最後の仕事と解散、そして対面
すさまじいエネルギーが世界を埋め尽くすので私は世界から出た。あれに巻き込まれればいくら私でも無事では済まない。今も全く無事ではなく、少し巻き込まれてアノラゾがボロボロと崩れ出している。
視界が一瞬白く染まり、元の世界に戻って来た。
「ガゼル、よくやってくれたよ、感激だね、わたしの部下になってくれないかな?」
「断る」
「ちっ、なんっでだよ! いい雰囲気に乗じれば何とかなると思ったのに!!! はあぁ………」
ソゥヲバーリュが戻ってきた私に声をかけ、そして大きなため息を吐いた。
悪いが私は穏やかに暮らしていきたいのだ、世界管理官なんて忙しくてとてもやっていられない。
背後で電気が弾ける音と生物が地面を這いずる音とガラスが割れる音が混じった音が聞こえたので、後ろを見ると、ソゥヲバーリュが作った世界が崩壊していくのが分かった。
どんどん白い膜が収縮していき、やがて白い球体になったかと思うと、光の粒子を散らしながら飛び散る。
そして後には何も残らなかった。
「ソゥヲバーリュ、残りのエンドフォグはどうなった?」
「ああ、それは大丈夫に決まってる、さっき連絡が来て討伐完了したって、一応他に残っているのがいないか探させてから帰る」
「なら、私も探そう、それとありがとう、ソゥヲバーリュ、お前がいなければこの世界は無くなっていただろう、本当にありがとう、礼はまた今度しよう」
「お礼っていうなら部下になってほしいけど、まあそれは無理として、期待しないで待っているよ」
ソゥヲバーリュの言葉を聞いて私は安心して肩の荷が下りた気持ちになった、体の傷とか精神的な疲労はスタートボルテが通り過ぎた時にすっかり治っていたが、それでも緊張していたところはあった。
それに初希の事もある。これはエンドフォグの残りがいないか流した後にしっかりと決着をつけなければいけないだろう。その時には私の全てを明かそう。
私は探知の詠唱を使ってこの世界で最後の仕事を開始した。
・
衣類を正して私はドアをノックする。あの後探したが、この世界にもうエンドフォグは存在していないという結果が出て、解散となった。別れ際にソゥヲバーリュが私を強引に勧誘しようとして、部下に押さえつけられて連行されていくのも見た。
その後に服をいつものシャツとズボンを買って着がえてから来た。
ノックしたものの返事が中たのでドアノブをひねると鍵がかかっておらず、ドアは開く。
「ただいま、今、帰った」
「ん、おかえりなさい、ガゼル……」
決まり文句を言いながら入ると玄関に初希が座って待ち受けていた。
「大事な話があるの」
静かに、しかし覚悟した瞳で初希は私の顔を見上げる。
「私も大事な話がある、ここでするのはあまりよくないだろうから私の部屋に行こう」
「……うん、わかった」
初希は何故か一瞬びくっと身体を震わせるも、うなずいて立ち上がり、先に私の部屋に向って行った。
私もそれを見送った後、靴を脱ぎ、深く呼吸をして、気合を入れる。
どんな修羅場でも味わえないような緊張感を味わいながらも自分の部屋へと歩き出した。




