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私の平穏の日々と騒々しい世界たち  作者: ガゼルにしむりゃ
組織に追われる異様者達
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見えてきた目的地と予感、そして送り出す

 下層世界群の中を飛んでいく、追手は特に来ていないようで、辺りを探知しても待ち伏せの気配もない。

 下っ端二人が逃げ出した程度でそんなに熱心に捜索をするワケがないか。

 それともこの二人の目的を知ったうえで、その目的が達成される事は無い、と思っているのだろうか。

 だとすると世界の中には何かしらの罠が仕掛けられているのかもしれないな。

 それぞれの世界の入り口から漏れる光だったり、未知のエネルギーだったり、瘴気から二人を守るための障壁は先程烙印を消すときに一緒にかけておいた。

 その時に体を調べてみたが特に他に烙印が刻まれているという事は無かったので。二人を抹消する術はほとんどないと言っていいだろう。

「ガゼルさん、もうすぐです、あの暗い世界の裏側です」

 モーピォンォが指さす世界の裏に探知を向けてみると確かにその世界の座標に重なるように、もう一つの世界が隠れているという情報が帰って来た。

 世界を隠すなら世界の中、よく出来た隠蔽だな。

「よおし! もう少しでぶっ壊せるぜ、あたしに散々やった奴らに仕返しできる」

「それに、もうあの子達のようなひどい目に会う子がいなくなるんです」

 二人は見合って笑顔だった。

 しかし、ここまで見張りの一つも立てていないとは、それに世界の中を探知してみたが誰一人生命は確認できないし、外からの敵を迎撃するシステムは何一つない、あまりに無防備すぎて不自然だ。

 どころか、この世界はどうやって人を誘拐しているのか、さっぱりわからない。

 そんな装置が見当たらないのだ。

 怪しい、罠か?

「さあ! 入るぜ!」

 しかし、思考の暇なく、世界に辿り着いたクォリョとモーピォンォは世界の中に入ろうとする。

 隠蔽は近づくとあっさりと解け、重なった二つの世界の入り口の裂け目が見える、こんなずさんなモノで今までやってこられたのか?

 ガートルハンズはあまり名を知られていない組織だが、それでも世界管理官にマークされているはずだ。

 それなのにこんなにわかりやすい世界を重要な装置にするはずがない。

 確かに意識の盲点を突くような巧妙さはあるが、それだけで逃れられるとしたら私はソゥヲバーリュを経由して世界管理官に苦情を送ってやる。

「待て、この世界は明らかに怪しい、お前らは偽の情報をつかまされた可能性がある」

「はあ? んな事があるわけねえ、あたし達は万全を期したんだからな」

「そうですよ、大丈夫ですガゼルさん、わたしとクォリョはこの日の為に準備を重ねたんです、それが無駄になるなんてありえません」

 私の言葉に二人は振り向いてそんな事を言う。

 下っ端だと言って、組織からは何の力も貰っていないと話したのにその自信はどこから来るのか。

 目的が間近に迫って気がはやっているのだろうな。

「怖気づいたのかよ、聞いた話だとすげえ力を持ってるって聞いたけど、まあ所詮噂って事か?」

「違うが、まあいい、お前達がそういうなら私は止めない、探知によるとこの中には誰もいないし、なにも迎撃の術式や結界はないようだからな」

「何もない? 本当ですね? それなら何かされる前にとっととやっちゃいましょう」

 止めても聞く耳を持たなさそうだったので私は二人を行かせることにした。

 障壁はあるので死ぬ事は無いであろうし、仮にけがをしてもこいつらは目的を達成できればいいのだ。

 私がそれ以上深入りする必要はない。

 ガートルハンズが壊滅するほどの被害をこの一件で与えられれば運がよかったと思えばいいし、これが罠だったとしても私に何も害がない限りはこれ以降は放っておけばいい。

 私は親しい人間が守れれば問題はない。

 世界に入っていく二人の姿を見ながら私はそんな事を考えていた。

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