二人の経緯と組織からの攻撃、そしてまずやるべき事
「わたし達は……その……ガートルハンズという組織で働いていたのです」
「確か人を攫って売り払う組織だったか?」
ガートルハンズ、マリィコールズのように人を攫う組織だが、さらう対象は主に成人していない女性、または雌の幼獣を捕獲して洗脳して売りさばいたり、飼育したりする極秘組織、だとか、ソゥヲバーリュが自分がさらわれやしないか、とハラハラしていたが、そもそもヤツは見た目よりもかなり年を食っていると指摘したら通信がブチぎられた思い出がある。あの時は少しデリカシーにかけた言葉だったなと反省している。
それにしてもその組織で働いていたという事は、初希を人質にとって、私にそういう仕事を要求しようというワケか? いや、初希はああ見えて成人していているな。
「そうです、あっ! でも勘違いしないでください、わたし達はガートルハンズを抜けてここに来たんです」
「あんなクソみてえな組織なんていられねえもん! だからあたしたちはあの組織をぶっ壊すためにここに来たんだ、そこであんたの力を貸してほしいんだ!」
「そうです! あそこに捕まっている人たちのためにも協力してください!」
二人はそう言って頭を下げる。
その心に嘘はないように見え、また、とても必死なようでもある。
と、私はその瞬間にはるか遠くから放たれた一瞬の殺気を感知した。
「危ないな、解除」
「「ぬえっ!」」
拘束を解除し、二人を地面に落として私は三人を取り巻くように周りに障壁を張る。
探知詠唱を唱えると遠く世界の向こうから放たれた信号をいくつかとらえた。
おそらくはこちらに向かって来ているもののようだが私はビリゥヴァの中からガラス瓶を取り出して放り、
「流れを捕らえよ、それは光消えるモノ、我、詠唱す」
詠唱を一つ、唱えた途端に透明なガラスの瓶が震えて黒く染まり、少しするとその瓶ががたがたと震えて、黒く曇った中に極彩色の光を放ち始めた。
「それは……」
「信号を捕らえた、おそらくお前らを狙って放たれたものだろうな」
「ちっ! 奴らもう気づきやがったのか!?」
クォリョが顔をしかめて瓶をにらみつける、そうとう憎いようだ。
「信号が飛んで来た、という事はお前らの体には何かが仕掛けられているのか?」
「わたし達の体の……その……子宮の中に烙印が押されているんです」
「子宮に? 趣味が悪いな」
女性しかさらわないとは聞いていたが、しかもそんな所に印を刻むとは、なかなかな根性をしているな。
頭のおかしい奴らには散々あって来たのでこの位は慣れているが、気分が悪い。
しかもそれを世界を渡り歩いてはさらって来てやっているというのを考えると趣味も気味の悪い組織だな、それを壊滅させる、というなら協力しない判断はないな。
「いいだろう、私も協力する、何をすればいい?」
「えっ! ありがとうございます、ガゼルさん」
「意外と話が分かるヤツでよかったぜ、ちょろい? っていうのか?」
「こら! クォリョ! すいません、この子あの施設に少し精神をやられてて不安定なんです」
「いい、さっきからの態度でなんとなくわかる」
私が了承すると二人して明るい顔になる、希望に満ち溢れた顔をしているな。
私の力があれば安心だと思っているようだな、どこから伝わったのか、私はガートルハンズの事をあまり知らないが、向こうには名前が知れ渡っているのか、それともこいつらだけが知っていただけか。
まあ、とりあえず奴らを壊滅させてやろう、そのためにはまずやる事と言えば。
「それならまず烙印を消してやろう、お前ら、服を脱げ」
「「え? ええええええ!?」」
二人が叫びをあげるが、まあしょうがない、烙印でこちらの位置を把握しているかもしれないし、今のように一々攻撃を受けるのも面倒くさい。
ちなみに今飛んできた信号には、飛び散れ、という命令が込められていたので防いでいなかったら今頃こいつらは岩にぶら下がったまま線香花火のように命を散らした事だろう。
ただ、二人ともに難色を示しそうなので私は無声詠唱を唱える。
「あれ? なんだか急に体から力が抜けていきますよ?」
「な、なにが起こってやがるんだ?」
「お前らが嫌がっている時間がもったいないからやらせてもらうぞ」




