うと、吉岡は本郷の首根っこを掴んで運んで行ってしまった。

その後ろを加賀七明がついていく。


「本郷にも大事な人ができればいいんだけどな」


晴男はまるで親鳥が雛を見守るように優しい目で通路を歩いていく三人を見送った。



三位決定戦!!!勝者!!!矢吹晴男!!!

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