繁栄と再会、そして憎しみ
間を開けてしまいすみません。
少し忙しく、また、誘惑も多く、ここまで戻ってくるのに時間がかかりました。
待たせてしまい、本当にすみません。
これからは定期的に、また不定期にも頻度高く更新できるようにします。
また、心配してポイントをつけたのか、増やしてくれた方、ご心配おかけしました。
元にもどしても大丈夫ですよ。
救世主候補達を残した世界に戻ってくると、多少整地した破滅した世界は、破滅したはずなのにかなり繁栄したかのように自然が広がり、心地いい位の重力具合、過ごしやすい温度で、破滅なんて跡形もなくなくなっていた。
少し設定を間違えたか、過ぎる時間が長すぎて十数人の救世主が繁栄して文明を築いてしまったようだ。
まあ、救世主の世界、とすれば他の世界達のパワーバランスが崩れなくていいか。
探知を使うと、明らかに生命の反応が増えていて、しかも予定より強くなっている、嬉しい誤算か?
飛んで行ってみよう。
そう思った所、逆にこちらに転移して来る何者かの気配を感じた。
誰だ? 全員私がこの世界を出た時より強くなっているから誰が来てもいいが。
いや、その誰かの子孫か何かが来るかもしれないか。
ちなみに私が入って来た時点で世界の時間の流れは元に戻した。
ぬるりと空間が滑り落ちて、溶ける氷を逆再生するかのように空中に何者かの姿が現れる。
「グァットジーイル! 覚悟!」
美しい肌の白い少女が躍りかかって来た、見覚えがある、ポリーエだ。
結局こいつとの因縁がさっぱりわからなかったが、そうだ、いいことを思いついた。
この世界が私から自立するのには私がこの世界群の中で殺されたと思わせる事が大切だ。
世界の破滅の原因の場所さえ分かっていれば私はもう必要ないのだから。
向かってくるポリーエの力を測れば、もう十分力をつけている事はすぐにわかった。
「空間よねじれ、縮み、固まれ、我、詠唱す」
とはいえここでやられるワケではない、他の救世主達と合流して、そこで私が死ななければ意味がないのだ。
少し時間を稼いで他の者達が来るのを待とう。
詠唱するとポリーエはその周りの景色と共に像を歪ませ、足先からどこかに吸い込まれるように消えていく、実際は肉眼では見えない位に小さくなったのだが。
ビリゥヴァから取り出した小人用ビンを空中に放り投げると、ビンに施された術式が光ってふたが開き、空中をしばらく飛び交った後、ぽん、と音を立てて閉まった。
これはある小人の世界で私と世界の技術者が協力して完成させた犯罪者捕獲用のビンだ。
捕まれば最後、特定のキーワードを含む魔法を撃ちこまなければほとんど壊れる事は無い頑丈さをほこり、また、中に入った生物を最低限生かす術式により、犯罪者を安全に運ぶことが出来る。
普通に拘束してもよかったが、私を憎んでいるのだから宿敵に無様な姿を見られることも屈辱であろう。
こうして思念で会話すれば少なくとも姿を見られない。
『どこに行ったグァットジーイル! 出てきなさい!』
小さくなった事で私を見失ったポリーエの思念を聞き、私は思念を送り返す。
『お前は何故私を憎む』
『!? どこから? 先程まで目の前にいたのに! 何をしたの!?』
『お前を小さくした、ついでにビンに入れた、出たければ質問に答えろ』
『なっ何い? いつの間に、そこまでの力を持っていながら何で世界を破滅から救わない!?』
『私の質問に答えろ』
今回の破滅は私の手では負えないというのを足一本と引き換えに見せたつもりだったが、そういえば救世主候補共にはこの足の説明をしていなかったな。
とりあえず生命の反応が多い場所へ、こちらの存在が分かるように力を放出する。
これで向こうの何人かが私の存在に気付くだろう。
『……わかった、わかったからここからだしてよ、答えるから』
『そう言っておいてまた攻撃してくる、とかではないだろうな?お前も大分力をつけたようだし私ではもう勝てないからな』
『ちっ、白々しい、こんな姿にしておいてよく言えるわ、嫌味?』
『違う、ただ隙を見えて運が良かっただけだ、お前は私への恨みで猛進してくるからな』
『どうだか』
まあ嘘だが、ポリーエの疑いを何とか晴らす方法を考えておかないといけないな。
あるいはうやむやにしたまま消えるか。
とにかく今はポリーエの憎しみの理由を聞くとするか。
本当に記憶を洗っても何も出てこないので、知らずの内に何かをしたか、ポリーエはこの世界達のどこかの住人であるから、何度かの救世の間に私が使った力で、住んでいた世界に悪い影響を及ぼしてしまったか?
そんな有害な力を使った覚えはほとんどない。
あるのは、世界の生物すらも不純物だと断じ、真っ白で何もない世界に作り替える概念、スクリーナ、に対して不純な概念を強制的に融合させて中和させた時か。
ビンを逆さまにしてフタを開け、中のポリーエの収縮を解く。
解いた瞬間からポリーエはすぐに元に戻り始めたので、ビンをビリゥヴァに入れて元に戻るまで待った。
「はっ! でかっ! いや普通か」
身体が元に戻っていくにつれて私の姿を認識したポリーエは自分の身体に異常がないか目を走らせた後、改めて私をにらむ目をして見上げた。
微妙に大きさが戻りきっていないが誤差だし、本人が気づいていないので後でこっそり戻しておこう。
「改めて久しぶりだな」
「久しぶりってどころじゃない、どれくらい空けてたのよ、待ちに待って憎しみに身を焼かれて何度か死にかけた、この責任はどう償ってもらおうか」
さて、私はポリーエに何をしてしまったのやら。




