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怪物と正体不明、そして落下

 エンドフォグが組み込まれた事によってこの巨大な怪物は世界管理官の仕事の範囲に入ったワケだが、今ここにいる世界管理官だけではこの怪物に対処するのは難しそうだ。

 なら、詠唱を解放した私と、それに性格以外は有能なソゥヲバーリュでやるしかない。

 ソゥヲバーリュと二人ならやれるだろう。

 完全に私は海撃隊に存在を知られてしまうので、世界を出て逃げなければいけない事は確定だな。

 初希になんと伝えたらよいモノか、それともいっそ私に関しての記憶を消してしまった方がよいのだろうか。

 その処理は後で考えるとして、この怪物を処理するとしよう。

「やれるか?」

「やらなきゃいけないよ、めんどくさいけど」

 ソゥヲバーリュの方に問えばそう返ってくる。

 めんどくさいと言っている割にはやる気満々なようで、すぐに飛び出していく。

 私もその後に続いた。

 近くに行ってみると巨大さはいつぞやの巨人と同じかそれ以上はありそうだ、エンドフォグだから当たり前だが、世界を破壊して吸収するのでこれよりまだまだ大きくなる。

 世界によっては入りきれずに破裂するくらいなった事もあった。

 それにしても、私がいくら力を抑えていたからといってエンドフォグを見逃すなんて事があるのだろうか。

 過信しているわけではないし、慢心しているわけではないが、この世界全体にかけてかけた探知の術を破壊しかできないエンドフォグが抜けるとはとても思えないのだ。

 誰かがエンドフォグに細工するとかが無ければ。

 だとしたら誰だ? 一番ありうるとしたらマリィコールズか、他にもいくつか思い浮かぶが、特に奴らが一番やりそうだ、規模的にも、持っている魔法的にも、思考的にも。

 そう考えるとこの世界にエンドフォグを送り込んだのも奴らに思える。

 そちらの気配は今の所探知には引っ掛かっていないので、わからないが私の探知からエンドフォグを隠すくらいなので自分も潜伏しているのかもしれない。

 マリィコールズでなくても、外の世界の奴らの仕業である事は考えられる。

 それか、エンドフォグが独自の進化をしたか、これ見た目に特に変化はなかったが性質が変化しているかもしれない。

 分析や解析なんてやっている場合ではないのでそうであったらわからないな。

「ぬあ? ガゼル、ステルス解けてるよ、どうしたの?」

「ん? 本当だ、何故だ?」

 考えていたら、先行していたソゥヲバーリュから言われたので身体を見たら姿を消す詠唱が解けて、仮面をつけた私の姿があった、仮面の能力すら無効化されている。

 詠唱の効果が切れるには早すぎるし何より仮面の力を失くす事は出来ないはずなのに、何かがおかしい。

 そう気づいた私の体が突然地面の重力に引かれた。

 飛行の詠唱も解けたようだ。

 何故だ? どこからか攻撃を受けているようだ。

 ならどこから? 辺りを探ろうとした時、頭の中に映し出されていたはずの探知のマップが消えた。

 どうやら私が唱えた詠唱からなにから無効化されているらしい。

 高い空を私は落ちていく。

 下は海、この高度からたたきつけられたら死んでもおかしくない。

 いざという時の防御の結界も解けているな。

「おういガゼル! 何やってんの!?」

 ソゥヲバーリュがこちらに向かって叫んでいるところを見る限り何かをされているのは私だけらしい。

「私の事はいい、先に行け!」

 そう叫ぶとソゥヲバーリュは心配そうな目を向けていたが、この危険な状況を打開するのを優先してくれたようで、怪物の方へ飛んで行った。

 落下していく私から見てその体はあっという間に見えなくなる。

 私に気を取られていてはソゥヲバーリュも危険になるやもしれないからな。

 だが、ここからどうするか、どこから何を受けているかもわからない。

 私は目を閉じ、感覚を研ぐ。

 焦りはある、それを抑える術は心得ている。

 落ちていく感覚を味わうのはいつぶりだろうか、初めて飛行の詠唱を使った時は魔力切れるまで飛んで落ちて木に頭を打ったのが懐かしい。

 海面が近くなるのを感じる。

 しかし、私に対して攻撃してきている敵の姿はつかめない。

 どうしたものか、いや、どうしようもないのか、敵が誰かもわからないこの状況では私に打つ手はないにも等しい。

 ならば、と思い、その時、私と海との距離はもう全くといっていいほどなく、私は落ちた。

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