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ナイトメア ~白銀の契約~  作者: 仲仁へび
※おまけ イフエピソード3
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IF4 水菜に任せる?




 全方位から押し寄せるナイトメアを見た俺は、瞳お嬢ちゃんを水菜に任せる事にした。


「水菜!」


 声を掛けた俺は、彼女の背後に忍び寄る枯谷の姿に気付いた。

 俺の中の研究者のイメージをちょっと蹴倒しる事に、奴はそこそこ身体能力が高い。

 逃げる時も、俺達が来る前にさっさと家からいなくなってたからな。


「後ろだ!」


 水菜は振りかえって、枯れ谷から距離をとった。


 それを見た枯谷が残念そうな顔になる。


「あら、気づかれちゃったわね。でも、そんなに警戒されるのは悲しいわ。お母さんがあなたに危害を加えるとでも思ったの?」


 いけしゃあしゃあとそんな事をほざく枯谷の言葉を、水菜の耳に入れてしまった事が悔やまれる。


「「どの口が(だよ)!!」」


 理沙と俺の言葉がかぶった。

 今回ばかりはまったく理沙に同意だぜ。


 水菜の両親は未踏鳥といい、どうしてこう人間の屑って感じの奴ばっかりなんだよ。

 いや、理沙の親も聞いた話によると、屑だったな。


 枯谷は何が面白いのか、水菜を見ながら話を続ける。


 とにかくこの場から逃げないと。


「理沙、おこちゃまを頼む」

「分かってるわ」


 瞳お嬢ちゃんのフォローは任せて、俺は水菜と共にこの場から逃走。


 近藤さんナビの力を借りて、洞窟に逃げ込んだ。


 何とか逃げ切ったけど、水菜はいつもより表情が沈んでいるように見える。


 これからの事を考えていたら、水菜が小さく言葉を発する。


「少しだけ覚えている事があるの」

「え?」

「ぼんやりとした記憶なのだけれど、赤ん坊の頃に誰かが私の額にキスをしてくれた。それは今まで私の両親だと思っていた……」


 水菜がこういうことを言うのは珍しい。

 自分で自分の感情を持て余しているのだろう。


 見た物を、聞いた物をどうやって消化すれば良いのか分からない。

 人の気持ちなんて、絶対分かるとは言えないけどな、俺にはそんな気がする。


 何をどうやって言えば良いのか分からないし、へたな慰めをしたら逆効果になる。

 だから、俺は自分の事だけを言う。


「水菜ってひょっとしてキス魔だったりする?」

「……」


 あ、ちょっと怒った。


 無表情だけど、眉がぴくっとした気がする。

 ちょっと口元がむっとしてる気がする。


「いや、えっと出会った頃の事を思い出しちまって。あれはご両親のご影響なのかな、とか考えちまってさ」

「……影響されている事は百パーセント否定できない」


 そんなに怒んないで!

 俺の繊細なハートは破裂寸前よ!


「どんな理由があったとしても俺はあの、その、ちょっと嬉しかったけどな。あ、ごめん今のなしで! き、気持ち悪いとか言わないで! そんな目で見たら死ぬ!」


 俺のメンタルが!


 わたわたしながら狼狽えていたら、水菜がほほ笑んだ。


「ありがとう。元気づけてくれて」


 お、おう。

 俺お気持ち伝わったっぽい?


 誤爆しかけたけど。


 水菜のためにも、枯谷はきっちりとっつかまえてやんないとな。


 そう言った傍から、足音が聞こえてきた。


 どうやら追いついてきたようだ。


 休憩時間終わりだな。


 生き埋めにならないように地の利を生かして移動しつつ、なんとか勝てる方法探さねーと。



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